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『年収の壁』について解説①【お金の話】
おはようございます。ももたろです。
前回の記事では、『103万円の壁』について解説しました。
簡単に言えば「お給料が103万円を超えると超えた分に所得税がかかる」というお話でしたね。
しかし例えばパートで働く奥様の中には「おや?旦那から超えちゃダメだよって言われた金額と違うな?」と思った方もいるかも知れません。
実はこの『壁』には、”年収の額”によっていくつか種類があるのです。
というわけで。本日はこの『年収の壁』について深堀りしてみましょう。
◯『年収の壁』の種類
※年収の壁について学ぶ前に、次の言葉を覚えておきましょう。
被扶養者(ひふようしゃ):健康保険に加入している会社員に扶養されている(養われている)家族のこと。
被扶養者自身が働くことで年収や労働時間などいくつかの条件を満たすと、”扶養が外れて”、”健康保険の加入対象”となる。
『年収の壁』には以下の3種類が存在します。
①税金に関わる壁
②社会保険に関わる壁
③配偶者手当に関わる壁
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出典:https://www.mhlw.go.jp/content/001265287.pdf
いきなりこの図を見てもよく分かりませんね。順に解説します。
①税金に関わる壁
会社員やパート、アルバイト職員が得る給与所得や自営業者が得る事業所得など、『所得(年収)』を得た場合そこからを控除や経費の値を差し引いて総所得金額(『課税所得』とも)が算出され、『住民税』と『所得税』が課税されます。
『総所得金額(課税所得)』の算出方法
・会社員やパート、アルバイト職員の場合
お給料等の総支給額 − 必要経費(=給与所得控除、基礎控除等)
= 総所得金額
・自営業者の場合
事業によって得た総収入金額 − 必要経費(事業運営に掛かる経費、基礎控除等) = 総所得金額
この住民税や所得税を払う必要があるか否かを分けている金額が『税金に関わる壁』です。
1)100万円の壁
これは『住民税』の支払いが発生する年収を分けた壁です。
実際に住民税の課税所得が算出されるまでを見てみましょう。
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会社からのお給料が100万円であったとします。
そこから『給与所得控除』として55万円が引かれます。
次に残りの金額から『住民税の基礎控除』が引かれます。
最後に残った金額が住民税の課税所得金額となります。
上図の例で言えば、控除のおかげで住民税は掛かりません。
『住民税の基礎控除』は給与所得が100万円以下の場合非課税限度額として45万円が設定されている場合が多く(自治体によって多少異なる)、給与所得が100万円を超えると43万円が適用されます。これがややこしい。
お給料が100万円を超えると以下の図のようになります。
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かなりややこしいので、『お給料が大体100万円の壁を超えると住民税が掛かる。ただし課税対象となるのは壁を超えた分の金額だけ。』
と覚えておきましょう。
2)103万円の壁
これは『所得税』の支払いが発生する年収を分けた壁です。前回の記事で解説済みですね。
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お給料から『給与所得控除』と『(所得の)基礎控除』が引かれ、残った金額に所得税が掛かります。これら控除の最高額が103万円。
3)150万円の壁と201万円の壁
この2つは”配偶者の”所得控除に関係する年収を分けた壁です。
自身ではなく、配偶者が得る『配偶者特別控除』に影響があるんですね。
『配偶者特別控除』とは?
養われる妻や夫に収入がない場合(被扶養者の配偶者がいる場合)、養う側の配偶者は所得の金額に応じて所得控除(税がかかるお給料の減額)を受けることができます。これが『配偶者控除』
養われる妻や夫に収入がある場合は年間の合計所得が48万円を超えると配偶者控除の対象外となりますが、一気に0になるわけではありません。
養われる妻や夫の収入が一定の値に達するまで(扶養から外れるまで)、養う側の配偶者は段階的に減額されながら所得控除を受けることができます。これが『配偶者特別控除』です。
これもまたややこしいので図で見てみましょう。
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表の出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm
養われる妻や夫の年収が150万円以内であれば、『給与所得控除』によって合計所得金額が95万円以下となり配偶者特別控除は満額となります。
そこから養われる妻や夫の所得が増えていくと段階的に配偶者特別控除の金額は減少していきます。
養われる妻や夫の年収が201万円に達した段階で合計所得金額は133万円となり、
※給与所得が増えると給与所得控除の計算方法も変化していきます。
給与所得201万円 ✕ 30% + 8万円 = 給与所得控除68万円
給与所得201万円 − 給与所得控除68万円 = 合計所得金額133万円
さらに収入が増えれば『配偶者特別控除』の対象からは外れてしまいます。
この配偶者特別控除が受けられるか、受けられないのかの年収を分ける壁が『150万円』と『201万円』にあるというわけです。う〜ん、分かりにくい。
以上が『税金に関わる年収の壁』の解説でした。
ここまでの内容であれば働く量を抑えなくても手取りが減ることはないですが…社会保険や配偶者手当を考慮すると話は変わってきます。
次回以降の記事で解説するので、お楽しみに。
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今日も良い一日を。