無料塾などへの寄付について、考えて頂きたいこと。
さっき、他の無料塾の運営者たちと話していて、「寄付」の話題になりました。
私が運営している無料塾は、幸いにもじゅうぶんなご寄付をいただけることで、幅広く「学び」をサポートするということが実現できています。多くの団体は、寄付によって活動を支えられています。
無料塾を運営するには、会場費や教材費など、いくらかの資金が必要となります。これをご寄付で支えて頂けるのはとてもありがたいことです。
一方で、ご寄付を頂いた方から、
「もっと食べるにも困っている子がいるかと思った」
「スマホを持っているような子を支援しなきゃいけないのか」
という声があがることがあり、これがとても悩ましい、そう感じている運営者もいます。ご寄付いただけるのはありがたいのですが、絶対的貧困と相対的貧困がごっちゃになっていたり、子どもたちに「貧困ストーリー」を期待したりされてしまうと、しんどいなぁということがあるわけです。
無料塾を必要としている子はどんな子なのか、それは無料塾本の第1章に記しましたのでぜひお読み頂ければと思います。
もうひとつ、寄付をするにしても「子どもに直接何かを与えること」にしか使って欲しくないという方もいらっしゃいます。教材費、場所代など子どもたちに与える「何か」のために使ってもらいたい、ということなのですが、これに悩まされている団体もあるのです。つまり、人件費や広告費などに使うのはチョット……と言われてしまったりすると、運営全体のことに使えないということですね。
このことについては、2018年に出版された寄付の本でも説明しています(執筆協力をした本です)。
ここでは、こんなことを書きました。
寄付を困っている人たちのために全額使ってもらわないと納得がいかないという人も多いのですが、実際にはその支援対象を見つけて選定し、寄付を渡し、後でフォローアップするということにはコストがかかります。社会に意味のある変化を生み出すということは、どうしても手間暇がかかるもので、そこにはやはりコストがかかるのです。ここにコストがかけられなければ、現実的に社会を動かすような力にはなっていきません。
いくつものNPOを見ていても、やはり優秀な人材にコストをかけているところは、生み出す成果は大きなものになっています。100の寄付があったとしたら人件費は5や10で押さえて、残りの95、90は困っている人にという考え方ではなく、優秀な人材に20のコストをかけることで、残り80の価値が倍の160になっている、というケースがとても多いのです。
「寄付をしてもどうせ人件費に使われてしまうんでしょ」ではなく、人材費を正しくかけることで、レバレッジが効いて効果が上がることもあるという考え方を、知って頂ければなと思います。
現状ではボランティアスタッフで成り立っている無料塾が多いですが、継続可能性を考えると、人件費を出した方がよいと判断している無料塾もあります。その場合に、「大人のためにお金を出しているんじゃない」と考えるのではなく、効果を倍増させるために使ってほしい、と考えて頂ければありがたいですね。
いずれにしても、無料塾は私が運営する団体を含め、ご寄付がなければ運営できないところがほとんどです。いつも支えてくださる方々には感謝しかありません。
より多くの方に、無料塾の意義を感じてもらい、ご支援いただけるようになったらよいなと思っています。