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雑文 #209 Birthday
鰻と黒ラベル。
大好きなご馳走。
私はもうすぐひとつ、歳を取る。
明日は一日外で仕事でわちゃわちゃしそうだから、前祝い。
寝る前にラフロイグを飲もう。
親友Mから誕生日プレゼントにラフロイグをもらった。
私から私へのプレゼントもあったから、いまはこんなにラフロイグの海に溺れることができる状態。
こんなふうなおっさん趣味は30代半ば頃から始まった。鰻がとくに好きになったのもその頃だったかも。
そのくせ私は自分が10歳ほど若いつもりでおる。
もちろんそれはまやかしなんだけど、あくまでも心持ちの話。
それはこの間、姪に歳を訊かれたときに自分から自然に出た言葉で自覚した。
「いつも10歳若いつもりでいるから〜」
私はしばし、10歳くらい年齢を間違われた出来事をいくつか思い出す。
好きなミュージシャンとお話していたときに、「同世代でしょ」ってタメ口で言われたのがうれしかった。
最近10歳ほど下の友人と話していたら、別の人が会話に入ってきて「私はあなたたちより世代が上だけど」と友人と一括りにされて、うれしかった。
30歳になる夜に、親友Yと日付変わるのを居酒屋でカウントダウンした。
Yは30を超えるのがとても嫌だったらしく、誰かと過ごしたかったのだ。
そんなYも、8年前病気で亡くなってしまった。
確実に時は流れてる。
少しゆっくり、10歳遅いくらいのスピードで、流れたらいい。
80歳になるときの私は、70歳になるつもりでいられるかな。
もう大事な友達は失いたくない。
誰も失いたくない。
一緒に歳を取ろうねって約束も、反故にしたくない。
私はそっと歳を重ねるが、そんな私を温かく見ていてくれるような存在がほしい。