寒くなってきたので、赤ちゃんに掛け布団を使っていいですか?
ダメです。答えは、絶対にだめです。
特に1歳以下の赤ちゃんには、掛け布団やブランケットは薄手の物でも絶対に使用しないでください。
窒息などの危険性があります。
赤ちゃんの安全な寝床について改めて確認しましょう。
■ 睡眠の土台「安全性」のおさらい
睡眠の土台には3つの要素があります。
具体的には、「睡眠環境」「幸福度」「ねんねルーティン」があります。
この3つすべてを整えることがぐっすりねんねへの近道だと「睡眠の土台」でご紹介しました。
赤ちゃんの寝室が安全であることは赤ちゃんにとっても重要なことですが、毎日忙しいママとパパの負担を少しでも減らすためにも大切なことです。
赤ちゃんが安全な寝床にいるとわかれば、ママとパパも安心して眠れますよね。
今回は赤ちゃんの寝室を安全な寝床にするためのサポートをさせていただきます。
■ 窒息事故の危険性を認識する
赤ちゃんにブランケットや掛け布団を使用してほしくない理由は「窒息事故を防ぎたいから」です。
2021年に消費者庁が公表した子どもの死亡事故に関する報告資料をご紹介します。
資料では、厚生労働省「人口動態調査」調査票(2016年から2020年までの約5年間)をもとに、子どもの死亡事故について集計分析したものです。
資料によると、0歳児の窒息事故は5年間で合計271件、そのうち約4割にあたる118件は就寝時の窒息が原因となっています。
2021年の資料には内訳がないのですが、2016年に初めて公表した際は詳しい事故の状況についても記載があったので、以下にまとめます。
※厚生労働省「人口動態調査」調査票(2010年から2014年までの約5年間)の集計分析結果です。
※0歳児の窒息事故は5年間で合計502件、そのうち160件は就寝時の窒息が原因となっています。
また、2016年に公表された就寝時の窒息事故160件のうち約7割が生後6ヵ月までに発生しています。
月齢が低ければ低いほど自分の力で顔に覆いかぶさったものを払いのけることができません。
悲しい事故を防止するために、ママとパパが行動する必要があります。
「うちは掛け布団使っても大丈夫」と思っている方、そう思っている根拠はなんですか?
事故は実際に起きています。死亡事故は氷山の一角です。
死亡に至らない場合でも事故は多発しており、残念ながら後遺症が残ることもあります。
事故件数が多いのか少ないのか感想はそれぞれにお任せしますが、私にとっては1件でも起これば悲しいので、事故を減らせればと思い記事をかいています。
なぜなら、知ってさえいれば防げることだから。
■ より安全な寝床にするためには
これまで掛け布団に焦点をあててお話をしてきましたが、赤ちゃんにとってより安全な寝床にするためには、ベビーベッド内には何も置かないでください。
米国小児学会では1歳まで枕や枕代わりのおもちゃ、ブランケット、サイズの合っていないシーツなどの柔らかい物を赤ちゃんの寝床には置かないよう注意喚起しています。
また、ベビーベッドの柵に取り付けるベッドバンパーの使用も推奨していません。
もし、該当するものを使用している場合は、今すぐに使用するのはやめましょう。
それでは安全な寝床を保ちながら、寒さ対策としては何ができるでしょうか。
いくつかアイディアを書いておきますので、参考にしてみてください。
エアコンや加湿器を使って、温度20~22℃、湿度40~60%にする。
室温の調整が難しい場合は、服装で調整する。例えば、長袖の肌着にしたり、パジャマを厚手の生地のものに変更する。
スリーパーを使う。すでに使用している場合は、厚手の生地のものに変更する。ただし、重みがついているウェイトスリーパー(weighted sleepers)は使用しないでください。
いかがでしょうか。掛け布団がなくてもできることはあります。
赤ちゃんにとって寒すぎることは危険ですが、安全でない寝床も命にかかわります。
日本人としては布団の温かみをかみしめたい時期になってきましたが、これは大人だけの楽しみにしておきましょう。
参考文献
『ママと赤ちゃんのぐっすり本』 愛波 文 著
消費者庁「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議(令和4年3月23日開催)」
消費者庁「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議(平成28年11月2日)」
赤ちゃん及び保育者(ママ、パパ)に関して不安や心配がある場合は、医師等の専門家に相談しましょう。
本記事の内容については注意を払って記載していますが、アドバイスを実行する際は読者の方の判断で行ってください。