【3】わたしの小さな秘密が始まった。
感情の激烈な嵐に見舞われ、必死にもがいていたわたし。
苦しくて、苦しくて。
ひたすらに渦に耐え、涙を流して。
そして気付いたらいつもの如く、嵐はわたしから去ってゆく。
ようやく息ができるようになったわたしに、ひとつ、気になる道の存在が見えた気がした。
その道の先には、自分の人生を自分の手で掴み切った人たちがいる。
…いや、"掴み切った"と断定するのはとても失礼かもしれない。
きっとその人たちはまだ、人生の舵を取っている真っ最中。
ただ、紛れもなく、自分自身でひとつひとつを決断し、たくさんの努力を継続し、誰でもない自分自身を信じて真っ直ぐに進んでいる。
その光景はまさに、他人からみると「キラキラしている」と称されるような日々なのだと思う。
ただ、キラキラとした光を存在させるためには、必ず暗闇も必要で。
いくらキラキラ輝く素質があっても、それは暗闇という真逆の存在がなければ、"キラキラ輝いている"状態の見え方にはならないから。
他人と比較するのではなく、あくまで自分比で、芽が出なくても自分を信じ続ける強さ。
素直に行動し、努力を継続させる強さ。
それらの地味でスポットの当たらないことに対して、ブレずにめげずにやり抜いた人だけが持つ、特有の輝き。
わたしが「気になる」と思えたのは、決してそれだけではない。
その人たちの働き方というのは、まさにわたしが自分の人生を実現していくために、叶えるために、とても強いひとつの軸となると思ったから。
もしかして、ここに、わたしの世界を変えるひとつの物語があるのかもしれない。
そうやって仮説を立ててみると、びっくりするくらいに視界がひらけ、目の前が明るくなった。
こんなにも、わたしの世界には道があったんだ。
感じ出したら止まらないわたしの心。
想像しただけでワクワクして、目を閉じればまた世界は広がって、自然と笑みが生まれる。
そして何より、" わたしにもできる " と。
根拠のない自信が、どこからかぽつぽつと湧いてくる。
何故だか全然分からないけれど、その姿が容易に想像できる。
踏み出す決意を、した。
決断したと同時に動き出すわたしの力は、自分でもびっくりしてしまうくらい、いつも大きく一歩を歩み出す。
…そんなわたしが、毎度、ちょっぴり好きだったりする。
いつもなら「こんなこと始めたんだ!」「こんなことやりたいんだ!」と周囲に公言することが多いわたしだけれど、今回はあまりそのような気分にならなかった。
例えるなら、一生懸命におこしてやっと着いた火種を、大切に守り、少しずつ大きくしていきたいという感覚。
わたししか知らない、ちょっとした温もり。
まずは自分の直感を信じて、やるだけやってみよう。
ーーーわたしの小さな秘密が始まった。