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「劇場」、物語と物語を作る皆の場所

物語が好きなんです。
起承転結や盛り上がり、
ドラマというストーリー(お話)と、
それをどう転がすかという演出。
そうして受け取るメッセージやテーマ。
だから家でサブスクを観るのはめっちゃ楽しいです。
ネットフリックスにアマゾンプライム、
YouTubeに、新日本プロレスワールド。
でも、でも……。

昨年のコロナステイホームをきっかけにこれらと仲良くなりました。
登録だけはしていたけれど放置していたものを観出したり、
そうしてサブスクに慣れたことで新たに登録したり。
映画、舞台、プロレス。テレビやPCでいつでも好きな時に好きなように観られる。なんてありがたい時代なのでしょう。
いろいろ追い付かないくらい観るもの観たいものがある、続々とアップされる。
真剣に思いました。「これあったら1か月は外出なくてええなあ」

劇場や会場まで移動する手間もしんどさも交通費もいらないし。
大劇場で遠くから豆粒みたいに見えるのではなく表情もハッキリ見える。
公演時間中ベタ付きで観る必要もない。一時停止、再生、停止。いつでも冷蔵庫にもトイレにも行ける。仕事にも戻れる。
OH! マイ・プライベート・シアター!
私のように放送局などの現場仕事以外は1日中PCで仕事をする人間にとってはマジ、心の友そのもの。

素敵なことがある。

物語を追うのに、邪魔なものが入らない。
ちょっと集中力削がれるお客さんが近くにいてイライラしたりとかがない。
ヤジがうるさいとか、拍手や手拍子が耳障りとか、
隣でずっと貧乏ゆすりされるとか、
始終ポップコーン食ってるとか、
高さのある帽子や派手な盛り髪のやつとかが前列に座っているとか、
まわりの状況考えず黄色かったりピンク色の声援で応援してるやつ(このご時勢ではいませんが)とか……
物語に集中したいのに超絶ゲンジツな雑音(失礼)雑動き(なにそれ)な人たちが居ない。
びば! マイ・パーフェクト・プライベート・シアター!

でも……。

そんなに楽しいのに、超満足なのに、どこか物足りなさもあるんです。
余計なものなしに観られるのに、いろいろこんなに超・自由なのに。

ないのは、足りないのは、劇場や会場で、「一緒になって」みられるあの感じ。いろんな人、ホントいろんな皆と、一緒になる・なれるような、あの感じ。

「あー、横のおっさんうっとーしー!」
「あー、盛り髪できゃっきゃやってる若いねーちゃん軍団うぜー!」
「兄ちゃんずっとなんか食ってるやん、臭いするやん、もー!」
「ちょっともーカップルで来るねやったら映画のチョイス間違ってるやろー!」
「ああ、ああ、腕組んでメモして、レポ屋ですか。ふふふ。ははは」
「あ、あの2人、1人は興味ないのにつれてこられた感じやな」
「もー。演者を困らせるなよー邪魔するなよー」
「あ、あのねーちゃんはあの役者にお熱やな」

あ、すべて心の声。実際の会場で口には出さずに思ったりツッコんだりしていることですよ。
そう、大好きな「物語」に入り込んで観て、作品にこめられたメッセージを受け取りたいのに、
妨害したり邪魔したりするようなそれらが、当然のことながら、ない。
ない方がいい。でも、ない、のが、寂しいねん、物足りないねん。
なんか言うてることめっちゃ矛盾していますよね、でも(笑)

劇場は、一期一会の不思議でおもろい空間。
1人として同じ人が居ない人間がその瞬間、同じ会場に集まり、同じものを一緒に観る。
だから、その「あー! うぜー!」が、それすら、めちゃめちゃ愛しい。いつもそう思っていたのですが、さらに思いました、気付きました。
皆の目線の先に同じものがある。演者だったり、作品だったり。
それぞれが、1シーン、一瞬で、心がひとつになって、また、離れて、また一緒になって……。
己を含めツッコみどころの多い人間が、集まり、皆で、同じ場で、それぞれの目的や想いをもって、観る。
その空気や気や気持ちのかたまりというものが、私は、めちゃくちゃ尊く感じ、愛しい。
でもって、映画はちょっと違うけれど、舞台など場合、
その会場内のすべてが、舞台上の演者と相互作用というか、
舞台と客席が互いにに呼応し合い、
「今」この時しかない気とステージが出来上がる(ような気がする)ことが、尊くて、眩しくて、愛しい。
時にそれはいい影響だけでなく悪く作用することもあるけれど、それすら、realでliveな一期一会。

liveでlife、猥雑な生、愛しい生、俗っぽくて、俗っぽいからこそ、聖。ああ、だから、「劇場」が好きなんだなあ、と、便利で嬉しいからこそ、再確認し、笑ったり苦笑いしたりしながら、思います。

物語が好きです。
でも物語を見、一緒に物語を作るそれらもまためっちゃ物語なんやね。物語の「×2」なんやねえ。
顔見知りも、知らない人も、うぜーお客さんも嫌いなお客さんも、
つまりは勿論自分自身も誰かに絶対嫌われたりうざいとも思われたりもしているだろうけれど、
でも、楽しいことも厄介なこともある劇場でいろんな皆と観たい。感じたい。

演者が作る物語をみて、こちらからは何も出来ないけれど、皆がpowerを送って、送ろうとして。物語を一緒につくる物語たち、皆の物語が光る、「劇場」というギラギラで、でも、だから、キラキラな場所。だから、うっとおしかったり、バテるくらい、面白くて、笑い泣きするんやなあ。

でも、それは今は贅沢すぎることにすら、なっていたりもする。
贅沢どころか、今、劇場に行くというそのことが、誰かの身や健康に影響してしまうことすらある。だから、今までは普通に気軽に行けていたことがとても悩みながらになったり。また、行きたくてもいろんな理由や事情で叶わなかったり。グッと堪えていたり。うん、勿論、己も他人事ではありません。

ああ、今、どうしたらいいんだろう。皆、皆が、それぞれ悩んでいるし、苦しんでいる。客席も、きっと、舞台上も。

あの大勢で、皆がなにも気にせず心配せずに集い、一緒になる「生」が叶うまで。きっとその時は残念ながら早く近くはないのだろうと思います。
だから、叶うまでは、なくならないように、絶対になくならないよう、
いや、なくさないように、私も、皆と、考えながら、共に出来ることをやりたい。考えて、動いたり、敢えて動くことをしなかったり。

皆の、皆が、皆だからこそ、輝ける「劇場」を、ありとあらゆる「興行」を。なくしたくない。なくさない、なくさせない。

≪人は、1人として同じ人が居ないからこそ素敵や≫ってことや、
≪皆が皆誰かのためや何かのためになっている、あなたが居る今や私があるんだよ、皆で今や世界ができているんだよ≫ということを実感、いや、体感出来るこの場所たち、「劇場」を、「興行」を。

緊急事態宣言が、また発令されました。なんだかいろいろ悔しいな、と思います。
でも、どうか皆さん、大切にね。大事にしてね。皆のためっていうか、まず自分のために。
たぶんきっと、それがまず最初に、皆や大事な人のためになるような気もしています。
また皆でアホなこと言って笑えますように。皆で一緒になれますように。舞台上の大好きな人たちが楽しめるように、そんなほんまに嬉しそうな楽しそうな顔を見たい、見られるように。


まだまだその場で一緒になれなくても、
スマホやPCや画面越しでも、例えばSNSというひとつの劇場でも、
すべての人は、きっと、ちゃんと、繋がっている。そない思うし、思いたい(笑)し、皆にも伝えたいなと思います。何の根拠もないから、何の説得力もないし、なんでお前がそんなん言えるねん、ですが、1客席の、1劇場大好きさんとして(笑)
家や画面では「体感」は出来ないけれど、でもそれぞれが皆それぞれの物語を想像し、受け取ることは、きっと出来る。私も、めっちゃ、送るね(うるさいな。笑)

早く、なんとか、なんとしてでも、皆で、なんも心配せずに、わぁわぁ、出来ますように、言えますように……! 念じ、言霊(?!)のように、ここに置いておきたいと思います。あ、勿論、サブスクもいっぱい観る。素敵な物語をありがとう。物語たちも、ありがとう。みんな、みんな主役。だから、どうぞ、元気でね。

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◆読んだ本のことを自分のことと合わせて書く場所かな

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大阪の物書きでございます。
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
下町・大衆文化も好きです。
女2人の立ち呑み旅、連載中。現在第8回(先月11月に最新話更新)。
http://tabistory.jp/cat_story/cat_sakabawoman/
普段はラジオ番組やらCMやらの構成作家やライターです。
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momo|桃花舞台
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