106.最後の晩餐  [蟹座16度]

これが私の最後の晩餐だ。

パールライスがそう思って夕食の席につき続け、はや5125年の月日が経つ。

結局、5125年もの間、パールライスは最後の晩餐をし続けていた。夕食のメニューは、今夜も装いも新たに披露され続け、まるで終わる気配がない。

いつになったらこのくだらない晩餐は終わるのか。

パールライスは絶望に満ちた表情で食事を見つめ、何の感情もなく口に運び続けた。

最初の内は晩餐に同席してくれた友たちも、いっこうに最後が来ない最後の晩餐に愛想をつかし、一人また一人と姿を消していった。最後に残ったのは、パールライスただ一人だった。

終わりなき晩餐は、この上ない苦痛に満ちていた。パールライスは、この晩餐がいつか本当に最後を迎え、本当の最後が来ることだけを希望に、一人食卓に着き続けていた。

しかし、そのいつかは決して来ないであろうことを、庭のニワトリ達は確信していた。ニワトリ達の間では公然の事実だった。

いいなと思ったら応援しよう!