2020
4年前は2016年じゃなくて2020年らしい。
誰が信じられるだろうか。
4年前は2020年らしい。
わたしの中の時間は
2020年で止まっているらしい。
2020年、わたしは二十歳だった。
4年前、わたしは二十歳だったみたいだ。
東京で過ごして2年目だった。
大学2年生だった。
コロナ真っ只中だった。
大学に通えなかった。
バイトを辞めた。
姉と二人暮らしを始めた。
お酒を飲めるようになった。
二十歳の誕生日、
お昼はコンビニで好物のグラタンを買い食べた。
夕方には一人でスーパーに行き
お酒とケーキを買った。
年確されるかなとドキドキし、
研修中の若いお兄さんにちゃんと年確された。
「お兄さん、わたし、今日が二十歳の誕生日なんですよ」
「それはおめでとうございます」
なんて会話はできなかった。
あの時、免許証を見たお兄さんは何を思ったんだろう。研修で緊張して、今日の日付なんてわからないで、形だけで年確したのかな。誕生日に一人ケーキを買う悲しい女の子だと思ったのかな。
一人で食べるケーキとお酒は
そんなに寂しくなかった。
缶チューハイ1/3で酔いがまわり、クラクラした。
腕の筋肉が痛んだ。
ケーキの味は覚えてない。
二十歳の誕生日は結構鮮明に覚えている。
けど、2020年の記憶はあまりない。
どこに行ったとか、誰と過ごしたとか、
何が楽しかったとか、何が悲しかったとか、
そういった記憶がない。
きっと東京と自分の住む街を練り歩き、
きっと大学一年でできた数少ない大切な友だちとカフェに行き、
きっとある程度楽しんだ。
きっと悲しい出来事は少なかった。
2020年、
東京オリンピックはやらなかった。
というより、次の年にずらしたようだ。
2020年、
具体的な記憶はないのに
語呂が良いからかずっと覚えているような気がする。
忘れられないんじゃなくて
そこから動けないだけなのかもしれないけど。
4年が経ち、
2024年ももう半ばを超えた。
わたしはもう24歳。
2020年なのに24歳になってしまった気分だ。
2024年
わたしは24歳。
無敵のセブンティーンから7年も経ってしまった。
セブンティーンの頃の7年前なんて10歳だったのにね。
そろそろ2020年から動き出さないと。
思い出のない思い出に思いを馳せている時間はない。
記憶にない2020年に幻想を抱かずに
記憶に残る2024年を創造しなければ。
残り2024年も100日を切ったらしい。
24歳
わたしは大人だ。
明日の過ごした方は自分で決められる。
檻に閉じ込められていた二十歳の頃とは違う。
まだまだ若い。
まだまだ先が長い。
まだまだ人生は続くはず。
2024年
24歳
もう誰も二十歳の誕生日は祝ってくれないけど
あと何回も誕生日が来る。