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Don't worry

観ました?
芸人・とにかく明るい安村が海外でめっちゃウケている、あれ。
わたしは何回も観て、何回も笑って、ちょっと泣いてしまいます。
 
ポージングによって「パンツ履いていないように」見えるというギャグ。
日本ではもう何年も前に流行するも、
入れ替わりの激しいお笑い界では忘れられていった。
さいきん服を着た本人がテレビに出ているのを見ても一瞬誰かわからなかった。
そのひとが、スーザン・ボイル(って懐かしい)も世に出るきっかけとなったことでもお馴染みのイギリスのオーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」に出場して、イギリスの劇場で、審査員とお客さんを前に、あの芸を、英語で見せる。
 
「Don't worry, I'm wearing!」
 
元々わたしはこういった頭でっかちのどや顔をしていないお笑いは嫌いじゃない。
しかし「裸のジェームズ・ボンド」って。
つい褒め言葉が出た。「あほやなあ」
 
でもそれよりなにより、
めっちゃ笑ってる審査員と客席に、胸がいっぱいになりました。
 
笑ってリアクションしてる審査員やお客さんの反応、
それをうけての芸人本人のほんとうにうれしそうな満足そうな表情、
審査員とお客さんが笑ってる顔を見て一緒に笑って、で、ちょっと泣きそうにすら、なりました。
 
パンツ一枚の裸のおじさんと、皆の、なんていい表情(かお)。

「Don't worry」
ここに辿り着くまでには、
こんなに皆が笑うこの時と空気に至るまでには、
表には出さへん見せへんどれだけの苦労や悩みがあったやろう。
だからこそこの〝一瞬〟と笑顔とこの空気は尊いのかもしれない。
でもこの一瞬の時と空気はこの一瞬でまたこれからの時間がずっとはてしなく続く。
〝苦しきことのみ多かりき〟
でもきっと、だからこそ。


話はちょっと変わります。
 
新日本プロレスにウィル・オスプレイという選手がいる。
 
イギリス出身の、男前かどうかはわからんけど男前な、
いや、男前を通り越して、とてつもない技をみせる選手(の、ひとり)。
キャッチコピーは「エアリアル・アサシン(空中の暗殺者)」。
地上波のテレビ番組では「青い目の忍者」とかいう変なキャッチフレーズを付けられていて「それどうなん?」「なんか偏見と差別すれすれじゃね?」とか思ったりもしたのだけど。
 
忍者と名付けたい気持ちもわかるような、動きと試合運びと技。
ぴょんぴょん飛ぶ。ヘビー級やでジュニアちゃうで。ちゃうのに。
技もスタミナも、きっと、気持ちも、すごい。
試合を観ていていつも口から出る。「なんでそんなに頑張るねん」
呑みながら試合を観ているとつい口から出る。「新日はオスプレイの給料を上げろや」
すぐについお金のことばかり考える癖ですみませんやが。
もう立ち上がられへんやろみたいな時にも
マジでゾンビのように這い上がってきてまだキレキレに飛び、攻める、受ける。
もうフラッフラの中、飛ぶ前、技を決める前、
顔の前で十字架をきったときなど、ちょっと泣きそうになった。
(よければ今年の「1.4」東京ドームにてのダブルメインイベント、ケニー・オメガとの一戦などご覧下さい)
 
最近ケガで長期欠場となったという発表をみていたのだけれど、
でも、え、でももう海外で試合出てるんやマジか、と、この数日びっくりした。
そういや、いつだったか「試合をしていないと調子が(具合が?)悪くなるんだ」なんてコメントしていたのも読んだのだった。
 
で、検索したら4年前のインタビューを見つけて、目を通したのが、数日前。
 
「さみしさを抱える人たちのために、僕は闘い続ける」
 
どきりとした。
 
それは、オスプレイの気持ちの中を覗けた気がしたからだけでは、なく。
 
〝花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かりき〟
 
rockin'な作家・ブレイディみかこは著書のタイトルにこう書きました。
 
〝花の命はノー・フューチャー〟
 
でもね、有名なこのフレーズには続きがある、という説もあるのだって。

ほんとかな。でも、載せたくなりました。 

〝されど花は咲くなり人(蝶)は舞うなり〟


読み、ちょっと泣いた、この数日。

◆◆◆
以下は、すこしだけ自己紹介 。
よろしければお付き合い下さい。

構成作家/ライター/コラム・エッセイスト
中村桃子(桃花舞台)と申します。

大衆芸能、旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

(普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、各種文章やキャッチコピーなど)

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

演劇鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)などの鑑賞と、学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)経験などを経て、
某劇団の音楽監督、亡き関西の喜劇作家、大阪を愛するエッセイストなどに師事、野放しに育てられてきました。

舞台と本と、やはり劇場と人間と、あ、酒も愛し、人間をひたすら書いてきて、書いています。

lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。

その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中です。
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