【掌編小説】朝ドラ・マニア♪
会社の給湯室。
新入社員のA子とB子。同期の会話はよく弾む。
「A子、あんたも朝ドラ好きなんだって~!」
「そうなのよ~!」
「やっぱ、何か、一日の始まりに、弾みがつくよね~♪」
「そだね~♪」
「朝ドラのどういうとこ好き?」
「そだね~、やっぱ、眠気覚ましに濃い目のブラックコーヒー。そして、脳への糖分補給で、朝にドラ焼き、朝ドラ~♪」
「えっ?! 朝にドラ焼きで、朝ドラ?!」
「えっ、B子の朝ドラって、違うの?」
「私は、その日一日、こんなこといいな、出来たらいいなって妄想しながら、朝にドラえもん観る、朝ドラ~♪」
「へぇ~、そうなんだね~」
そこへ同期のC子が入って来た。
「何か、外まで聞こえてたけど、朝ドラの話?」
「そうなのよ。C子も朝ドラ好き?」
A子がC子に訊ねた。
「朝ドラ好きだよ♪ 朝の出勤前って時間ないし、私は何粒か、朝にドライフルーツで、朝ドラ~♪」
すると、同期のD子も入って来た。
「何か、通り掛かりに聞こえちゃったけど~、朝ドラで盛り上がってんの?」
「そうなのよ~。私、朝は時間ないし、何粒か朝にドライフルーツ食べる、朝ドラ~なんだけど……」
「え~っ、C子、朝はしっかり食べて来なよ~! 一日の活力なんだから~!」
「はいはい~……、で、D子、そういうあんたはどうなのよ?」
C子がD子に訊ねた。
「私は、ガッツリ、朝にドライカレーで、朝ドラ~♪」
「おぉ~、朝からガッツリ食べるね~!」
何だか、同期たちの楽しげな会話を聞きつけて、同期のE子も入って来た。
「何々、朝ドラの話~?」
「そうなのよ、E子は、朝ドラ好きなの?」
D子がE子に訊ねた。
「私は、朝にドラゴンボー……」
「あっ! きっと『朝にドラゴンボールで、朝ドラ~♪』でしょ?」
D子が自信満々に答えると、
「違う違う、朝にドラゴンボート(ペーロン)で、朝ドラ~! だから、超ハードよ!」
「おぉ~~~、さすが、筋肉隆々!」
A子、B子、C子、D子、みんながE子に感心していると、給湯室の外で全自動コーヒーメーカーの掃除をしながら、みんなの会話をずっと聞いていたF子が入って来て、
「結局、誰も、朝ドラ観てへんのんか~い!」
さすがF子、Final Answerで締めくくってくれた。
ー Fin ー
(Fin : 仏語で『終わり』)