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あかりと過ごす日々

こんにちは。もももろうです。

今日も例によって、笑いなし!涙なし!光ありなお話させていただきます。

最近はリモートワークも定着し、ご自宅で過ごす時間が増えたという話はよく聞きます。
それでなくても、仕事モードから気持ちを切り替えて、ホッと一息つけるいつもの空間がそこにあります、、か?ご主人。ありますよね?

そんな日々を過ごす場所が、明かりを意識するだけでより一層、心地よい空間になることを皆さまはご存知でしょうか。


照明を意識すると暮らしが変わる。
これはまったく大袈裟な話ではなく、それくらい明かりというものは、生活に密接な関わりを持つものなのです。
そんな照明について、知ってるといい事を今日も書いていきますね。


以前、紹介した多灯分散のお話と併せてお読みいただけるとよりイメージしやすくなると思いますので、お時間のある方はぜひどうぞ。

それで照明をどうしましょう?

いきなり本題みたいに入りましたが、インターネットで好きな照明を探しましょーって事ではありません。

実は先日、友人から「照明調べたんやけどさ、、」という話がありまして、、

友 「情報は分かったけど、なんかイメージしにくいねん」
私 「ほうほう。」
友 「北欧風とか、温かみとか言っときゃいいと思ってるフシない?」
私 「ひっ…急に」
友 「おしゃれなこの感じについてこれん人は、まだ分かってないと思うし、一応、最低限の情報だけ置いとくから見てみてね。あとは個人差と好みやから自分でよろ〜、みたいな。」
私 「めちゃくちゃ、言うやん。笑」

でも、、まあおっしゃる通りです。

わたしもそういうテキストやうたい文句を考えてた側だったので、その気持ち分かります。
分かりつつ惰性でやってた時代がありました。本当にすいません。
今でこそ、このように色々な話をさせていただけていますが、当時はもうそういうしがみ倒した表現しか出てこんかったんです。
そして、今もネットのページは昔と大差ないことも知っています。


当然なのですが、ネットのページでは照明はただの「商材」という扱いです。
載っているのは大抵の場合、

①商品の特徴
②適用畳数の表(下で紹介します)
③LED電球のこと

基本このくらい。


使用シーンや生活への提案は、どのサイトを見ても既視感があるというか、基本は他のサイトからの転載だったりします。ひどいところはまるっと拝借なさってたり。
つまるところ「明かりに対する考え方」や「空間との調和」といった内容についてちゃんと説明できる人がいないのです。

なので結論をいうと、照明器具を調べても「心地よい空間」というのは作れません。

友人が言うには「感じ方に個人差があるとかは分らんでもないんやけど、こちとら買いたいと思って見てるんやから、それを考える手ほどきくらいしてくれたってええんじゃないの?」ということで。

、、はい、おっしゃる通りです Part2。

「だいたいさ、照明作っててそれ、、」
「やぁめて!もうやめてぇ〜!(いつかの弁護士風に)」


その辺り、実はインテリアコーディネーターさまの方がしっかり提案なさってたり、紹介してくださってます。
もう本当に、おんぶに抱っこヒモですいません。

そんな業界の現状を憂いて(反省の意味も込めて)、わたしはコツコツnoteに記事をしたためているわけです。



というわけで、そんな「心地よい空間」を作るために照明を選ぶ前にまずやること。それが「自分の心地よさ」を考えるです!


それで、はい。手ほどきですよね。
友人〜、見てる〜?手ほどくよ〜。


今日はこんな二つの言葉を紹介します。



「よく」見えること

この「よく」には二つの意味があります。一つは、はっきり見えるか。もう一つは、素敵に見えるか。

前者を「明視性」、後者を「好視性」といいます。耳慣れない言葉とは思いますが、テストに出たりはしませんのでどうぞ無理に記憶なさらないでください!
忘れたらまた見に来てください!
そして、他の記事にもスキしてください!!


さて、改めて。

・明視性(めいしせい)
これは対象物がはっきりとよく見えるかどうかを表すときに使う言葉。
似たような言葉に視認性や誘目性なんかがありますが、それとは少し違っていて、そこにある情報をきちっと読み取れるかということです。

書類に書かれた文字や図形は読み取れますか?
パソコンの画面は反射せず正確に見えていますか?

つまり、照明がどのくらい「機能的な働きをしているか」を表す言葉。


日中の太陽光くらい明るくて白い光色だと、物体の情報は判断しやすいですよね。
お店で買ったものを家で見てみたら、色味が全然違ってたなんてこと、ありませんか?これはあなたのせいではなく、お店の明視性が低いことが原因です。

美容院に真っ白で明るい店舗が多いのは、髪の状態を注視する必要があったり、正しいカラーに染めるためなんですね。

お次は、

・好視性(こうしせい) /快視性(かいしせい)
こちらは照明業界でしか使わない言葉かもしれません。
これは照明の明かりが「好き」だとか「快い」という感情で判断する時の言葉です。

「ねぇ…あかりのどんなとこが好き?」

こんなことを聞かれたならば、もちろん、一緒にいて落ち着くとこだよとか、料理が美味しいところだよとか言ってあげてくださいね。

つまり照明によって、リラックス効果が得られているだとか、料理が美味しくみえるだとか、そういった「印象的かつ情緒的な働きをしているか」ということ。
そういうのって判断基準としてやっぱ大切なんじゃないの?という考え方のもと生まれた言葉です。


これは商品や展示物に対する照明にもいえることで、魅力的に見せられているかという事も好視性に関係する部分になります。
「とても綺麗だよ、あかり」、、あ、もういいですか。失礼。

この好視性こそ、理想的な照明環境を作る上で重要かつ、推奨したい感覚なのです。


使いどころの明視性

日本の照明計画というのは、長らくこの明視性の方を主軸として、オフィスや公共施設から進化をしてきました。
そして、聴竹居の記事でも触れましたが、一般住宅というのはそれらを追いかけるように開発が進んだんですね。そんなことで、住宅における照明計画でも当初は明視性を意識し気味でした。

これは実は日本の照明はまぶしすぎるのか問題の一旦も担っているわけですが。

明視性が主軸になった理由がもう一つ。
具体的な数字明確な言葉を使って基準が作られていたということです。

JISのZ9110「照明基準総則」にこのように書かれています。
「居間で手芸は1000ルーメン、浴室ひげ剃り300ルーメン、庭でパーティー100ルーメン。光は万里を越える!!」
はい、確かに越えそうです!「食」よりも速く!失礼。もう耳にこびりついちゃってますよね、あのキャッチフレーズ。

ちなみにパーティーと別で、庭で食事も100ルーメンです。
これ分ける必要あるの?
ほんとに、、痒くないとこまでかきにこないでくださいよ!

そして、それを元に照明工業会さまが算出したのが、先ほど少し話に出しました「適用畳数の表」です

畳数とルーメン(照度)の目安


たしかに情緒を基準とした好視性に対して、決められた数値を目安にできる明視性の方が提案側としては案内しやすい。

しかしながら、特定個人の趣味趣向や身体的な個体差などを考慮すべき環境、つまり皆さまが自分のための照明を選ぶ時には、なかなかに不向きな提案だと考えています。

しかも、部屋の明るさというのは照明以外の環境にも大きく影響されてしまいます。壁やカーテンの色、ラグや家具の色。さらに言えば素材や仕上げによっても、その空間の明るさは変わってくるんですよね。
しかも、結構びっくりするくらい違う。

基準値は目安とはいえ、こういった解釈を含めて一緒に紹介しなければ意味のない情報なのです。



照明は料理の味付けみたいなもの

塩ひとつまみ、砂糖5g、酒大さじ2杯。

料理の本をみると必要な分量が書かれていますよね。
これは不特定多数の人が受け入れられるであろう「程度」として紹介されているわけです。
明視性の考え方と少し似ていませんか?
それと規格は話が違う!なんて言われそうですが、万人が分かりやすい比喩と思って、ちょっとご容赦くださいね。


大抵の場合、テキストの分量をひとまず最初の目安として、徐々に自分の好みや提供する人のために調整していきますよね。
それでいつしかあなたの作る味になる。


薄味が好きだとか濃い味が好きだとか。
ラー油は少しでいいとか、お酢は半分くらい入れるのが好みだとか。
今日はニンニク抜きにしておこうとか、、、。
あぁー、もう例えが完全に偏ってますよね。さっきのキャッチフレーズのせいですよ、確実に。

明かりもこういうイメージなんです。
まず自分の好み、心地よいと感じる明るさを知っていただきたい。

少し控えめな明るさが好きなのか、全部がよく見える明るさが好きなのか。
好視性を重視しようと思えば、当然、好みによっては明視性も同時に必要になります。
周りが良く見えることが心地よいなら、あなたにとっては「明視性が高い=好視性も高い」になるわけです。

つまり、どちらを優先するかではなく、そのバランスをとることが重要
自分の好みが分かったら、照度計で調べてみても良いかもしれません。

温度計みたいに照度計も普及せんかな。わたしが普及活動したらいいんか。


そして「心地よい空間」というのは何も部屋中がそうということではありません。それに固執するとうまくいかないことは多灯分散の時にお話ししましたよね。

改めて、リビングとダイニングという大きな分け方をするのではなく、テーブルの上、壁際のソファ、窓辺のデスク、なんて考えてみてください。

むしろ、一部屋に「心地よい空間」がたくさんある方が楽しそうじゃないですか?そんな風に考えていただけると、一層暮らしが豊かになると思います。

そんなことで、照明を選ぶ前にまずやることでした。
というか、ここを考えられればもう8割方完了と言ってもいいくらいです。
なんでもそうですが、基礎をしっかりと固める方が最後にうまくいく。
こういった検討こそが、むしろ照明を考えるということの全てなのです。


と、いう感じで今日の手ほどきを終わります!
友人〜!ダメ出しは柔らかめにね〜!

ではこれからも、引き続き照明に対する意識が一人でも多くの方に広がるような発信をしてまいりますので、皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました!



じゃあ、最後まで読めた方から「王将」に集合!!

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もももろう/照明士
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