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誰かのためじゃなく自分のために可愛くなりたい

不定期に「可愛くなりたい」と、唐突に強く思うことがある。それは大抵好きな人ができたときや、彼氏ができたとき、デートの約束をしたときに思うことが多くて。でも今回は全然そんなの関係なく、唐突に強く「可愛くなりたい」と思った。


昔から可愛い人に憧れてはいたものの、彼女たちはどこか別の次元の生き物で、生まれたときから生きるステージが違うものだと思っていた。

中学生になってメイクを知って、高校生になって濃いメイクをするようになってから、顔はいくらでも変えられることを知った。コンプレックスはとにかく隠す。ファンデーションでニキビを隠し、アイラインで目を大きく見せて、奥二重のまぶたは絆創膏で二重幅を思いっきり作った。

それでもまだ、可愛い彼女たちには足元にも及ばなかった。


いつからかメイクが薄くなって、高いヒールを履くことをやめた。ジーパン、パーカー、スニーカー。大学は勉強しにいくものだと割り切り、おしゃれはしなかった。

会社は上司に好かれるような無地の緩めパンツとシャツを。オフの日は平日酷使した体を休ませるために、ゆるっとダボっとしたものを着ていた。


人は、見られなくなると緩むと言うように、たまに集まる友人との飲み会の時だけ可愛くなろうとしても、普段から気合が入っていないわたしは、緩みっぱなしだった。

どんなにその時だけ可愛くしても、可愛く取り繕っても、結局普段から可愛くなろう、綺麗になろうとしている人には到底及ばない。可愛さは日々の積み重ねでできているのだ。


そんなこと、とうの昔に知っていたはずなのに。可愛さは一日では作れないことくらい、わかっていたのに。わたしはサボっていた。もともと可愛くないわたしがサボったらどんどん可愛いから遠ざかるのに。可愛い人は日々努力して可愛くなっているのに。わたしはサボっていた。


この半年以上、自粛だから、マスクだから、と自分に言い訳をして、メイクも洋服もヘアスタイルも、全部全部後回しにしてきた。どうせマスクをするから、どうせ遊びに行かないから、どうせ結ぶから。そんなんじゃダメだとわかってるのに。何してたんだ、わたし。

そうして、久しぶりに「可愛くなりたい」と思った。彼氏が欲しいとかデートがしたいとか、そんなんじゃなくて。わたしは、わたしのために今、可愛くなりたい。