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雑文 #170 何処にでも行きたい

Go To キャンペーンが何とか……?

命令しないでもらいたい。行けるなら、行く。どっちにしろ今は行けないんだから…


私は旅が好きだ。

どれくらい好きかというと、今は音楽のライブに行くことを糧として生きているけれど、そうなる以前は旅に行くことを糧として生きていた。

今よりずっと景気が良かったので、若かった私は暇と金さえあれば元気に旅に出ていた。疲れ知らずだった。楽しみ尽くしだった。恋愛より旅に恋していたような気がする。とくに海外旅行が好きだった。

中学生ぐらいから、妙に異国への興味が強かった。冬の秋田で氷点下の気温のなか窓を開けて遠くを眺めてた。

見たことのない世界が見たい。知らなかったことを知りたい。旅に出る理由はいくらでもある。ぱっと考えてもだいたい100個くらいはある(くるり「ハイウェイ」の歌詞は絶妙だ)。

空気や湿度、匂いや時の流れが変わるのが好きだ。違う国の人々の生活を垣間見ることが好きだ。習慣や文化を観察するのが好き。言葉も好き。建物や街並みも。自然の光景も。もちろん食べ物も。何より現地の人やそこで出会った人たちとコミュニケーションを取るのが好きだ。つたない言葉だから一生懸命になる。恥ずかしがり屋だけどそこではオーバーリアクションになる。伝えたいから。びっくりすることもある。ショックなこともある。だけど世界が広がるのは好きだ。実際に体験しながら気づきたいのだ。

ただ移動する、ということさえ好きだ。遠くに移動していると、自分の垢がどんどん流れ取れていって、新しい息吹がどんどん自分の中に入ってくるような感覚になる。先祖が定住民族と遊牧民族に分かれるなら、私は遊牧民族であったように思う。だから映画もロードムービーが大好物なのかな。


だけどもう旅には出られなくなった。諸事情で滅多に旅行はしない。海外なんて10数年行ってない。東北や北関東などにライブで遠征することはあるけど、たまに仕事で出張はあるけど、それはまた純粋な旅とは勘定できない。

昨日の日記にも書いたように、年一回京都音楽博覧会に行くのが私の大旅行。ここ11年ずっと。

ここから昨日の日記の続きのようになるが、同時に昨日の矛盾にもなる。

くるりは今年の京都音楽博覧会をオンライン開催にしたが、毎年恒例の京都旅行に行けなくなって、私は凹んでた。

でも本当は、私は今年はちょっと違う年にしようかなと思っていたのだ。

旅が好きなのに旅に出られない私も、そろそろいいんじゃないか。音博旅行以外に旅をしても。九州に行きたい。ここ数年ずっとそう思っていた。幼馴染の友達が、数年前福岡に移住したのだ。「遊びに来て」とずっと言ってくれている。九州には一度も行ったことがない。5月にCIRCLEというすごく良さそうな音楽フェスもある。CIRCLEに申し込もうか。お金はあるかな。ええい、早々に申し込んじゃえ。そして福岡資金を貯めるんだ。

たしか去年の11月頃に申し込んだ。そして友達に連絡した。ふたつ返事で休みを取るからおいでと言ってくれた。友達はCIRCLEには行かないけど、どこか遊びに行こうと言った。私はトータルで1週間ぐらい滞在するつもりだった。そうだ、島は?福岡や長崎の小さな離島。どちらが言い出したか忘れたけどそんな話になった。九州の小さな離島。いくつか調べた。憧れた。なんてエキゾチックなんだろう。どんなにきれいだろう。

そうして昨年末から冬の間、私はいやなことがあるとこの旅行のことを思って気持ちを穏やかにした。時々友達とどこの島がいいか、などと連絡を取り合った。しまいに友達は「桜島は?」と言ってきた。

こうなると、お金かかりそう。でもせっかく行くなら長めに滞在したい。仕事も休むことになる。もしかしたら、もしかして、音博に行けなくなるかも?それは申し込み段階から頭にチラついてた。でもいいや、そろそろ私は違う旅に出てみてもいいかもしれない。一方で、やはり音博が近づいたら何が何でもやりくりして京都へ向かう自分の画もじつは見えていたのだが…


そうしたら、コロナ禍。

私の福岡希望も、京都悩みも、どっちも吹っ飛んだ。

「行けないね」って連絡したのは私のほうからだった。友達はとても穏やかな人だ。「来年も再来年もあるよ」と言ってくれた。


ずっと東京にいるので、自然の中に身を置きたくてたまらない。だけど私の好きな自然は怖いこともする。

九州は大雨で大変なことになっている。乗り切ってもらいたい。そして近い将来私を迎え入れてほしい。



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