上田モモコ
毎週土曜日ゴールデン街のソワレというお店で日替わりママをしています。 コロナ禍に創作活動も、仕事も激減、リモートワークばかりの生活に飽きあきしたことからはじめてみたゴールデン街の週1ママ。 コロナ禍にはお客も少なかったため、わたしのSNSを見た知り合いに、少しでもお店に足を運んでもらおうと思い、宣伝を兼ねて書き始めた日誌です。 インスタグラムにも投稿していますので、よかった見てください。 IG : @momokomotion
ミュージシャンです
ゲストのモヤモヤを聞いて曲にします。
8月7日(水) Open8pm Start8:30pm 場所:ゴールデン街ソワレ チャージ800yen +Drink 投げ銭ライブ 出演:沢田穣治(ギター)、朗読:桑鶴麻氣子、歌:モモコモーション 女優の桑鶴麻氣子さんに、「モモコのゴールデン街日誌」の1話を朗読していただくことにしました!桑鶴さんが選んだお話は、すれ違う男女を綴った「タロットカードを広げる前に」です。 彼女は幼少期から本を声に出して読んでいたほどの朗読好きなのだそうです。 強弱をつけながら清流のごとく
いつも投稿をお読みいただき、嬉しい感想やなども、ありがとうございます😊 タイトルの通り『モモコのゴールデン街日誌』が本になりました!👏 この本は、これまでnoteやインスタグラム、Facebookなどに投稿していた『モモコのゴールデン街日誌』のをまとめたもの。 2020年の暮れから2024年の年始くらいまでの投稿を加筆修正しています。 もちろん、ハッシュタグで#モモコのゴールデン街日誌と入れて検索していただくと、無料で読むことも可能です! だけどあちこち散らばり、ば
ひょろりとした体型のその男は、長野県の上田でホームステイをしながら日本語学校に通っていたそうだ。 明後日の早朝、ドイツに帰るという。乾燥した日だったので、サッポロ生ビールをたてつづけに2杯飲んだところだ。 ホームステイと聞いて、ちょっと違和感を感じた。どうみても20代の若者ではなかったからだ。30代半ばか、または40代かもしれない。 3ヶ月滞在したそうだが、日本語はまるで身についていないようだ。 「私は長野県の上田で3ヶ月ホームステイをしていました。語学学校に行きまし
朝の4時半。26歳だと言うモンゴル人のお兄さんが入って来た。背は小さいが筋肉質でガタイが良い。服装から、肉体労働者だとすぐに分かった。 仕事が深夜に終わり、始発を待つため、ふらりと入って来たと言う。なんの仕事か聞いてみた。 「カイタイっすね」 「カイタイ?」 「そうっす。店舗を壊してスケルトンの状態にするんっす」 解体業の会社に5年ほど勤めていると言う彼は、訛りもなく自然な日本語で話しやすかったが、語尾がなぜかすべて「〜っすね」で統一されていた。 「今日はGUCCIをブ
店を開けたらすぐ、コロンビアから来たという若い男がひとりで入ってきた。28歳だという。 「イイデスカ?」 黒縁のメガネをかけており、大きな目が余計におおきく見えた。カールした髪も、上下で揃えたアディダスのスウェットも真っ黒だ。 入ってきてから、日本語しか話さない。しかし、ものすごくヘタだった。携帯の画面でグーグル翻訳を見ながら 「ビールイチ」 「クダサイ」 というので、 「そういう時はイチじゃなくて、『ひとつ』とか『一杯』っていうのよ」 と教えてあげた。 ちな
常連だった男性客が、ぱったり来なくなった。 彼女ができたからだ。 20代後半の青年 Dくんは、わたしの最初の常連客だった。 コロナ禍のまっ最中、わたしがカウンターに入った最初の土曜日に、たまたま入ってきた。 いつも店を開けてすぐの早い時間に来て、ハイボールを1杯飲んでさっと出ていく。ときどき話しが盛り上がれば2杯目、3杯目と飲む。 ちょっと緊張気味の一見の客を、和ませてくれることもあり、助かっていた。 東京に出てきたばかりで、口ぐせは「彼女が欲しい」「はやくお嫁さ
ゴールデン街はお盆前くらいから少しだけ暇になった。 毎週土曜日、夜勤明けに朝ごはんのオムライスを食べにいくヒロシくんの店でよく会うベテランママのナツキさんにそういうと、 「モモちゃんさ、お盆とかお盆明けってのはこんなもんよ。お盆とかって家族のためのもんでしょ。新宿もあっち側とか、こっち側には、この時期はまともな人は来ないわけ」 ナツキさんは「あっち側」といいながら歌舞伎町のほうを指差し、「こっち側」といってゴールデン街の辺りを指すため、胸の前あたりでくるくると手のひらを
サントリーのウイスキー『角』が手に入らなくなるというウワサを先月くらいに聞いた。 店を閉めたあと、朝ごはんのオムライスを食べに行くG1通りの「ヒロシの店」のヒロシくんが教えてくれた。 その理由は、韓国アイドルグループのBTSのメンバーが、とあるインタビュー記事で、 「ボクが家呑みするときはいつも『角』のハイボール」 とかなんとか言ったらしく、それを聞いた海外のファンは、日本に来るとドン・キホーテなどで、買いまくっているから、らしい。 それが本当の理由かは分からないが
中華系のカップルだった。マンダリン(中国標準語)で話している。どちらも30代後半くらいだろうか? 短髪の男の方は、ラグビー選手並みに鍛えられた上半身で、暑い胸板に筋肉のついた大きな腕や肩が麗しい。 女性は小柄で、さらりとしたナチュラルな茶色のロングヘアー。丸顔で、歌手の華原朋美の若い頃に少し顔立ちが似ている。 ちょうどカウンターでウーロン茶を飲んでいたJ子さんは「歌手の島谷ひとみにも似ている!」といってスマホの画面を見せてくれる。 爽やかで健康的な印象のふたり。 だ
「ハネムーン中ですか?」 最初は冗談半分に聞いていた。 ソワレに訪れる海外からの若いカップル客には、気まぐれにそんな質問をブッ込んでみる。 ASAKUSAでOMIKUJI引いただの、GINZAでSUSHIたべただの、どの観光客とも同じ話しばかりしていると、こちらもつまらなくなってくるからだ。 ちょいと顔でも赤らめさせてやり、 「いやいや、そういうわけじゃないんだけど笑」 と、ふたりでモジモジして照れてくれでもしたら、お酒の場が盛り上がるだろう、という算段だ。 し
「五月は恋の季節。パリの街に音楽が流れ出す....みたいな曲があるんだけど、なんていう曲か忘れちゃった、ずっとその曲を探してるんだけど、Spotifyにも、Youtubeにも、Amazonにも見つからないんだよね。モモコちゃんに歌って欲しい」 と言ってたのは、水曜日のソワレのママを担当しているカナちゃん。 そういえば、去年の今頃そんなことを言ってたなあと思い出した。 そんなカナちゃんが、夜中の3時ごろ、土曜日のソワレに入ってきた。 「ごめん一杯だけ飲ませて。飲まないと
「どうやってここを知ったの?」 最近、ソワレに来た外国人観光客にどうやってゴールデン街を知ったのか、聞くことにした。当たり前だが、全員が「インターネット」という。 「でも、インターネットっていろいろじゃん? その中の「どこ」で知ったの?」 「えーっとGoogle」 「Googleって言っても広い世界でしょ? 例えば検索ワードはなに?『新宿 バー』とか入れるの?」 「いや『東京 観光』みたいな感じかな。どのサイトか覚えてないけど、どれ見ても上位に出てくるよ」 つまり
I am a cat. 夏目漱石の「吾輩は猫である」の英訳タイトルだそうだ。漱石の英語版など読んだことがない。 先週お店にきたカナダ人の若い男性が、英訳されたこの小説が好きで、日本に興味を持ったといい、初めて知った。 さらっとした涼しげな素材の白い半袖のシャツに、シルバーの薄いフレームのめがね。いかにも頭の良さそうな感じがするから聞いてみると、大学院生でAIの研究をしているという。 「前はディベートをやってたんだ。かなりやり込んでたから、弁護士になることも考えたのだ
先週のソワレに、ひとり客の中年男が入ってきた。それだけでは珍しくないのだが、日本語に少し訛りがあるので聞いてみると台湾人だそうだ。日本統治時代の台湾で教育を受けたおばあちゃんに教えてもらったのだという。 世界的に有名な車のエンジニアをしているらしく、20年以上もイギリスに住み、国籍もすでに英国のものだという。素朴な短髪に、屈託ない笑顔でフレンドリーだったが、欧米国に長く住むアジア人特有の、淋しさが混じった鋭い目をしている。 「僕ね『深夜の食堂』が大好きなんです」 「『深
「今日忙しかったですか?」 お店が終わったあと、G1通りのヒロシ君のお店で、そこの常連さんである他のバーのママさんに聞いてみた。 「まったく!今日はずっとこの人の貸し切り状態よ。そんな忙しかったの?まったく羨ましいよねえ!」 と隣りにいる一緒に来た自分のお客さんに話しかけるママ。 そうなのか。 ソワレは一階の角にあるため入りやすい。そして私が英語対応もできるため、たまたま土曜が繁盛しているとわかった。 東京の桜が散っても関係ない。コロナ禍が開けたいま、ゴールデン街
(おしえて!!モーション!Vol.2のつづきです。この回のゲストについてはこちらをご覧ください) うん、もう「お前はラーメンだ」みたいな。 桃子 じゃあ、では、次は直江さんの番ですね、何か、ないですか? 直江 モヤモヤね、自分はあのう、こういう見た目なんで、仕事のようなちゃんとしたシチュエーションでよくあるのが、最初っからねえ、なんにも自分の情報言ってもないうちから、ラーメン好きだと思われる。 松浦 あははは! 客席 (笑) 直江 えへへへへ(笑) 松浦 髪の毛か