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雑文 #190 止まり木バー

半年ぶりぐらいに飲みに行った。

ひとり飲みだけど、友人が経営しているバーへ。

7年前に開業した個人店で心配していたのだが、近所でもないしなかなかタイミングが掴めない。今日、朝には考えていなかったが夕方近くになり、行こう、行ける、と思ってひょいっとバスに乗って訪ねてみた。

繁華街というより小さな駅の商店街の中にあり、食より飲に重きを置いているバーだからテイクアウトなんかもやってない。感染対策を行った上で6月からまた開店していた。

いつものように友人には何も連絡せずに突然行った。意外と賑わっていてホッとするが今日は金曜日だ。21時50分に閉店としているらしく、私は閉店30分前にお暇してきた。

毎日毎日こんな繁盛しているわけでもないだろうし、友人はいつもより余裕がなさそうに見受けられた。緊張している、というのかな。私は顔見知りのお客さんがいたりしてお喋りしていたが、これ、もっと夜深まってお酒が進むと接触はどんどん濃厚になるだろうと実感した。22時前閉店、なるほどな。

前に行ったときは他のスタッフさんがカウンターを担当している日だったので、彼と会うのはほぼ1年ぶりだった。いろいろ話したいところだったけど、何しろお客さんをひとりでさばいて忙しそうだったので、あまり話せなかったけどそれにしても楽しかった。誰かと一緒に飲んで話すという究極にシンプルなことがこんなに楽しいんだな。

私含め彼の友人が客として3人来ていて、なんか応援みたいな気運もあったと思うけどお客さんを集めるのは彼の人柄だと思う。タクシー覚悟の深夜までになったらゆっくり話もできるんだけど、2時間ぐらいじゃ大して話せない。

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どうなんだろう。ちょっと話したけど何とか今はなっているみたいだ。私のほうも何とか今はなってるみたいだ。そんな心の交換をしたような気がする。

他のお客さんもいろんな状況下にあって、それぞれ通常と違う暮らし方をしているみたいで、それぞれの状況を打ち明けあう、ただその会話だけでどんなに安心することか。

たぶん、上手く時代に合ってる人はオンラインなどで解消方法を編み出しているのだろう。私が不器用で不安定だからできてないのだろう。

でも。それを差し引いてもやはり生身の会話というものの威力はすごい。2時間の直の会話で、オンラインの20時間分解消できたような気がする。まあ20時間オンラインなんてしないんだけどね。

友人の店なので来るお客さんも話しやすいタイプが多い。だから不調な私も気負わず行けるんだけど、家族以外との会話、しかも他愛もない会話っていうのが、このめんどくさい人間には必要なんだな。

もちろんこれだけでパッと不調が治るなんて思ってない。けれど、思った以上にストレス解消効果があるとわかった。ほどほどにやっていかないと続けられないのがもどかしいところだけど、友人には踏ん張ってほしい。いつも私が闇に惑っているときにこんな止まり木があるという、それだけで、心穏やかになれるのだから。

帰り道、またバスを掴まえに駅まで歩く。そこはサルスベリの並木道だった。暗くてよく見えなかったけど、まだ咲いてるときにまた来られればいいなと思った。サルスベリの花期は長い。またひょいっと来よう。そう思いながら私は久しぶりに心軽く歩いたのだった。

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#日記 #雑文 #散文 #バー #高円寺



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