【掌編小説】神様を励ます♪
このところ、神様もお疲れモード。
そりゃ~、神様とて、こう次から次へとひっきりなしに、願い事、願い事と、人々にお参りされたんじゃ~、休んでいる暇もない。
神様にも、働き方改革が必要な時代なんだな~。
すると、ある日、あるところの、ある娘が、そんな神様を応援したい、励ましたいと、ある友人を連れて、とある神社にやって来た。
「神様、こんにちは♪」
「はい、こんにちは。さて、今日は、どんな願い事かな?」
「いえ、今日は神様にお願い事じゃないんです」
「ほぉ」
「最近、神様がお疲れモードだって聞いたもんで」
「ほほ」
「神様を元気づけるのが大好きな、お祭り男を連れて来ました♪」
「へぇ~! そりゃうれしいの~!」
「少々お待ち下さい♪」
神様は、何だか分からないけれど、お祭り騒ぎが始まるワクワク感で、既にちょっと元気になっていた。
「あんた、神様を応援するのが好きなんでしょ?」
「はぁっ?!」
「さぁ、人々の願いを聴いて、聴いて、聴きまくって、お疲れになっている神様に、声援を送ってあげて!」
「そんな『神様に声援を送ってあげて!』って言われても、僕、そんな大それたこと出来ないよ!」
「何でよ! この前、あんた、『神社を応援するのが好き』とか何とか言ってたじゃん!」
「言ってないよ!」
「……って言ったって、私、もう、神様に、あんたのこと、『神様を元気づけるのが大好きな、お祭り男』って、紹介しちゃったわよ!」
「そんなこと言われても、僕は、『神社に頑張れ~』って、エール(yell)を送るのが好きなんじゃなくて、ただ、『ジンジャーエール』のジュースが好きなだけだよ!」
「えっ?! えぇーーーッッッ!!!」
娘は、自分の勘違いに気づくと、モーレツに恥ずかしくなり、顔を赤らめた。
その様子を見ていた神様は、
「ハ~ッハッハッハ♪」
と、声高らかに大笑い♪
「神様、ごめんなさい! 私の勘違いだったみたいです!」
と、娘が神様に謝ると、神様は、
「いや~、実に、愉快愉快♪ 構わんよ構わんよ♪ そなたのお心遣いがうれしかったぞな♪」
と、娘を労った。
「ほんとですか?」
「あ~、本当じゃとも♪ その勘違いのお陰で、大笑いさせてもろうて、すっかり、この通り、元気になったわい♪ ハッハッハ♪ ありがとう♪」
神様は広いお心で、娘の真心を受け取られた。