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【小説】秋晴れの空②

旅行から帰ってきた後、メンタルクリニックの初診へ行った。

メンタルクリニック探しは、会社の精神保健福祉士のFさんがしてくれた。

7年経ったいまでも思う。メンタルクリニック探しって大変だ。そもそも病院に行くころには、自分で病院を探す気力もないことがほとんど。そんな中で自分で病院を探して予約を取るなんて不可能に近い。

私は会社から半ば強制されて受診したが、クリニックはFさんが、通いやすさを考慮して実家と職場の中間にあるところを選んでくれた。正直あまり行きたくなかったので、自分で口コミをチェックするなどはせず、Fさんが選んでくれたところに予約の電話を入れた。半分仕事だった。

初診の予約はドキドキしながら電話でしたが、受付の方が優しい対応してくれて安心した。電話対応って大事だ。先日、別件で産婦人科に行こうと思い、予約できないか電話で尋ねたのだが、「できません」との素っ気ない返答。長時間の外出が困難なので、せめてすいている時間帯だけでも教えていただけないか聞いたが「分かりませんね」の塩対応…。その産婦人科は先生の口コミは高かったが、行くのは諦めた。

一方でさすがメンタルクリニック。電話対応がとても優しく親切だった。一度予約変更をしたときも「お電話ありがとうございます。また来られなくなったときはお気軽にお電話くださいね。」と優しく言ってもらえた。それだけで、「行ってみよう」と思えた。
電話では、一番困っていることを聞かれた。
当日は、問診票を印刷して記入してくるように言われて予約の電話は終了した。

この問診票だが、私は精神状態が悪過ぎて、どう頑張っても印刷できなかった。そこで予約時間よりも30分早く行って、待合室で書いた。そのときも受付の人は優しく対応してくれた。書くのに考えないといけないところは事前にiPhoneにメモしておいていた。

問診票には、まず困っていることを書く欄があった。私は、

⑴会社に行けないこと
⑵眠れないこと
⑶気分の落ち込みが激しく公共の場でも泣いてしまうこと
⑷耳を引っ掻いてしまうこと

と書きました。欲張って4つも書いた。
最後のは今回の件とは無関係の症状で昔からあることだが「とりあえず何でも書いとけっ!」と無理やり付け足した。でも、先生は取り上げなかったな。
困っていることの他には、住所や病歴といった普通の情報に加えて、食欲とか睡眠とか学歴とか仕事とか家族の精神病歴とかを書く欄があり、内容を準備していっても書き写すだけで20分から30分かかった。問診票は、内容を考える時間も合わせたら1時間くらいかかる。緊張していたので手が震えて上手く記入できなかった。

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