ずっと好きでいたかった
昨年の冬、仕事の話程度しか話さなかった職場の年下の男の子が
彼女に振られました、と私に話しかけてきた。
今まで恋愛の話なんてしたこともなかったので少し驚いたけど、そのことをきっかけに職場で会うとよく話すようになった。
連絡先も交換して毎日のようにLINEをして、薄々相手が私に好意を持っていることは感じていた。
二回目のデートで告白された。夜のコンビニの駐車場。車の中で
楽しく会話している途中。いきなりだった。
俺と付き合ってくれる?と不安そうに聞く年下の彼がとても可愛く見えたことを覚えている。
私も彼に好意を持っていたのでもちろんOKした。
その時の安堵した彼の表情は今でもはっきりと覚えている。
付き合ってからは毎日が楽しかった。職場で目が合えばアイコンタクトしたり手を振ってみたり。いい歳をした大人だけど学生に戻ったみたいでときめいた。
週末はほぼ毎週一人暮らしをする私の家に泊まりにきたし、2人でお出かけもした。
仕事で忙しい彼だったから会う時間は長くはなかったけど、一緒にいられるだけで幸せだった。
付き合って二ヶ月ほど経ったころ、仕事終わりに急に電話がかかってきた。
今から家に行ってもいい?と。
私は仕事終わりいつものように帰宅して自宅にいたので大丈夫だと伝え、彼が来るのを楽しみに待っていた。
彼がうちに来てすごく嬉しかったのに、彼の様子がおかしかった。
本当に突然だった。
別れたい、と申し訳なさそうに言った。
昨日まで喧嘩もなく楽しく付き合っていたはずなのに。私は混乱した。
自分のためにもっと時間を使いたい、私のために時間を使うことができない、そういった内容だった。
私はもちろん抵抗した。涙も出た。
でも彼の考えは変わることはないみたいだった。
自分の話を終えるとそそくさと逃げるように家を出ていった。その態度から
ああ、もう私のことなんて好きじゃなくなったんだなと感じた。
あんなに優しかったのに、楽しかったのに。
思い出は美しく見える。そうわかっていても彼の悪い部分を思い出すことができなかった。
彼に縋ろうと、もう一度やり直したいと伝えることも考えたけど
私のために時間を使うことさえ惜しくなった彼を無理やり引き止めたところで惨めな思いをすることはわかっていた。
彼の顔を見たくなくても職場で会ってしまう。忘れたいと思うその気持ちが彼を思い出してしまう。
友人や私たちの関係を知っていた人たちは、そんな自分勝手に別れを切り出すような男やめた方がいい、もっといい人はたくさんいるよと言ってくれる。
それは自分でもわかったいた。話し合いもできないような、自分勝手な人だ。相手がまだまだ子供だったんだ。そう思ったし、よりを戻したいかと言われても正直わからなかった。
でも付き合う前や付き合っていた頃の楽しかった事実は消そうと思っても消せない。
最低と思える相手だったら良かった。もっと悪い男なら良かった。
だけど彼は優しかったし、いい思い出しかない彼を嫌いになるなんて私には難しかった。
彼に別れたい、と言われてからもう一ヶ月が経とうとしている。
二ヶ月しか付き合っていない私の傷が癒えるのに十分な時間なのか、不十分な時間なのかはわからない。
別れた直後はご飯も食べられなかったし、常に涙が出そうだった。
その時に比べれば食欲もあるし失恋ソングを聴いて涙が出ることも無くなった。
きっとこうやって時間と共に忘れていくのだと思う。
きっともっといい人と恋愛できるとも思う。
すごく短い恋愛だったけど、本当に好きだと思える相手だったから、この気持ちを忘れてしまうのが惜しい気がして、このnoteを書いた。
きっとどこにでもある恋愛話で、付き合って二ヶ月で終わる恋愛なんていくつもあって。
自分のどこがダメだったかとか、次の恋愛はこうしたいな、とか
そういったことも書きたいけれど
今回はこういう恋愛があったという事実だけを書いた。
私より6歳も若い君が、私くらいの歳になったとき素敵な恋愛をしていることを願う。
そして私自身もこの先もっと素敵な恋愛ができるように。
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