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野田市虐待死 栗原心愛さん 事件時系列メモ

目黒と野田。この1年の間に起こった二つの虐待死事件。関連した原稿を書くため、報道や会見などから事実を時系列にまとめているのですが、このまとめ自体を誰かが見て、考えるきっかけになればと願い、メモ的なものですが、公開します。

沖縄県糸満市で一家で暮らす。
2009年9月 母子で糸満市へ転入(父と別居か)
2011年10月 両親離婚。父、時に恫喝しながら、心愛との面会交流求め、母は抗えず。
2016年 母、妊娠。

2017年2月 両親再婚、同居。次女出産。
2015年(小1)〜2017年(小3)7月まで糸満市の小学校へ。要支援家庭の対象。
2017年7月 母方親族(祖母)から糸満市に相談。「娘が夫からDVを受け、孫も父から恫喝受けている」糸満市、家庭訪問の約束取り付けるも、両親の都合で延期され実現せず。
2017年7月下旬 学校担任と父、心愛さん交えた3者面談。
2017年8月 夫の出身地、千葉の野田市へ引っ越し 糸満市恫喝事実確認できず、野田市へ恫喝有無伝えず。「夫が支配的」と、不安定な状態のリスク家庭と申し送り。
 ←糸満市と野田市情報交換により救えた?
2017年9月 心愛ちゃん野田市の山崎小学校へ転校。
2017年11月6日 アンケートに「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり起きているときにはけられたりたたかれたりされています。先生、どうにかできませんか」と記述。選択式の設問では「いじめを誰から受けましたか」という質問に「家族」。いじめの内容を問う設問では「ぼう力を受けている」と記入。担任の欄外メモ「お母さんはみかたしてくれるが、父は母のゆうことをきかない」「おきなわでは、お母さんがやられていた」。小学校と野田市、顔のアザ確認。「父に背中や首、顔をたたかれた。『てめえ、早く宿題やれ』と言われた」
2017年11月7日 柏児童相談所が一時保護。「お母さんがいない時にたたかれる」「父が怖い」と打ち明け、頰にたたかれたようなあと。
 ←迅速な対応。虐待防止の原則に従っている。
父、一時保護に立腹。「誘拐だ」
一時保護中、父と8回面談。虐待否定。心愛さんも「徐々に恐怖心が薄れていき、帰宅を望むようになった」(柏児相)
2017年12月27日 学校生活も落ち着きを見せたため「虐待は一時的で重篤ではなく状況は改善した」と判断し、親族の支援も得られるとして一時保護解除。親族宅での暮らしが条件。保護の緊急度を4段階で最も高いランクから2段階下げる。
 ←50日。一時保護期限いっぱいまで引っ張った形。
一時保護解除後、児相、学校ともに、一度も自宅訪問せず。
2018年1月 話し合いの場。校長、教務、担任、教育委員会2名、両親の7名。父、小学校と教育委員会に対し訴訟すると脅す。心愛ちゃんが書いたとされる同意書持参し、アンケートの引き渡しを何度も迫る。学校、心愛さんを保護する際は父に情報公開する「念書」を書いて渡す。
2018年1月15日 教育委員会、アンケートコピーを渡す。担当課長「大きな声で恫喝され、威圧的な態度に恐怖を感じ、強い要求に屈してしまった。その後、どのような影響が出るか、心にひっかかりながらも渡してしまった」。
アンケートを父親が入手したことについて児相としては、父親の養育態度への影響、関係機関への非協力的な態度にもつながると、リスク要因として考えた。
2018年1月18日 野田市内の二ツ塚小学校へ転校。父、学校による家庭への介入拒否。「家庭訪問するときは私の許可を取ってからにしてください」(二ツ塚小学校校長へのインタビュー)
2018年2月26日 心愛さんを自宅に戻すか判断するため児相職員3名(福祉司2名、心理司1名)が親族宅を訪問。一時保護解除のことや児相への不信感を親族が示すことで、心愛さん泣き出し、別室(2階)に行く。父が来る。父から心愛さんが書いたという書面を見せられ、職員がメモ。「お父さんに叩かれたというのは嘘です。山崎小学校の○○先生に聞かれて思わず言ってしまいました。お父さん、お母さん、妹、(親族の呼び名)にたくさんの迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい。ずっと前から早く4人で暮らしたいと思っていました。このあいだの時にも言いました。お父さんに早く会いたいです。児童相談所の人にはもう会いたくないので、もう来ないでください。会うと嫌な気分になるので、今日でやめてください。お願いします。」最後に署名があった。
父「今日、家に連れて帰る」職員「この場で良し悪しを判断することはできない。良いと伝えることはできない」「会議の場で事実を報告する」と伝え訪問終了。
父より、「もう来ないでほしい」「これ以上家庭を引っかき回さないでほしい」「これ以上引っ掻き回すことをするのであれば、児相という組織としてではなく、職員個人を名誉毀損で訴えることも検討している」などの発言。
2018年2月27日 柏児相から学校と野田市役所児童家庭課に状況説明。
2018年2月28日 柏児相、援助方針会議。親族の体調不良により親族宅での養育継続が難しいことから、自宅に戻すか、一時保護が必要かを検討。本人の意向と言って親が子に書かせることは少なくなく、父から書かされた可能性が高いということは児相も認識しており、書かされたことはリスク要因として考えられながら援助方針会議は進んだ。親族宅での養育が難しいのであれば本来は再度一時保護をして方針を立て直すところ、この時までに保護に至るまでのリスク要因はないと判断。親族宅で生活させるという約束を父が2ヶ月守っていたこと、心愛さんが学校に適応していること、そして身体的な傷跡が学校で認められなかったことから、虐待再発がないとして、自宅に戻すことを認める決定をする。学校等で安全を確認しながら対応していくことに。
児相、父と接触がないのに虐待の再発がないと判断した。身体的虐待に引っ張られて、心理的虐待を再評価することはしなかった。
この決定結果について、関係機関(学校、野田市児童家庭課)に伝えたという記述なし。
2018年3月初旬? 自宅に戻る?児相にはいつどのように福祉司が両親に伝えたか記録なし。
2018年3月3日、4日 学校に日程調整の連絡をした際、家族旅行に行ったと報告を受ける。
2018年3月19日 柏児相3名、小学校訪問。心愛さんに面会。職員「叩かれたりすることが起こっていないか心配で会いに来た」。心愛さん「大丈夫な感じ」。父の暴力を否定する手紙について聞くと、小声で「言ってもいいのかな」と言いながら、父が仕事で不在時に親族に頼んで母に会いに自宅に連れて行ってもらった際、父から母にこういう手紙を書くようにというメールがあり、それを見ながら書き写したと話した。「じゃあ、あそこに書いてあったのは、心愛ちゃんの気持ちとは違う感じ?」と職員が聞くと、「でも、お父さん、お母さんに早く会いたい。一緒に暮らしたいと思っていたのは本当のこと」と答えた。父から叩かれたのは嘘、という、手紙の内容の真偽については確認しなかった。帰っても大丈夫と思った理由について心愛さんに尋ねると、「アパートに前より物が増えていて、妹がよく動くようになっていた。お母さんは前と変わらない。お父さんとは前まで全然話してなかったけど、今は妹のこととか、うちに増えたものについておしゃべりをするようになった」「学校も楽しく通っている。転校してまだ3ヶ月ぐらいだけど今ではクラスの子みんな友だち」
この後は、何かあれば学校から児相に相談してもらうこととして、訪問などで直接話を聞くことはしていない。
2018年4月 父、沖縄コンベンションビューロー東京事務所に勤務。
2018年6月、11月 いじめアンケート。虐待について記入なし。
心愛ちゃん、活発な学校生活。学級委員長に立候補。父の暴力について訴えなし。柏児相、野田市、もう問題ないと判断。
 ←大人でも恐怖を感じるほどの父。転校後、父の暴力を訴えない子どもに、何かが起こっているとは感じなかったか。大人への失望はなかったか。
2018年9月 夏休み明け、沖縄に行くと言って10日間学校休む。親からきちんと連絡があったので約束の意味が出てきたと児相は思った。親族宅で生活?
2018年12月 両親と担任面談。変わった様子なしと判断。
2018年12月22日ごろ(冬休み初日) 自宅へ戻ったとみられる。母「冬休み中に暴行を受け、あざができた。隠すため昨年末から外出させなかった」
2018年12月末〜2019年1月3日頃まで 父、心愛さんの体を引きずり顔面を浴室床に打ちつけ、胸や顔に暴行。顔面打撲や胸の骨を折るけがをさせた疑い。1月からの動画残る。
2019年1月7日 始業式。以降、長期間欠席。父「家族で沖縄へ滞在する」「曽祖母が体調不良のため(心愛さんが)そばにいたいと言っている」と学校へ連絡。
2019年1月21日 柏児相、心愛さんが休んでいることを把握。「夏休み明けに沖縄に行くと言って約1週間休んだこともあり、大きなリスクにつながっているという認識を持つことができなかった」
2019年1月22日 要対協開催。心愛ちゃんケース議題にならず。
同日より、父「娘を起こして立たせ、眠らせないことがあった」「食事を与えないことがあった」(母供述)。
2019年1月24日 心愛ちゃん、自宅浴室で死亡が発見。首をつかむ、冷水シャワーかけるなど。
2019年1月25日 父、傷害容疑で千葉県警に逮捕。
2019年1月26日 野田市教育委員会記者会見。小学校では虐待の可能性がある情報は得ていたが、体のあざなど虐待の痕跡確認できなかったと説明。
2019年1月28日 柏児童相談所が記者会見。
2019年2月4日 母、傷害容疑で千葉県警に逮捕。父との共犯関係を断定。
2019年2月5日 柏児相会見。「心愛ちゃんが書いた父親の虐待を否定する手紙について、児相は父親によって書かされた疑いがあると考えながら、心愛ちゃんを自宅に戻すことを決めていたと説明」
2019年2月14日 父、別の傷害容疑で再逮捕。