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雑文 #193 落ち着きとは
大きなオレンジ色の夕焼け。
自転車を漕ぎながら、思わず空を見る。すれ違う人も空を見ている。
それはいつもあっという間で、家に着く頃にはピークは過ぎている。
しかしその残像もまたいい。
お盆休みは関係ない。
去年は何をしていたんだっけ?
そうだ、盛岡に出張中だったんだ。
そういえば去年の夏から秋にかけて、いろいろなところに行ったな。
仙台に郡山、群馬、京都、盛岡、秋田、また京都、愛知など。
動いてないから元気がないのか、元気がないから動かないのか、よくわからない。
去年のお盆の頃、盛岡出張の帰りに秋田に寄った。
あのとき以来、私はリラックスしてない気がする。
気が張ってたことに気づいたのは秋田駅の改札を出た瞬間。
急に、テンションが落ちたのだ。
テンション落ちたとはネガティブな物言いだが、この場合はそうではなく、何か体内温度がぐっと下がったというか、心拍数が下がり、呼吸が深く長くなり、眠くなり…要するにとてもリラックスしたのだ。
自分の常温におり、本当に体が下がっていくような、気怠く妙に心地良い、故郷の空気。
落ち着くという言葉の語源は、これか。テンションが下のほうにいって、自分の平時に着く。
2、3日好きなように行動したなあ。
お花の先生のアトリエにお邪魔したり、前に通ってた場所を訪れたり、新しいスポットを発見したり、友だちとドライブに行ったり。
ひとり部屋で日が暮れていくのを見てたんだっけ。
緊張が解け、ふわふわして、常温で、気持ちいいけどとびっきり寂しい、でも温かく私を包んでくれるのは、そんな場所は、故郷しかないんだろうな。