みやほとのGF7 みゃほんちゅ知ってる人向け
「終わった…」
背中越しから聞こえてきた彼女が地に伏す音が何とも言えない
最悪な気分なのでさっさと会場から出ようとすると
急に観戦が湧く、それも歓喜の観戦だろうか
私の勝利がそんなに嬉しい?いや奴らはそんな高尚な者では無い
そんな訳は無いと思うが振り返ると光の奇跡を受け地に伏した彼女が立ち上がっていた
「相変わらず最悪の目覚めね…気分はどう?希望から絶望に落とされる気分はいかがかしら?」
死んだはずの彼女はそこに居た
突然の事で訳が分からない兎にも角にも聞くべき事がある
「何故生きている!挑戦者が不利なのは百も承知だが一体何をした!」
生きているのは素直に嬉しいのだが決着は付いていないのだろう
そして死後に発動する物なぞゴッドフィールドには存在しなかったはず
あれこれ考えてると彼女に鼻で笑われた
「知らないわよね だってこれ最近追加された物なのだから!太陽のお守りHPが0になると残りHPを10にするの」
「あ…あ‥‥」
あまりにも想定外で全てを打ち砕かれて力とゆう力が抜け四つん這いになり敗北を確信する
もう終わりだな
これはもう勝ち目がない
昔遊んでた時はあんな物は無かった
でもどうして知っているのだろうか?
私が知らない確証等は無いはずだが
ともあれ状況は絶望的であり自分の策はこれでお仕舞いだ
リソースは全て三の矢迄に全て注ぎ込んだ
合わせた三つの矢が束で一枚の戦略でへし折られてはどうしようも無い
それでもまだ……
「それがどうかしたか?さぁ再開するとしおう」
精一杯の強がり、最初に引き金を引いたのは私だ
討っていいのは討たれる覚悟のある奴だけだ
覚悟は…出来ている
相手のターン数値11の武器に+5加え水属性に変え攻撃してくる
当然もう体で受け止めるしか無い
それにしても水を召喚しその水に波乗りしこちらに向かう様は……
「……」
体で受け止めた数値16の攻撃は私の意識を奪うのは早かった
必死に意識を無くさぬ様に堪えようにも人間の身ではとても耐えきれるはずもない
地に伏しうつ伏せになる姿はまさに敗北者そのものだろう
薄れゆく意識の中で少し顔を上げ見た彼女の目は少し悲しそうだった
………
僕は湖にいた
今日も父さんと喧嘩して飛び出してきた
些細な事で喧嘩する毎日
息苦しい食卓
そんな家が大嫌いでいつも嫌な事があるとここに来る
辺りに落ちている石を湖に投げて聞こえてくる音に癒やされていた時に背後で木々にぶつかる音が聞こえてきた
音のなった方向にゆっくり近づくと人影が見えた
更に近づくと女の子が木でぶつかったとゆうより石や摩擦で擦り切れて傷口が両脚が数センチ裂けていて見るに堪えない怪我して倒れていた
他の箇所は両脚よりも大丈夫そうに見える
「だ……大丈夫!?脚から凄い血が流れてる…」
ヤバイヤバイヤバイ!どうしたらどうしたらいい…
家に帰れば…そんな時間は無い!
父親から貰った大切な宝物ナキサワメの雫を女の子の全身目掛けかける
数センチ以上裂けていたであろう両脚の傷口は直ぐに元通りに治り、全身手や他の箇所も治っていた
痛みも直ぐに引いたのだろう女の子は目をパチパチさせていた
「よかったぁ…もう大丈夫かな?大丈夫だよね!?」
「う…うん!ありがとう!!私の名は…アユ!君の名は?」
「僕の名前はタイ!それにしてもなんでこんな夜に歩いてるの?でなんであんな怪我してるの?」
「あはは…実は家を飛び出しちゃって…怪我は水にのっ……あっ!喉乾いてそこにちょうど湖見えたから走ったら派手に転んじゃって…」
言いたくない事があるのかな?でも助けになったみたいだしよかった
「僕も家を飛び出しちゃって嫌な事あるとここに来るんだ!見てみて湖に映る月が綺麗でしょ!」
「わぁ…ホント綺麗…外の世界って凄いんだね!!」
「あっ…服持ってくるね!ちょっと待ってて!」
ホッとしてようやく気付いたけど服がボロボロになってて目のやり場に困る
相手もようやく気が付いたのか顔を真っ赤にして木陰に隠れてた
月下の湖畔で二人話した時間は今もなお忘れ難い
遠い日の記憶
いつもの時間待っていてもこない彼女
ようやく来たと思ったら黒装束で身を隠す者の3人に
アユが捕らえれていた
言葉よりも先に体が真っ先に動いた
「アユから離れろ!!!!」
全力疾走で相手との距離を詰める
しかし後ろの茂みで待機していた者に捕縛されてしまう
振り解こうとしても力の差があまりにもある為抗えない
手足を拘束され背中を思いっきり蹴られ息が出来ない
正面にいた黒装束はこちらに近づいて魔法を発動させた
苦い思い出
物語の始まりであり時計の針が止まった日
………
「っ……最悪の目覚めだな」
痛みで意識を失ってたのか頭が痛い
でも今なら鮮明に思い出せる
父から貰った至宝ナキサワメの雫を彼女に使って怒られた事、父親からの教えである困っている人が居たら助けるのは当たり前って言い返したら許してくれた事も黒装束が霧と夢の魔法を私に…今ならハッキリと思い出せる
そして目の前の彼女は幼い時に助け幼馴染になった海の国王女蒼溟みやほって事も気がつくのが遅すぎた
今思えば時おり悲しそうな表情だったり先の太陽のお守りもそうだが私の事をやはり彼女は覚えていると思う
だからあの時言えなかった事言いたいのだが状況が状況だ
墓場まで持っていこう
勝っても負けても意味が無くなった
だから試したい事がある
「さてそろそろ終わりにしましょう 何か言い残す事はある?」
相も変わらぬその言い回しに笑いそうになる
最後ぐらいは普通に話したいものだがこんな時にゆうべきでは無い
「まだ終わりでは無い!」
とは言ったもののどうしようもない
精一杯の強がりだ
相手は土の奇跡、岩を発動させる
炭鉱で働く私が岩で終わるとゆうのは面白い
試したい事…それは本来なら出来ない武器での防御
頭にあるカードの武器を想像し具現化させる
「奇跡を起こせるこの地ゴッドフィールドならこんな奇跡安い物だろう」
こちらに向かってくる岩に対して数値10で具現化させた武器で対抗する
岩を斬りつけた瞬間直ぐに剣先は折れ岩が身体に直撃する
激痛もさることながら視界がぼやけ眩暈がし立っていられない
頭から血が滴り落ちる
あの岩を私は奇跡では無く本当の岩に具現化したのだろうか
「意識が無くなる前に早くしなきゃ…」
本来起こるはずの無い事をしたからか先使ったカードは白紙になっていた
「白紙とゆう事は頭で描く事が出来る…」
最高の剣…神話…ナキサワメ…
駄目だ視界が真っ白になり立ってられない
限界を向かえた私は地面に倒れた
土が自分の血の匂いで鉄臭い
「立ち上が…ま…事が…」
もう二回も倒れてる
なんて非力なんだろう
自分の事を嘲笑う事は出来る余裕があるのに立ち上がれない
頭で描く中、血を流し過ぎたか意識が朦朧とする
薄れゆく中一つの意思は持つ
「まだ…逝けない」
ーーー
ここは何処だろうか?
辺りを見渡すと何もない殺風景なところだ
奥の方に星々が煌めきそれは美しい川が見える
先までの痛みも無く意識はハッキリとしているが身体はもふわふわと空中に浮いている感じだ。
事が切れてしまったのだろうか?
まだやり残した事が山ほど合ったのに
行くあてもないので一際綺麗な川を目指そうと歩みを進めようとすると
「探したぞ!少年!!この広大なる天の川から君を探すのは少しばかり骨が折れたぞ!ナキサワメ様の御縁により参上つかまつり候!」
急に突拍子も無く現れた真紅に染まる長い髪を几帳面に一つ結びにし、赤き瞳は真っ赤に燃えている様で見るものを圧倒する
使い回したであろう漆黒の長いマントは所々穴が空き少し破れかぶれかけている
それにしても私を少年と言ったがどちらかとゆうと彼女の方が子供っぽく見える
そして何よりも見た目より不釣り合いな胸が軽装からチラチラ見えるので目のやり場に困る
「はぁ…ご苦労さまです…天の川とゆうのは私はもう死後の世界に居るのでしょうか?」
「いや!ここは死後の世界では無い!いわば死にかけとゆうヤツだ!まだ成さねばならぬ事がある故にここに居るのだろう!少年の名はタイだな!刻まれし運命は即ち宿命!!」
やけにテンションが高い余程暇だったのかこのまま何も言わなければ一人でにずっと喋る気がする
死にかけとゆう事は臨死状態?現実と夢の境目なのだろうか
「私の名前を…まぁいいか それで貴女の名前は?」
彼女は自慢の胸を突き出し自信満々に答えてきた
まるで鼻息がこちらにも聞こえて来そうな位に
「少年!良くぞ聞いてくれた!!我の名は天羽々斬!!神話より伝わりし神器!現代風に名乗るなら…あまは!!と呼んでくれ!!!」
ここの世界はめちゃくちゃだ…
神器が人の身体を宿し天羽と呼べなどと…
それにナキサワメは神器が様を付ける位だから神様なのか?
しかし夢でも何でもいいから外界の状況を打開するほか無い
ここまで来たらヤケクソだ
「天羽さん…頼み事だ アユ…いや蒼溟みやほを導いてあげて欲しい!褒美は…彼女との添い寝…家事全般も追加だ!」
天羽を見ると目をぎゅっと瞑り身体を震わせている
急に目をカッと見開くとこちらに物凄い勢いで走ってきた
「誠ありがたき言葉!!退屈で仕方が無かった故にその言葉まさに天啓!!さらに!!天界より拝見してたがあの絶世の美女と添い寝…剣である我に更に家事全般も…その願い聞き入れたぞ少年!!」
……物凄く嬉しいそうだ
身体をぴょんぴょん跳ねさせ、辺りを何周も走る姿を見ていると笑えてくる
ようやく満足したのかこちらに戻ってきた
顔は依然としてニヤついてる
「あー…天羽さん満足したか?後の願いは人を傷つける行為は危害を加えて来ない限りしないことと彼女を護る鞘になって欲しい」
「承知!さて少年!契約だ!」
そうゆうと彼女の顔は何時に無く真剣な表情に変わった
「我此処に誓う…我は彼女を護る鞘であり剣にあらず、我が宿命は護るべき者と見たり!共に歩む道は違えども…この誓いは不滅の契である!その御下命賜ったぞ少年!」
先の年相応な行動とは打って変わり威厳があった
真っ直ぐで綺麗な瞳は真っ赤に燃えている
「さて少年!そろそろ逝ってしまう前に行くとしおう…あっ!二人で声を合わせるぞ!カッコいいから!」
やはり子供なのか…でも悪くないな!
「天羽!行くぞ!せーーのっ!!」
「約束の地へ!!!!」
お互いにハイタッチして行く
そう契りの舞台ゴッドフィールドへ
ーーー
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