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中川ももの工場見学日記in岡谷蚕糸博物館

お久しぶりです。
名古屋のアフリカ布ブランド〝L〟の中川ももです。

久しぶりのnoteは、最近始めた衣類関連の伝統産業についての博物館や工場についての記録(日記)です。
今後は、それにまつわるメーカー様や工房の見学の記録もできたらと思っています(許可をいただけた範囲で!)

今回は、長野県岡谷市にある「岡谷蚕糸博物館」さんの記録。

ではスタート〜〜!

糸都岡谷として栄えた長野県岡谷市

岡谷市は私の地元・松本市のお隣。
私の祖父の実家が岡谷なこともあり、私自身のルーツでもあります。

位置的には長野県のここらへん

右下のぴょこっとしたところは諏訪湖です。諏訪湖の花火大会などは有名ですよね。

実は・・・
かつて日本の一番の輸出品は生糸(シルク)だったのです。

岡谷市は、明治から昭和初期にかけて製糸産業で栄え、全盛期(1924年)には全国で生産量1位でした。

製糸とは・・・?


養蚕農家が生産した繭から糸を繰って生糸をつくる産業を製糸業といいます。そこから出来上がるのが、シルク、又の名を絹をいいます。

ちなみに、蚕(かいこ)とは蛾の幼虫です。蚕が成虫になる段階で蛹になります。その蛹になる際に口元にある、ある部位から繊維状のものを吐き出して頑丈な繭を作ります。それがこの写真の繭玉です。

繭はみなさま一度は目にしたことがるのではないでしょうか?


なので岡谷にはこのような博物館や、貴重な国産繭を作る養蚕農園である
「三沢区民農園」さん、100%岡谷産のシルクを使って手織りの染織製品を作っている「岡谷絹工房」さんなどシルクに関わる企業が今でも存在しています。

なぜ、日本一の生産地になることができたのか?

実は理由はたくさんあります。
主な理由はこの通りです。

・原料である繭がたくさん確保できた
・製糸に必要な水が豊富にあった
・優れた技術者や経営者、繭商、糸商、金融業者が支えたこと
・糸を作る工女が県内外から多く集まったこと

などと言われています。

工女さんが製糸する様子

ちなみに、日本全体の製糸産業について

日本にとってシルクは歴史を語る上で大変重要な要素なのです。
起源は中国ですが、そこから世界各国に流れ日本では着物に使われました。

明治時代になると、シルクは日本の輸出品として需要を高めます。
(フランスやイタリアで蚕の病気が流行していたこともあり)
これにより政府が生産に力を入れ、効率や品質が工場、そして大量生産するための技術などが発達していきました。
特にアメリカやヨーロッパから見た日本絹は品質も高く、ブランド価値を持っていたそうです。

ここからは歴史のお話になるので、またいつか。
(今「日本の蚕糸のものがたり」という本を読んでいるので時間があったらここから深堀りたいな。)

岡谷蚕糸工場を楽しむ

ここからは当日の記録を。
全部を記録するのは、これから訪れる人の楽しみを奪ってしまうので今回は一番楽しんだ製糸の部分についてです。

製糸過程を楽しむ

実は、岡谷蚕糸博物館の中には、
日本で唯一手作業で製糸する『宮坂製糸所』さんの工場もあります。現在、国内には製糸工場が数カ所しか残っていません。

諏訪式操糸機による糸操り

ここでは実際に人の手によって製糸する様子が見学できます。

実は乾燥させた繭から糸を取る過程で煮る作業があります。
(後で製糸の過程については軽く触れます)

これは繭を柔らかくして、繭糸を引き出しやすくするためなのですが、この場で実際にそれが行われているので工場内に入るとふわっと繭を煮ている香りが。
なんとなく小豆を煮ている時の匂いと同じものを感じました。

熱いお湯で煮ているのですが、それを素手で扱います。
横にちょっと手を冷やす水があるのですが、それでも湯気が立つほどの熱さなので、大変な作業であることが想像できます。


シルクが手元に届くまで

「製糸」とは、私たちの手元にシルクが届くまでの一つの工程にすぎません。ここではざっとですが、手元に届くまでの工程をご紹介。

①養蚕
養蚕農家産が蚕が食べる桑の木を育てながら、蚕を育てます。
繭になるまでを農家さんが担います。

岡谷には、貴重な国産繭を作る養蚕農園である三沢区民農園さん
という農園さんがあります。

②製糸
繭の状態で製糸工場に届きます。繭の中ではおそらくまだ蛹は生きている状態です。

ですが、蛹が成虫になる前に熱を加え乾燥させます。成虫になってしまうと一本の糸でできている繭が破れてしまい、繭の外に出てくるタイミングでついてしまうシミのせいで品質が損なわれてしまうのだとか。

要するにここで命をいただきます。
乾燥し品質ごとに選別された繭は、一旦貯繭されます。
その後、上記で記した煮る工程に移るのです。

ここから数過程を経て完成です。
出荷される前は、糸がぐるぐるされている状態です。

③染織をはじめとするものづくり
各工房やメーカーに出荷された生糸は、各企業に沿った方法で染色されたり織られたりします。

織る前に染めるのか、染めてから織るのかでも全く見た目の違うものになるのです。面白いですよね。
ちなみに、岡谷には絹工房さんという桑の葉から養蚕、製糸まで全て岡谷で行った生糸のみを使って製品を作っている工房があります。

信州シルク回廊

最後に紹介したいのが、「生糸商標カード」

これは、長野県のシルクに関わる施設でもらうことができます。

2枚目のパンフレットにも書いてありますが、日本の高品質の生糸であることを証明するために日本を象徴する風景や植物が描かれたイラストがデザインされた商標を各工場につけました。
海外に向けて輸出されていたものなので、英語の表記が目立ちます。

今回ゲットしたものは、「OKAYA」と書かれています。
これからコレクションしていくぞー



まとめと感想

自分の地元の近く(というよりほぼ地元)にこーんなに素敵な博物館があるなんて知らなかった!
そして、長野県がシルクの生産が盛んだったことも知らなかった…!

繊維に関する知識を得れば得るほどワクワクしてきて、今後自分の中でどんな化学反応が起きていくんだろうと思っています。

工場見学などを始めた理由は、今後のLの見通しがボヤーンと立ってきたので。そして、現在進行形で繊維や衣類品の勉強もしているので文書で読むより実物を見に行こう!ということで今に至ります。

このシリーズ続けていけたらいいな。
いつか書いて良かった!と思える日が来ると信じて日記をつけていこうと思います📔










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