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老いおまえ
地下鉄を降りてしばらく歩くと公園の脇に出る。公園を横切るとわずかだけれどもショートカット出来るので、いつもそのようにして家に向かう。日暮れ前の公園は人もまばらでのんびりした雰囲気であふれていて、異次元の時間の動きに影響されたかのように足取りが急に緩やかになるのと同時に、昼間あくせくパートで働いている自分が馬鹿らしい存在のように思えて腹が立ってくる。こんな時間に犬の散歩をしている人っていったいどうやって暮らしているのかなぁ。年寄りは隠居生活を楽しんでいるのだろうし、奥さんは専業主婦なのだろうと想像がつく。だが、こっちの茶色い小さな犬を連れた男はなんなのだ。平日に休暇を取ったのだろうか。それともプー太郎? 人のことなどどうでもいいことなのに、幸せそうにのんびりしている御仁を目にすると、意地悪のひとつもしてやりたいような気持になるのは、やはりわたしが捻くれているからなのだろう。
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