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雑文 #301 温もり

私の中に何か丸くて白いものがあったので、私はそれを取り出してみた。
ピンポン玉が大きくなったみたいな姿をしていた。
質量もピンポン玉みたいに軽く、おそらく中はほとんど空洞だと思われた。

その空洞に耳を澄ますと、中から小さな声がしている。
言葉にならないような声を発している。
どこか苦しそうで、何か訴えてるみたいで、私は何とかしなきゃと思った。

ピンポン玉のような硬い表面に触ると、ひんやりと冷たく、すべすべしていて、声にならない声の振動が伝わる。
私の掌は温かだった。
声を掛けても何も伝わらない気がしたから、私はその表面にそっと手を添えた。
まあるく、包み込むように。
ざわざわとした振動が手に伝わる。
苦しみの声は、ひとつじゃなく、ほうぼうから聞こえたが、私がずっと手を添えているとだんだん静かになっていった。

そのうち振動がなくなり、ほとんどの声が聞こえなくなったが、静かな息づかいが聴こえる。
耳をこらすと、それは寝息だった。

気づくと冷たかった表面は熱を帯び、色も真っ白から仄かな白熱灯のような温かな灯りを帯びていた。
そこには安息があった。

つまりリラックス。
私はそのピンポン玉を身体に戻してみた。
肩の力が抜け、気持ちが軽くなり、そして温かだ。

リラックスには温かさが必要なのだ。
私のピンポン玉は最初とても冷たくなっていた。
緊縮していて、張り詰めていて、中では息をするのも苦しかった。
そんな状態を解く鍵は、温かさ・温もりなのだ。

私は温もりを感じるようなことを、もっと上手に見つけていくべきなのだろう。


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