101.私と彼と関係 [蟹座11度]
彼は言った
自分は幼稚園の頃から
「◯◯はすごい」と言い続けるサクラを
複数人用意していたのだと
それは不自然であり
短期的現象なのだと
そしてまた、こうも言った
最近は
自動販売機の全ジュースを取り出し
おおきな釜に入れて煮沸しなおし
血液洗浄のようにしてから
元に戻しているのだと
私は思った
なにやってんの?
この人、大丈夫なの?
私は彼の
正気と安全性を疑った
私と彼の関係は
いつもそんな調子だった
私は彼を理解せず
彼もまた
私との隔たりに
目を細めていたのだろう
でもいまや
私は知っている
不完全ながらも
彼の光は私に届き
心を照らしていることを
いびつに光る
その輝きを
私は見過ごすことができない