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雑文 #74

ミスチルが秋田初上陸ということで、私の店の付近が沸いていた。
正午ごろからファンがうろうろし、ライブが始まると私が予想したよりはるかに多くの人が音漏れを聴きに来ていた。
私の店は会場となったホールのすぐ裏にあり、ドアを開けると音が聴こえてくるくらい音が漏れる。

会場内はすごい熱気だったのだろうが、会場の外にもまた違った熱気があった。
普段ひと気のないその付近はちょっとしたお祭り状態。
音漏れ観客は少なくとも100人はいた。

私は店でやることがあったし、ミスチルの生の音は聴いたことがないのでミーハー心でちょこちょこ聴きに出た。

最初は「あ、ほんとに桜井さんの声だ」と思った。
次に聴いたときは、曲名はわからないけど聴いたことのある曲で、なんだか心打たれてしまった。
その音楽は、心地よく晴れた秋田の夜空に真っ直ぐ、突き抜けるように響いていた。
もちろん会場外でくぐもった音だったけれど、私はちょっと驚いてしまった。

ミスチル、好きでも嫌いでもないというスタンスだったけど、確かにこれはすごいんじゃない⁈と思った。
思って、岸田さんが以前ミスチルについて日記を書いていたことを思い出し、店に戻って読んだ。

https://note.mu/quruli/n/nf41a4bbeefd6#

なんか、何を言いたかったのかわかった気がした…!
前に読んだときは半分くらいわかったかも?って感じだったが、もっとわかる気になった。
やっぱり生を聴く(観る)と聴かない(観ない)では違うんですよ…

ミスチルの音楽は、有無を言わさず、「こりゃいいもんだ」と思わせる。
日本人の(ある程度世代は限られているかもしれないが)心のある部分を突くのだ。
それはもうストレートに突く。
音楽が、かもしれないし、バンドが、かもしれないし、わからない。

それはまるで宗教のようだ。
私はカトリック教徒ではないが、カトリックのミサに参加したことがあり(物見遊山で)、そのミサのときは誰しもが善人になれる。
そんな気配が教会内にしたのだ。
きっと悪いことをした人も中にはいるだろう。
けれども教会内は、そのときその場所だけは、善きもので包まれていた。
ミスチルのライブも、いろんな人がいるが、そのときだけは皆で善きものに向かって突き進んでいる。
なんだかそんな気がした。

比較したくないがどうしても私の大好きなくるりと比較してしまう。

ミスチルもくるりも、同じ善きものなんだけど、ミスチルが表の善きもので、くるりは裏から見た善きもの、みたいな気がする。

サグラダファミリアという建物に例える。

正面から見るサグラダファミリア。
言うまでもなく素晴らしい建築物だ。
美しくて人の心を打つ。
正面の景色は、写真でよく見るものと同じだ。
これがあの有名なサグラダファミリアか…!すごい!
感動する。
これがミスチル。

しかしよりこの建物に興味を持った人は、裏にも回ってみる。
すると、デザインが違う。
表のデザインは華々しいが、裏側はより緻密で、物語性に満ちている。
裏から眺めている人は少ないのでゆったりと鑑賞できる。
素晴らしい建築物なので、見るべきところはいっぱいある。
ベンチに座って、バレンシアオレンジジュースやチュロスでも食べながら、のんびりとその奥深い教会を飽くこともなく眺める。
私たちはそこにいることを大いに楽しむ。
絵を描きたい人は描き、愛を囁きたいカップルは囁く。
私たちとサグラダファミリアの間には池があり、池に反射したそれもまた美しい。
周りには植物もあり、カタルーニャの日差しはとても心地よい。
そのうち夜になって建物がライトアップされる。
少し妖しさを増し、光を帯びたサグラダファミリアが水面に揺れるさまは、息をのむほど美しい。
ここに来てよかった、と心から思う。
それがくるり。


#ミスチル #くるり #音楽 #散文 #日記

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