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私たちはまだ恋をする準備が出来ていない #34 Jun Side

アラサー・アラフォーが恋をしたくなる小説。
あらすじ:さとみ32歳、琉生25歳。内緒で社内恋愛中。それを知らずにさとみを口説いている潤が二人の関係に気付く。潤は琉生に片思いをしている由衣と結託して、自分と付き合えるように画策している。
※毎回1話完結なのでどこからでもお楽しみいただけます

「会議室押さえておいたけど」

由衣さんからLINEが来た。

「ありがとうございます!では16時にお願いします」

勘づいてしまったとはいえ、まださとみさんと琉生さんが付き合っているという確証がない。そこを由衣さんに確認してもらう、という段取り。

もちろん呼び出した口実は嘘だ。

俺は隣の部屋でさとみさんと琉生さんの会話を聞いて、次の手を考える。把握している性格上、さとみさんはコロコロ男を乗り換えるタイプでもない。

であれば、もう少し長期的に戦略を練って、ゆっくり仲良くなっていこうと思っている。半面、琉生さんはもともと遊んでるっぽいので、もう一度、由衣さんにそそのかしてもらおうという魂胆。

***

「なんでそんなに佐倉さんに固執してるの?あんただったら別にあんな地味なお姉さん狙わなくても他の人に行けるんじゃないの?」

俺は由衣さんを囲うべく、仕事の後に飲みに行った。

「うーん。遊べる女の子は多分いくらでもいるんですけど・・・」

なんて言ったらいいのかな。

「女の子って、付き合いだすとスゴイ依存してきたり、束縛してきたりするじゃないですか。ドライかと思ってたのに、あれ、なんか違う、とか」

元カノのカノンがそういうタイプだった。男っぽくてさばさばしているのかと思ったら、実際は全然違っていたのだ。

「それは相手によるんじゃないの」

由衣さんがビールをあおりながらいう。

俺は由衣さんのためにタブレットからもう一杯ビールを追加した。

「でもさとみさんってめちゃくちゃしっかりしているし、依存はしてこなさそうだし。俺も甘えたいんですよねえ~」

「あー・・・甘えたいんだ」

俺は新しく来たジョッキを受け取ると、由衣さんの空いたジョッキを店員さんに返した。

「甘えたいですよ、男だって」

「の、わりに、まめだよね。さっきから」

「すいません、クセです」

「ふぅん。じゃあ、今までの彼女にはあんまり甘えてこなかったんだ」

俺はカノや過去の彼女の顔を思い浮かべたが、あんまり甘えた記憶はない。

甘えたいと思いつつ、結局お世話をする係になっていたような。年上と付き合ったこともあるけど、そんな感じだった。

最近は酔っ払ってるカノンをなだめることはしていた気はするが・・・

過去に付き合ってきた女の子たちも、結局は依存されたり嫉妬したり、面倒だったなあという思い出しかない。

「だから次はしっかりしたお姉さんに甘やかせてほしいなと思っています」

「うわー、自己中!」

「いいじゃないですかー。たまにはそんな人と付き合いたいんですよ」

「たまにはって・・・」

由衣さんが枝豆を口にいれながら、顔をしかめた。

「だって、まだ若いしそんな結婚するとか考えられないじゃないですか」

「いや、あんたは若いだろうけど、相手は30過ぎてるんだから、結婚考えるでしょ」

「あー、そっかあ。でも付き合ってみて、楽しかったら付き合うかもしれないし、そうじゃないかもしれないし、付き合う前にそこまで考える必要ありますかね?」

「私はいつも次付き合うなら結婚って考えてるけど」

「女の人ってそうなんですね」

「そうなんじゃない?よっぽど遊んでる女じゃない限りそうだと思うけど」

「つまり由衣さんは琉生さんと付き合ったら結婚したい、と」

「それこそ、そこまでは考えてないわよっ」

俺も枝豆をつまみながら、聞いてみたかったことを由衣さんに聞いた。

「ちなみに由衣さんは琉生さんのどこが好きなんですか?」

「どこって・・・恥ずかしいから言わない」

ゴクゴクとビールを飲む由衣さんを見て、男っぽいなあーと感心してしまう。言ってるセリフと行動が真逆に見えるんですけど。

「やっぱ俺とかに見せてる時に顔と女の人に見せてる顔って違うんですかね」

「あたりまえでしょ」

飽きれた顔で由衣さんが俺を見る。

「それ・・・見てみたいなあー。二人っきりだったら甘えてるかんじ?それともめちゃくちゃ優しい?」

「優しいよ、全然。あいつ会社では氷みたいな人間でしょ?」

「うっわー。うらやましい!俺も琉生さんに優しくされたい!!」

俺は自分が琉生さんから優しくされているところを想像して、悶絶した。

「はいはい、ワンコちゃん。私があいつと付き合えたら、言っといてあげるわ」

「よろしくお願いします!!」

***

16時になった。

さとみさんが、会議室に入ってきた。

「お疲れ様です」

「お疲れ様です、今日はありがとうございます。あ、掛けてくださいね。お茶持ってきます」

由衣さんがお茶を淹れにいった。

俺もちょっと緊張して、聞き耳を立てた。


*** 次回は22日(月)15時ごろ更新です ***

雨宮より(あとがき):今日の話は、本当はさとみが会議室に来たところから書くつもりだったんですが、潤視点だとあんまり話が膨らまないので、由衣さんと画策している飲み会の話に変えました。さとみVS由衣、は次回書きます。

書きながら思っているのは、もともと琉生はもっとめちゃくちゃ冷徹なかんじの予定だったんですけど、さとみの前だとかわいくなりすぎてしまって、潤と差別化出来てないかんじ。そこがちょっと予定外でした。

どっちかっていうとさとみのほうが琉生のことが好きすぎる、みたいな設定だったんだけど・・・初回から間違えた気がします。

ただ一度琉生と由衣さんが付き合ってたかビミョーな時期の話も書いてみたい気がするので、温めておきます。ただ、さとみ相手よりはエロい話になりそうな気もするので、noteにはそぐわない気も・・・(個人的な趣味で今のところエロ要素は入れてません)まあ、いつか書かれた時には「ああ、あの時に言ってた話だな」と思ってもらったらと思います!

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