085.遠ざかる地球船 [At アスタチン] [双子座25度]
もう人間には間に合わないようだ。
僕は遠ざかる地球船を見つめていた。
きっとこれで良かったんだ。
新しい教科書はなくしてしまったし
テスト勉強もしてないし
どっちにしろ僕は0点だ。
エビの第一関節のフリをして
集合の点呼を逃れたけど
もちろん僕はエビじゃない。
体育館に寝そべる関節仲間から
僕はそっと離れた。
代わりは自動的に
次の第二関節が務めるだろう。
かつての上司との面談で
僕は別れを告げるつもりだ。
部屋に入ると
かつての上司は昔からの癖で
椅子に傾いた格好で座っていた。