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似顔絵イラスト発注の裏側

※本文は全文無料です
私がアイコンに使用しているイラストはアーティストのHIZGIさんに依頼して制作してもらいました。今回はご本人の許可をいただいて、どんな風に依頼したのかなどを紹介します。

私は普段ゲームのアート(グラフィック)に関わる仕事をしています。
仕事を通じて依頼するアーティストさんへの制作資料なども携わることがあり、どんな点を意識すると発注側の意図が伝わるかなど考えながら作業をしています。イメージした完成図に近づけるために作家さんにどう依頼したらよいのか、などの参考になれば幸いです。


用語の解説

言い回しが人によって異なるため、今回は以下の表現で統一しています。

イラスト発注:お金を払ってイラストを依頼すること
発注資料:依頼するときに「こんな風に書いてほしいです」のオーダー内容
アーティスト:画家、イラストレーター、絵師、作家など様々な呼び方があります

【1】実際の発注資料

発注時の画像そのままです。
このほかにテキストで「noteのアイコンにしたい。クールで知的な感じに自画像作りたい」と
伝えています。今思えば盛りすぎたオーダー。

HIZGIさんは面識があるということもあり、少しラフな内容となっています。右下の謎の猫は、HIZGIさんの自画像のキャラクターです。

【2】目的を整理する

一番大事なのは「何のための絵を依頼するのか」です。
私はnoteのアイコンにしたかったのでそのために必要な要素を整理しました。
・自分をどのように見せたいか(キャラクターデザイン)
 └クールな印象にしたい
  →①目線外して無表情にするのはどうだろう
 └髪型や衣服を実物に近づけたい
  →③自分の写真を参考に提供する
・アイコンとして必要な要素は何か
 └視認しやすさ
  └線は細かくせず、小さいサイズでも見やすくシンプルにする
   →[左側]画像HIZGIさんの作品でイメージに近いものを載せる

【3】発注資料に記載しているポイントの解説

②クールにしつつも視認性を上げたいのと親しみやすさも大切にしたかったので、背景色は黄色をチョイスしました。ただ、黄色が絶対優先!という形ではないので基本はお任せにしています。

④メガネのあり/なし それぞれ見て判断したかったのですが、アーティストさんによっては(内容にもよる)追加料金になる可能性があるため「~してください」ではなく「相談」という形で書いています。基本自分の要望があれば「もし可能であれば~していただけませんか?」と聞いてみるのがベストです。

⑤髪色の印象を変えずに、アイコンとしてカラフルなイメージにできないかなと考えていたのでここはHIZGIさんに委ねました。「見た目が可愛くなるように」したい、という要望をまず伝えます。そのための手段として私が考え付くものは、背景色と組み合わせたときに髪色をこんなカラーにすることなんだけど・・ほかにアイデアがあればお願いしたい。というニュアンスです。

【4】アーティストに自由にやってもらう余白の大切さ

私は仕事柄イラストを扱うことが多いので、自分が思い描くゴールに対して割と忠実に、細かめなオーダーを作ることが多いですがアーティストに自由に考えてもらう余白も大事だと考えています。そして意識的にその余白を残すようにしています。
なぜなら頭の中で完成形とパーツを同時に想像してベストな形を探るのは経験者である私でさえ非常に難しいからです。だからこそ、プロであるアーティストに「お任せ」する余白を残すことが大切です。そして何より大事なのは余白部分を制作する際に必要になる指針です。前述した⑤でいう「見た目を可愛い印象にしたい」のようなものです。それを形にするための手段はお任せしていくのがお勧めです。

【5】途中経過の紹介

いろいろ細かく発注資料に詰め込みましたが、画像右上にも「忠実であることが重要じゃないんだ、HIZGI先生の解釈でお願いします!」的なことを書いて委ねること数日・・・
HIZGIさんからラフが届きました。

えーん可愛い!知的クールだけど優しいお姉さん感出てる!これだよこれ!

髪の毛、インナー部分をピンク寄りの紫にすることで黒髪の重さを軽減し、親近感のわく優しそうなお姉さんの印象になっている!なにより可愛い!背景の黄色とも、血色の良い肌色とも喧嘩せずまとまっていて良い!⑤の部分をこうやって仕上げてくれたんですね。

そして・・あえてのカメラ目線で来たか!
でも目線外したクールバージョンも見たいな・・と思った私はHIZGIさんに頼んで目線外してもらいました。

可愛いんだけどなんかしょんぼりしちゃった・・

あ~~~~~なるほどね、(これはこれでとても良いけれど)カメラ目線のほうが断然いいですね!!アイコンとしての存在感が桁違いでした。
「アーティストさんってのはね、その辺のすべてのバランス見てベストな落としどころ考えて提出してくれてんの!わかる?だから余白=お任せ部分を用意しておかないといけないわけ!お前が頭の中で考えたものをそのまま出力したところで必ずベストな結果になるわけじゃないんだから」と特大ブーメランを食らって、やっぱプロってすごい~~となったのでした。

実はこのほかにも「淡雪さん馬が好きだったからピアスの形を蹄鉄にするのはどう?」と提案してくれたりしました。プロすぎる・・

【おまけ】依頼金額の話ってどうやるの?

アーティストさんが金額提示してコミッション募集とかしてたら基本そのまま依頼しましょう。値切るとかはやめましょう。

金額を公にしていない方へ有償依頼をする場合、かつ貴方が相場を知らない場合は正直に伝えたうえで金額提示してもらうのが良いと思います。ただ、提示してもらった金額が高すぎてお断り・・とかになるとアーティストさんもがっかりしてしまうので、先に自分が支払える金額目安を伝えておくと良いかもしれません。
例えば、自分は一万円しか払えない、先方の相場は二万円なんだけど…の場合、アーティストさんによっては「一万円だったら小さいサイズなら描けますよ」とか「書き込みが少ない画風ならいいですよ」と提案してくれることがあります。あくまでアーティストさんによるのと、厚意なので必ずしも対応してくれるわけではないことだけご注意ください。

終わりに HIZGIさんの個展紹介

HIZGIさんは現在東京の上野近辺で個展を開催中です。
お近くの方はぜひ足を運んでみてください!原画、とっても素敵ですよ。

HIZGI個展 “PINK BLINK”
2024.6.29.sat - 7.21.sun
OPEN /13:00-20:00
CLOSE /月曜日

mograg gallery
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mogra gallaery公式サイトより


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