「1人だけ買占めたら小遣い1万円で、2人とも買い占めたら各々罰金10万円」という囚人のジレンマ。
自分だけ損をするのは嫌だ、と全員が思うので全員が損をする。
買占めが続く状況を調べていて、『囚人のジレンマ』による解説が多く見られたので、私も改めて勉強した。
『ゲーム理論』のなかの『囚人のジレンマ』というひとつのゲームで、別々に司法取引を持ちかけられたコンビの囚人がいづれの取引を選択するか迫られた際に、相方を信じられず双方にとってまずい選択をしてしまうケースを『ナッシュ均衡』と呼ぶ。
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2人とも黙秘なら、各々懲役2年。
2人とも自白なら、各々懲役10年。
1人黙秘、1人自白なら、黙秘は懲役15年。自白は懲役1年。
各々が相方を信じて2人とも黙秘することが一番望ましいが、
自分だけ黙秘を続けたら自分1人が15年も獄にうたれる可能性がある、と思えば、2人とも自白して各々懲役10年になる。
今回のような買占め騒動も、各々がご近所を信じていれば全く日常通りの買い物を続けられるが、自分だけ何も買えないのは嫌だという行動をとると、住民全体が結果的に損失をこうむる。
2人とも自白して各々懲役10年になるパターンだ。つまり『ナッシュ均衡』である。
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全員が生活のクオリティを大きく下げる裏切り合いを選択する羽目に。
タイトルは、囚人のジレンマにこの買占め狂騒に照らして、
1人だけ買占めたら小遣い1万円で2人とも買い占めたら各々罰金10万円。
としてみた。
いわば「1人だけ買占めたら小遣い1万円」的な心理が働くので、それぞれが買占め行動に突入するが、それをみんながやるので結果的に「2人とも買い占めたら各々罰金10万円」のような、全員が生活のクオリティを大きく下げる裏切り合いを選択してしまっているのだ。
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小池都知事は『囚人のジレンマ』を図解するボードを出すべきだった。
↓これじゃなく
↓これでもなく
↓これ!
小池都知事が、
「どちらかだけ小遣い1万円とは甘い罠です。釣りです。
皆さんが自分だけ1万円を貰おうとして、全員が罰金10万円払うことになります。
そうならないためには、皆さんがいつも通りに余分なものは買い控えることです。
そうすれば、どのお店にも商品が棚いっぱいに並んだいつもの東京が維持できます」
と、こんな感じのパネルを使って説明してくれたらよかったのだ。
「食料品や日用品の買い物は、不要不急の外出にはあたりませんが、極力出控えてください」
と、怖がらせないように言ってくれたらよかったのにな。
コロナに自粛に停滞に、みんな目いっぱいこわがってるんだら。