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陽気と妖気と春コート

昨夜仕事の手をとめて外に出てみると
キンッとかヒヤッとかではなく、
もわっ、ふわん、みたいな空気がまとわりついてきたからはっとした。
そして今朝からはじっとりとした雨だ。
もわっ、ふわんに加えて、じっとりまで貼りついてくるから、ぞわぞわとする。
でもこの気持ちの悪さというか、どこか妖気めいたものも、ああ春なのかもしれない。
いろんなものが蠢く季節がもうそこに居る。肌で感じる日曜日。
 
自分事にかまけていて余裕なく、
はたと気付いたら冬物のコートを着ているのは自分だけだった。
重たい黒いコートを脱がなくちゃ。
そんな小編を思い出す。
鷺沢萠だったような気もするが定かではない。
 
他人のコートに興味があるのは、
やはり、そこに、何かナカミの滲みを感じるからか。
防寒重視? 見た目重視? フォーマル? 柄物?
子供の頃から憧れたり惚れこんだりしてきた
世界各国(日本も含むが)の名探偵たちのコート姿は実に粋だ。
先日ヒラッとしたコートに洒落た自転車のおじさんを見かけた。
「あ、古畑任三郎が居る」 居るわけない。
同じくコートの思い出といえば、真っ赤なダッフル。
わたしの最初の師匠(先生)、
今は訳詞と役者で人気の人が(今思うと)若き日に着ていた。
あの頃、先生はややこしい今で言うストーカー的なファンから逃げていた。
ちょっと鮮烈。ダッフルの赤。
 
そろそろ分厚いやつもあれだろうとわたしも引っ張り出してきた。
これ、どこでいつ買うたやつやろ。覚えてもない。
むかしは柄物が好きだった。
訳わからん柄物はたくさんあるがさすがに着れん。
もわっ、ふわん。少々戸惑う。体がまだ慣れずにぞわぞわ。
でも明日からの週明けはまためっちゃ寒いと聞く。
なんなん。なんでなん。ころころころころ。
でも、なんか、その気まぐれというか、訳のわからん感じも、春っぽい。
ことしの春はこれでいこかな。裾がひらりっとなるのはちょっといい。
でも一歩間違ったら京極夏彦。やっばいなー(笑)
あ、写楽の画がでかでかとプリントされたコートもあったな、あれにしよかな。いったいなー(笑)

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構成作家/ライター/エッセイスト、
momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
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momo|桃花舞台
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