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【ももたろレビュー】アニメ#2『サイバーパンク:エッジランナーズ』

皆さんは『Cyberpunk2077(サイバーパンク2077)』というゲームを知っていますか?

開発元の”CD Projekt RED”はあの『ウィッチャー3』を開発したゲーム会社であり、

※ウィッチャー3
2015年発売。数々のゲーム・オブ・ザ・イヤー賞を受賞し、ビデオゲーム史上最高のRPGのひとつとして挙げられる超有名作品。

ポーランドのファンタジー小説を原作とし、重厚な世界観の中で提示される膨大な量の選択肢とそれによる物語の変化が魅力。

その5年後。2020年に満を辞して発売日を迎えたサイバーパンク2077は熱狂的な支持を持って市場に迎え入れられました。

予約販売のみで800万本を売り上げ、Steam(デジタルゲーム販売を主にしたインターネット上のマルチプラットフォーム)の同時接続プレイヤー数でも当時の記録を更新したそうです。

ところが。

発売後評価は一転。
全プラットフォームで発生した大小様々な大量のバグや最適化不足による低いパフォーマンスにより大炎上。

開発会社が謝罪する事態に発展しダウンロード版の販売が一時停止、さらには希望者に全額返金を行うという前代未聞の措置が取られました。

当時ソフトを購入したももたろもあまりに酷いバグの数々でまともにプレイが出来ずついにはソフトを返品。代金を返却してもらった思い出があります。

以降評価が地に落ちたサイバーパンク2077は細々とバグ修正が続けられ、しかしいつしか熱心なファンではない人々の記憶からは忘れられていったのでした。

そんな状況の中で2022年9月13日にNetflixで配信開始となったのが『サイバーパンク:エッジランナーズ』です。

『サイバーパンク:エッジランナーズ』

ジャンル:アニメーション、サイバーパンク
原作:サイバーパンク2077
制作会社:TRIGGER(キルラキル、ダーリン・イン・ザ・フランキス、ダンジョン飯など)
監督:今石洋之(天元突破グレンラガン、キルラキルなど)
声の出演
◎デイビッド・マルティネス:KENN(アルスラーン戦記、宇宙兄弟など)
◎ルーシー:悠木碧(魔法少女まどか☆マギカ、君の名は。など)
◯メイン:東地宏樹(ウィル・スミス吹替、トリリオンゲームなど)

あらすじ
:近未来都市ナイトシティにて。
貧困層出身の少年デイヴィッドがとある事件をきっかけにエッジランナー(肉体を機械兵器に置換し、力によって裏社会で成り上がろうとする傭兵の総称)となる物語。

デイビッドは謎の少女ルーシーとの出会いを経て、メイン率いるチームに加わり危険な仕事をこなしていく。
体を機械化し能力を拡張しながら夢と希望を追い求めるが、その代償として精神を蝕まれていくのであった。

本作はサイバーパンク(コンピューターネットワークによって管理され、暴力によって退廃した未来社会を描写するストーリージャンル。『攻殻機動隊』などが有名)な世界観を元に少年と少女の出会い、少年の成長、守るべきものを手に入れた男の戦いを真っ向から描き切った意欲作であり、レビュー集積サイトRotten Tomatoesで高評価を記録するなど高いクオリティで話題の作品となりました。

この『サイバーパンク:エッジランナーズ』と同時期に公開されたゲームのアップデートも高評価であり、これ以降Steamの同時接続者数も驚異的な右肩上がりに転調。
地に落ちたゲーム作品の評価を挽回するきっかけとなった作品なのです。

『サイバーパンク:エッジランナーズ』の何が面白かったかといえば、まずはキャラクター造形が大変魅力的であった事が挙げられるでしょう。

あまりに不幸な境遇でも諦めずに未来へ走り続ける主人公デイビッド、そんなデイビッドと惹かれ合うハッカーの少女ルーシー、時に厳しくデイビッドに接しながら彼を導くメイン、デイビッドに惹かれながらもルーシーの存在から素直になれないレベッカなど様々な登場人物達が生き生きと描かれます。

ハッカーの少女ルーシー。最初はツンツン惚れると一途。
主人公が彼女のために命をかけて戦う価値があると感じさせてくれるヒロインです。

話数は各30分の全10話。物語はテンポよく進み、輝く未来と破滅に向かって全力で駆け抜ける彼らのストーリーからは一瞬も目を離せません。

舞台となる世界はゲームと同一であり街並みや使用される武器、インターフェイスなども忠実に再現。一部のBGMやSEもゲーム内の物がそのまま流用されています。
おかげでゲームの魅力を押し上げることにも大成功。

戦闘描写は血や内臓が飛び散る凄惨なものもありますが、スタイリッシュな演出のおかげでグロテクスに感じる一歩手前に抑えられています。
女性の裸の描写もありますがいやらしくは感じないお色気要素程度。

しいて不満を挙げるならルーシーがデイビッドに惚れる描写が若干不足気味(少し唐突に想いを伝え合う)であるのと、中盤以降彼女が行なっている活動の内容がちょっと分かりにくいということ。
これらをもっと丁寧に描いていれば最後の展開もよりドラマティックだったのにな〜と感じます。
さらに言えば個人的にはもっともっと幸せなラストが良かった(これはゲーム会社の方針だったようです)。

またゲームをプレイしていないと専門用語に少し戸惑うかもしれません。
サイバーパンクというジャンルが初見だとちょっと理解しにくいかも…?

ただし物語を追っていくうちにある程度内容は理解は出来ます。

逆を言えばこの程度の不満しか出ないほど良いアニメ作品であったとも言えます。

原作ゲームをプレイしていなくても面白く、プレイしていれば相乗効果で余計魅力が増す本作品。

皆さんも一度鑑賞してみては如何でしょうか?


今日も良い1日を。

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