タイトル

人のイングリッシュを笑うな #1 英語力ゼロで渡英したらどうなるか

35歳、英語力ゼロ。

英語を公用語にしている企業は、楽天やファーストリテーリングをはじめ、今後さらに増加傾向にあり、資生堂やHONDAも取り入れることが決まっています。ベンチャー企業でもその流れは濃く、もはや語学力はビジネススキルというよりも、あって当然のマナーなのでしょう。

一方で、受験勉強を最後に英語から遠ざかり、その必要性を感じながらも日々に忙殺され、英語力を完全にごまかしてきたタイプの社会人が多いのも事実です。

そのタイプの人間は、たいてい思っているのです。

「英語を習得できないのは、とにかく今、忙しいから。万一海外に住むなんてことがあれば、きっと習得できるはず」———。

そんな思いこみは本当なのか、ならば行ってしまえと、全財産を投げ打ってロンドンにやってきた、35歳、英語力ゼロ。

正直、TOEIC、TOFLEさえ受けたことがありません。

出張先の食堂で「Folk please」といったつもりが通じず「Coke」を出していただいたこともあります(さも、注文したものがきた、みたいな顔をして飲みましたけど、コーク)。

そんな人間が、ある日いきなりロンドンに移住したらどうなるのか。10代の若者に混じってゼロから英語を勉強し直したらどうなるのか。時にはなぜか同じ日本人に英語を笑われながらも、七転八倒して覚えたフレーズの数々。超基本からスラングまで、重い腰をあげて英語に挑戦しようとされているオーバー30の方々にお届けできたら光栄です。

Take away/和製英語に翻弄される

「会社の引き継ぎが忙しかった」を言い訳に無勉強のまま出国を迎えた私が最初にカルチャーショックを受けたのは空港近くのスターバックスで店員に聞かれたこの言葉でした。

‘Take away or Take in?’

これは「持ち帰りなのか、食べていくのか」、と聞いています。

しかし英語力ゼロには「お持ち帰り」=Take outがしみついていて、awayが何のことかさっぱりわかりません。

店員さんの身振り手振りでやっと理解。さっそく心が折れた瞬間でした。

‘Take out’は和製日本語で、アメリカでは‘To go’イギリスではこのように‘Take away’というようです。

ロンドンではTake in かTake awayかで、同じものを頼んでも値段が違う店が多いため(その差額は時にサンドヴィッチひとつでも£1=140円超え)、必ず聞かれる質問です。またTake inで食べて残してしまった際でもお皿を指差して‘Take away please’とだけ言えばすぐにお持ち帰り用に包んでくれるので、一度覚えてしまえばなんとも便利な単語でした。

Way out/地下鉄で迷わないために、覚えておくべきただひとつの単語

地下鉄は日本同様、多くの線が交差していますが、線がすべて色分けされて案内も充実しているので「赤のラインに乗る」などとわかっていれば英語力ゼロでも、目視で乗り切れる、と聞いていました。

……確かにその通りでした、しかし、出口がわかりません。

さすがに「Exit」の表示くらいは見つけられると思っていました。でもどこにもありません。

Way out

これが「出口」という表示でした。「Exit」よりも一般的に使われていて、確かによく見ればそこらじゅうに「way out」の表示。劇場でも美術館でも、この標識に従っていくようにするとスムーズで、これも生きて行く上で絶対必要な単語でした。


地下鉄に乗れた、コーヒーも買えた、これで最悪やっていけるのでは!?こうして私は自分への期待値を底辺まで下げてイギリス生活をスタートいたしました。



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