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あの曲と東京の思い出


たしか春先の、どんよりとした日、だった。
地方から出てきた私は、東京の街を歩いた。

ひっきりなしにやって来る電車、ぎゅうぎゅう詰めの車内。
見上げると気が遠くなるほど背の高いビル群。

私にはとても新鮮に感じられ、本物の「都会」に圧倒されつつも、非日常の高揚感に酔いしれた。

イベントが終わった翌朝は、高架下を歩いて駅に向かった。
通勤の人だろう、足早に歩いて行く人に時々追い越されながら。
雨が降っていて、高架下は、おそらくいつもより一層暗くて「都会」の正負いろいろな側面を感じながら歩いた。

今、私の大好きなこの曲を聞くと思い出す。
あの大都会の空気や歩いた街の景色。
そして、あの時抱いた高揚感。

あの時推していた人も、ただのド庶民である私も、いつまでも同じには居られなくて、非情な時の流れの早さを実感するのだけど、

あんなに夢中で追いかけたこと、
それにまつわるたくさんの大切な思い出の数々、
その時々に抱いた感情やまだ拭いきれない、後悔。

それらもきっと、
今の私を構成するなにか一部となってくれているのだろう。

だから、ありがとう。
いつかまた、きっと。

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