まじめ
気取らない文章が書きたい。勢いのままに書いちゃったみたいなやつ。
凝った感じじゃない、でも滋味深い料理をさらっとつくりたい。冷蔵庫の残り物整理しましたみたいなやつ。
気軽に手仕事がしたい。これを参考にアレンジしてみましたみたいな。
もっと色々なことを軽やかにさらっとこなせたらどんなにいいだろう。
そうやってずっと思ってきた、私は。
文章を書くと読み手をバチバチに意識した自意識過剰で気取った文章になりがち。料理は料理本をしっかり読んで作る。
手仕事をするときは、好きな作家の本を舐め回すように読んでから慎重に作り始める。
何か困ったことがあるとすぐ本を買うけど、その時も気になるジャンルを一通り調べ尽くし、気になる作家の経歴を出来る限り深掘りする。
物事を気軽に無根拠にアレンジできない。
ジャジーな人や考え方とその行動に強く惹かれるけど、どうしてもできない。
まじめだということには、薄々気づいていた。
夫に指摘されてはっきりと自覚したけど。
そう、私はまじめだ。もはやコンプレックスに近い感情を持つ。
どうしてこんなにまじめにやっちゃうんだろう。
でも子を産みはじめてからその性質が役立つこともあることに気づいた。
そしてよくよく考えると、今までだってこの性質が役立っていることはあった。
それももしかして結構あった。
最近はまじめなことは悪いことじゃない、と思ってきた。
色々なことにまじめに取り組めるのは良いことかもしれない。
憧れる文章や料理や手仕事はまだ作れないけど、
とりあえず今はまじめであることをまじめに愛すことにする。