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雑文 #276 スマホ買い替えストーリー
朝起きたらスマホが死んでいた。
「あちゃー」と私は思う。
急いで何とかしなきゃいけない。明後日から出張だからだ。
知らない街へ行くし、連絡などでスマホは必要なのだ。
電池切れになるのが早くなっていたから、寿命だったのだろう。
本当はその前に買い替えるべきだったのだ。
私は携帯ショップへ行くのがひどくきらいだ。いやすぎて、お腹が痛くなった。
「電話」がないので、会社から電話をかける。
一番近くの携帯ショップは、最短で明後日に手続き受付できると言った。(その前には「故障ならAppleさんに連絡してください」と突き放されもした)
次に近いショップは、今日の手続きを受け付けてくれた。ホッ。時間通りに行く。
問題は、買い替えるスマホの在庫があるかどうかだ。
大きなサイズのやつと、いまと同じ大きさのやつ、どちらがいい?と言われた。大きなやつは画像がめちゃいいけど少しお高いとも。
私はいまと同じサイズのやつを選んだ。色は選べなかった。ラスト一台なのである。でもよかった。大きなサイズのやつにならなくて。Androidに替えることにならなくて(私は出張のため、入荷待ちをするよりだったらすぐ手にできるスマホを買おうと思っていた)
次の問題は、なんか知らないけどプランが?毎月の使用料が?4,000円も高くなることだった。
辞任する菅首相は、携帯料金の引き下げ政策を掲げたんじゃなかったのか?
なんでそんなに高くなるのか、ほんの一言二言でショップ店員に説明を受けたが、イマイチ納得できなかった。が、時間も惜しいし面倒は避けたく、私はその条件をのんでしまった。
ショップ店員はある程度丁寧だが冷たい態度で、なるべく短く接客を済ませたいみたいなムードで(私も一分も長くそこにいたくなかった)、淡々とコトを運び、私にぴかぴかの白いiPhoneの契約をさせた。
次なる心配は「データは戻るのか」だったが、私の心配をショップ店員はまた冷淡にあしらった。
「お客様がバックアップされているかどうかです」
私はマメにバックアップするタイプではない。
手続きが進むにつれ、どうやらある程度のデータは戻ってきているようだとわかる。
iCloudについて、私はごく根本的な質問をしたようで、ショップ店員が軽くせせら笑ったような気がした。
勘違いかもしれない。
年が若いわりにはいささか太り過ぎと思えるその女性店員は、何を楽しみに生きているのだろうとふと思った。
もう少し親切味を出してくれてもいいのではないか。親切味は、出して減るものじゃないのだ。
隣のブースでは、シニアの男性が、私の担当の女性より年上の男性店員に相談をしていた。
男性店員は、ガラケーとスマホの違いを丁寧に、シニアのお客さんの立場に立って説明していた。
ここは同じショップなのだろうか?私は少し混乱した。
2時間に満たない時間だった。前回携帯ショップに機種変更に行ったときは、半日がかりだったように思う。だからマシだと思おう。月々の使用料の件を除いては(私は覚えのないサービスに入っていたことに後から気づくが、「これ以上使用料が下がる余地はないんですかね」と訊ねたときに「UQにすることくらいですね」と答えられたことを苦虫を噛み潰すように思い出す)
iCloudというものは、気まぐれなのか、最近の写真で復活しないものがある一方で、昔の写真で消えたと思っていたものが復活していたりする。
たとえば、今年の6月に3回くるりのライブに行った日の写真はもうない。
けれど、忘れてた6年前の写真が復活している。
私はあんまり写真を見返さないので、何の機会の写真なのか覚えていなかったりする。
蕎麦を誰かと食べてる写真があり(蕎麦ふた皿のアップ)、誰と一緒だったのか一向に思い出せなかったり…
トップの画像も覚えていない。
タコスを作って食べていたようだ。
6年前の写真を見返すと、いまより私は若くて、文化的な生活を送っているように思え、過去が羨ましく思ってしまう。
だから私は写真を見返すのが好きじゃないのかもしれない。