夢を掴もうとする少年たち
produce101Japan season2が先日、終わりを告げた。
(ここでは、番組の詳しい説明は抜いて話を進めさせていただきます。)
わたしは、韓国のproduce101(以下プデュ)を見たことがある。
若き少年たちが、アイドルになるという夢に向かって練習を重ねる姿が映し出され、デビューできるのはたった11人というサバイバルオーディション。
韓国の番組では、皆どこかの事務所に所属をして本気でアイドルを目指す少年がそこにはいた。
わたしが見ていた韓国のプデュはproduceX101(以下プエク)であったが、結局、わたしの推しは第二回順位発表で脱落した。
きっとどこかでデビューしてくれるだろうと思っていた彼は、アイドルにはならない、とインスタライブで告げ、この夏に兵役に行くことが決まった。
いつのまにか、彼のInstagramは消えた。
もう、彼を見ることはないのかもしれない。
日本のプデュは今回で2回目であった。
season1はリアルタイムでは見ていなかった。
プエクで推しが脱落したことをまだ引きずっていたからかもしれない。
結局season1は後追いという形で見た。
もうデビューメンバーは知っていたし、推しを作って脱落したときの気持ちを知っていたから、流し見程度であった。
心のどこかで、韓国とは違って一般人だった少年たちがオーディションを受け、デビューが決まれば世界的スターになるというシナリオがどうも気に入っていなかった。
韓国では何年もデビューを夢見た少年たちが挑む数少ないチャンスであるのに、日本では一般人から募る。
「俺かっこいいしいけるんじゃね?」
「これに出れば有名になれそう」
「アイドルに会えるかも」
そう思って応募した人だって少なくないはずだ。
でも、
「やっとチャンスがきた」
「今まで誰にも言えなかったけどアイドルになりたかった」
「アイドルになりたくてダンスをやってきた」
そういう少年にも平等なチャンスだった。
番組に出た少年たちを否定はしたくない。
でも、どこかで羨ましいという気持ちがあったんだと思う。
ずっとアイドルになりたかったわたしは、女の子であって、アイドルを目指すにしても、
アイドルとしての賞味期限がとても短かった。
20歳を超えればグループではおばさん扱いらしい。
プデュを見て、思っていた。
わたしも男の子に生まれたかった、と。
男の子だけに与えられたチャンス。
それが、面白くなかった。
ただのわたしと同じ年代の一般人が、数ヶ月でキラキラとした憧れの世界に入れることが。
ただの嫉妬であることは自分でもわかっている。
話を戻して、season2を見始めたきっかけは何だっただろうか。
出演者が決まって、101人のプロフィールが出たとき、Twitterのタイムラインは大盛り上がりだった。
中でもトレンド入りを果たした人の中には、過去に某J事務所に所属していた子もいた。
夢を10年近く追い続けてきた少年がいたのだ。
わたしはこれが見たかった。この少年が陽の光を浴びるのを待ち望んだ。
わたしが毎日投票したのは田島将吾くん。
元Jというのもあって、センターは嫌だという声も聞いてはいたが、わたしは彼がセンターを取るその瞬間を見たかった。
センター争いはファイナルまで田島くんと木村拓哉くんだった。
ファイナル当日、101人いた少年たちは段階を経て21人に絞られていた。
ファイナルは、何が起こるかわからない。そういうものだとは知っているつもりだった。
デビュー圏内を走り続けた人が脱落したり、初めてデビュー圏内に入ってデビューする人がいたり。それが当たり前なのだ。
ファイナル、それはとてもキラキラしているの。
一般人のわたしには、とても眩しくて。
テレビに映る彼らは誰ももう一般人ではなかった。
デビューをここでしなくても、誰もがどこかでデビューをするんだと思う。
ファイナルのLet Me Flyで、田島くんはセンターを務めた。前回の順位発表で1位だったからだ。
今まで見たどの日プのパフォーマンスよりも輝いていた。誰もがダンスも表情も上達していたし、楽しそうにパフォーマンスをしていた。
センターの田島くんは、本当に素敵だった。
素質がある、と一般人ながらに思ってしまうほどだった。
結果、田島くんは3位だった。
センターにはなれなかった。
2位でもなかった。はじめての数字だった。
それでも、わたしの中のセンターは田島くんだった。
少年は夢を追う。
しかし、夢は更新し続ける。
わたしはアイドルではないし、アイドルになることもこの先きっとない。
アイドルが見せてくれるものは、夢だけではない。
その人の人生そのものだ。
それがたとえ、仮面を被ったピエロであっても、それもそのひとの人生の一つなのだから。
わたしは夢を追う。
しかし、夢は更新し続ける。
誰かに見られていなくても、それはわたしの人生なのだから。
デビューおめでとう。田島くん。