雑文 #282 京都音博2021
くるりが主催するフェス「京都音楽博覧会」の配信期間が先ほど終わった。
毎年9月のシルバーウィークあたりに開催されるフェスなのだが、今年は10月2日に配信された。
もちろん私はその日休みを取り、19時半の始まりに合わせていろいろと用意しながら、観た。緊張さえしたものだ。
去年も今年もオンライン。一昨年までは、京都の梅小路公園で行われていた。私は第3回目からずっと連続で参加していて、夢見心地旅心地で、毎年いちばん楽しみにしているイベントで、それが終わると「ああ、今年も一年終わったな。お疲れさま、ありがとう。また一年音博を楽しみにがんばろう」と思える特別なフェスであった。
今回の私の13回目の参加はオンラインだったが、配信期間終了後のいま、不思議と少しあの「一年終わった」気分を思い出している。
もちろん、実際現地に行ったときほどではないにせよ。なんか、日が暮れて、ライトアップされた京都タワーが見えそうな気がしているのだ。
今回は、豪華にたくさんの楽器が入った編成だったりしたが、ゲストアーティストも呼ばず(一曲だけ「コトコトことでん」の音源に参加している畳野彩加さんのゲストボーカルはあったが)、くるりの、くるりによる、くるりファンのためのフェスだったように思う。
第一部は最新アルバム『天才の愛』完全フル再現(曲順どおりに)。事前予告もあった。誰がそんなフル再現を喜ぶだろう(くるりのガチファンなら大喜びだ)。
第二部は打って変わって暗めな雰囲気の会場でMAX5人編成(最近お馴染みのメンバー)にて昔の曲をたくさん。ライブでよく披露される曲も中にはあったが、インディーズアルバムの曲「続きのない夢の中」や1stアルバムの曲「ランチ」、2ndアルバムの曲「窓」など、シングルでもないレア曲をどんどん出してきて、誰がピンと来るんだろう(くるりのガチファンならアンテナ立ちまくりだ)。
私は、リアルタイム(配信の始まりとともに)通しで観て、その日第二部の気になった部分をもう一度観て、三日後くらいにまた通しで観て、外を移動中スマホでイヤホンして音だけ聴いたり電車の中で観たりしつつ、さらに二回通しで観て、配信最後の日はとくに気に入ったところだけ繰り返し観た。10日間も楽しむことができたのだ。でもそんなに何度も誰が観るだろう(くるりのガチ…以下略)
とくに気に入った曲は、前半の「watituti」と後半の「窓」だった。
気に入るとしつこいので、何度も観たら、まだあの曲あのギターの音が耳に残っている。
僕等は何にもしない
結局、くるりは、そして演奏者やスタッフの皆さんは、いま届けられる最大のことをしてくれたと思う。
中には「京都まで行けないから配信で観られて良かった」というファンもいるだろう。
私は京都に行って梅小路公園で観たくて観たくてたまらないので、その気持ちが募った京都音博2021だった。
でも焦ることはない。くるりはまたやってくれる。
音博の思い出が年々積み重なっていく。去年のオンライン音博を思い出す。小山田壮平のくだりに泣いたこと。ライブハウス拾得での演奏。あのときは、まだ聴いたことがない新曲も演奏されて興奮したっけ。
何なら、最初に行ったときの音博のこともじっくり思い出した。楽しかった。私はあれから少しずつ歩き出せたんだよね。
たかがひとつのイベントではない。私にとっては一年の計なのだ。京都音楽博覧会は。一年お疲れさま、私とくるり。一年ありがとう、くるりと私。