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雑文 #141

カラスに頭をぐわしっと掴まれた。

何もしてない。ただ歩いてただけ。カラスは子供のときは怖かったけれど、いまではもう避けたりせずに歩けるようになってた。なのに…

カラスは私の後頭部をぐわしっと掴んで、いたずらっ子みたいにひゅんと去っていった。

ダメだ…カラスにナメられるほど私は弱々しいのか。そんなことで落ち込むほどいま弱ってる。

ネットで調べたら六月頃のカラスは巣作りで気が立ってるらしい。そして、カラスの目は黄色いものを認識する能力が高いらしい。それだ!私は黄色いカーディガンを着ていた。妹からもらったやつ…普段着ない黄色。もうこれ家用にしよう。



六月に入ってからずっとほとんど雨。もちろん憂鬱。何をする気がしない。気分が乗らない。余暇の時間はやたらと本を読み、映画を観て過ごしてる。内省的で受動的。自分から何かをする気が起きないんだ。

やっぱりカラスもそういう私を見抜いたんじゃないか?黄色だけじゃなくて。とぼとぼと歩いてる私にカツを入れたんじゃないか?カラスは頭が良いだけでなく勘も良いのでは?


小さい頃は不気味だと思ってたカラスだけど、最近では道路に胡桃を置いて自動車が踏みつぶすのを待っているカラスを見て「ちょっと真ん中に置きすぎだよ…」と位置をずらしてあげてるほどの私だ。恨まれる筋合いはない。かわいいとまでは思わないけど、同じ地上に住むものとして、大変だな、ぐらいの思いは共有してるつもりになってた。

だからあれは弱ってる私へのカツなんだ。きっと。だって憎悪は感じなかったもの。いたずらって程度のことしか。


雨が古い私をぜんぶ流してくれたらいいのに。

カラスの足の感触がいまも頭に残ってる。



#日記 #散文 #雑文


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