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58 討論会のワナと偏向審判(司会)

トランプ共和党大統領候補(以下トランプと略す)とハリス民主党大統領候補(以下ハリスと略す)は、米国東海岸時間 9月10日9:00PM ペンシルバニア州フィラデルフィア市の"National Constitution Center"米国憲法記念館で、第1回の大統領討論会に臨んだ。討論会はABC-TVの二人のアンカーが司会をした。今回の討論会のルールは、

 ・討論項目は、ABCが決め、二人の論者には事前通知せず。
 ・論者はノート等の資料持ち込みは禁止。
 ・質問への回答時間は各々2分間
 ・聴衆はいない
 ・くじで、トランプ大統領候補は最終弁論を、ハリスは右側の演壇を選
  択。

米国憲法記念館 フィラデルフィア、PA

私は、以下の”Rumble”(アメリカの保守派主体のネット放送サービス。要するにYoutube対抗)のボンジーノ・ショーで、2時間の討論会を視聴した。以下のサイトで、開始後およそ30分後から討論会が視聴できる。

私には、今回の2時間の討論会の全てを紹介する(日本語に訳して整理する)能力、気力、また時間もない。だから、私の受けた全般的な印象、特に討論会に事前に仕組まれたとしか思えないワナとその根拠、そして最も気になった討論項目についてのトランプ、ハリス双方の主張について、ざっとまとめてみることにした。

言うまもでもなく、アメリカでの投票権も影響力もない私ごときが、いくら自説を振りかざしても、アメリカの大統領選には1ナノメータも影響するはずはない。また我が国内でも、なんらの影響力のない私が何を言おうと、我が国の政治になんら作用するはずもない。

しからばなぜ、私ごときが大上段に構えて、今回の大統領討論会を弁じるのか?ただ自分の頭を整理したいがためだけか?正直、たぶんにその気持ちはある。しかし、かすかな希望は、たとえたった一人でも、私の拙文を読んで頂き、なぜトランプは暗殺のさらなるリスクを冒してまで、大統領選に全力を傾注しているのか、少しでも感じ取っていただけると嬉しい。

そういう思いで、以下、私自身の討論会で感じた事をまとめてみたい。

最初に、自由主義陣営(保守派のネットメディア)と全体主義陣営(レガシー・メディア)は、各々が、”トランプが完勝した!”、”ハリスはトランプを叩きのめした!”、と勝利をお祭り騒ぎで喜んだようだ。

では、実際にはどちらの陣営が勝った、と認識したのか? それは第2回討論会にハリス側が応じるかどうかで分かる。第2回討論会にハリス側が応じれば、”ハリス側は勝った”との認識だった、と思ってよい。大胆に予想すると、私はハリス側は今回の討論会で自信をつけて、第2回討論会にも応じてくるとみている。トランプ側は、当然のことながら、第2、第3の討論会を進めるつもりのはず。(2020年の討論会は、討論会の司会のあまりにもひどいバイデン擁護に、トランプ側は3回目の討論を辞退したが。)

ハリス側の討論会への積極参加の理由の一つは、今回の討論会がABCとハリス陣営によって、巧妙にワナが仕組まれ(ABCH包囲網と私は呼びたい)、トランプは少なくとも2回はそのワナにはまってしまった、からと私は推測する。

そもそもディベート(討論会)は、何かの考えに賛成か反対かに二つに分かれて、賛成派、反対派ともに同人数で激論を戦わせるもの。大統領討論会は、両陣営が1対1で討論するもの。しかし、案の定、ABCの司会二人は、思いっきりハリス寄りだった。しかも、その偏向振りは、一般視聴者から分からないように極めて巧妙に隠蔽し、2020年の大統領討論会に比べても、遥かに悪質・陰湿だった。この悪烈なやりかたに、トランプがどう対応するのか、かなりハラハラしながら討論会を視聴した。

ワナの1 ハリスの出自問題
ABC-TVの司会者は、トランプに対して、”あなたは、ハリスの出自(インド系か黒人系か)について、幾度も取り上げてきている。大きな視点でとらえてみたいが、なぜ人種についてそこまで拘るのか”、と質問した。

これは、”敵ながらあっぱれ”とでも言いたい、最高のSPINだと私は思った。ハリス=出自を都合で変える偽善者、という図式を、
トランプ=出自に拘る人種差別主義者、と見事に書き換えている。

事実トランプは、これまで何度も、”ハリスは最初は自分をインド系と言っていたが、途中で黒人だと言い換えるようになった。なぜ自分の出自を変え、黒人だと言い切るようになったのか?” とハリスの偽善者(要するに嘘つき)ぶりを非難してきた。

この質問に対して、トランプは、

私は人種は一切気にしないし、ハリスが黒人だろうがなんだろうか、私には関心はない。私はただ彼女が自分で自分の出自について語った事を紹介しただけだ。”

と私からみると、”人種差別主義者”とレッテルを張られるのを恐れて、逃げの一手をうってしまった、ように見えた。案の定、このトランプ発言をうけて、ハリスは鬼の首をとったように、”今のトランプの発言でみなさん分かったでしょう?彼は人種差別主義者なんですよ!”、と声高に非難したのだ。

私は正直悔しかったし、トランプが、ABCH(ABCとハリスの包囲網)に見事にハマってしまった、と感じた。トランプの弱点は、自信過剰にあるのかもしれない。だからこそ、討論会の事前準備(想定質問に対する回答)が不十分で、たかが2時間の討論会なので、何の準備もせずに、ハリスごときには俺なら楽勝で勝てる、と驕りがあったのではないか?これは本当に残念だった。

以下のように説明すれば、このワナを逃れるだけでなく、ハリスの偽善者ぶりをあぶりだせたのに、と残念に思った。以下は私が想像したトランプ発言(捏造です)

”私は人種には全く無関心だ。私の事業で働いている従業員に人種差別的な発言をしたことは一度たりともないし、また人種で採用不採用を決めた事など全くない。人種とか宗教とか一々気にしていたら、事業を成功させることなどできはしない。私は事業成功だけを念じてきた、だから人種については一切の関心はない。
一方で、ハリスがなぜ”自分は黒人だ”、と以前は”インド系だ”、と言ってきた事をはっきり変えたのかが分からない。私は、ハリスに直接聞いてみたい。あなたは何故自分の出自について説明を変えたのですか?と。

なお、レガシー・メディア各社が、”いかにトランプが人種差別主義者なのかを調査するため、トランプ企業の従業員や関係者に多数ヒヤリングしたが、人種差別的に発言は何ひとつ見つかっていない。

島田洋一先生が、ご著書で指摘されているように、”トランプは人種平等主義者も人種差別を意識したリベラル”、などでは断じてない。トランプは”自分の事業を成功させてきたビジネスマン”なのだ。だから、”人種云々など事業成功にはなんの関係もない”、と人種問題には全く無関心なのだ。特に、不動産業のように、まさに”生き馬の目を抜く”ような、”切った張った”の世界で、人種云々とそんな悠長な事を言っている場合ではなかろう、と私自身、雇われ人として事業推進の端っこを担ってきた体験から、そう思う。そんな絵空事は、”絶対につぶれない事業”、つまり政府関係の各省庁が、偽善者ぶって吠えるだけのこと。

DEI (Diversity, Equity, and Inclusive) など、仕事のできる女性やマイノリティーからすれば、自分達の価値を貶めるな、と言いたいのだと思う。我が国には、元から適材適所、と極めて合理的な人材配置の理念があるではないか。

なお参考にハリスの両親について、Wikiでは以下のように紹介されている。
要するに、ハリスは、ジャマイカ・インド系アメリカ人ということ。

母は、Shyamala Gopalan(1958年にインドからアメリカに移住)生物学者で後に乳がんを研究
父は、Donald J. Harris,(1961にジャマイカからアメリカに移住)ハーバード大学で黒人として最初にtenure(終身在職権)を与えられた経済学者。著書の”Capital Accumulation and Income Distribution” (資本蓄積とs所得分配?)は、WikIによると、”capital accumulation on income inequality” (所得不均衡についての資本蓄積)を論じた、との事。私は経済学は知らないが、言葉の響きからは、どうも”共産主義”の匂いがする。

ハリスの母 シャマラ・ゴパラン(インド系)、父 ドナルド・ハリス(ジャマイカ系)

ちなみに、ハリスは、”人は不平等に生まれ育っても、平等な競争が保障される”というのではまだ不十分で、”人は生まれ育ちに関係なく、平等な所得を得なければならない” not competition equity but end equity と、まるで共産主義を唱えている。やはりequity が好きなのだろう。


ワナの2 2020年のバイデン票

ABCH(ABC-TVとハリス包囲網)からの次のワナは、ハリスの以下の発言だった。

みなさん、前回大統領選では、トランプは8千数百万票の解雇通知をうけたんです。しかも今回は、同じ共和党内からも、ディック・チェイニー、リズ・チェイニー、それにブッシュJRをはじめとして、2百数十人から不支持を宣告されているんですよ。トランプは共和党からですら見放されているんです。

この指摘に対して、トランプは、

私は他の人とは違うんだ、私は仕事ができないやつは首にしたが、他の大統領は首にはできなかったじゃないか。

とトランプにしては珍しく、冷静さを欠いたトンチンカンは受け答えをしてしまった。この指摘に対しても、事前に予行練習さえしておけば、誰にでも分かり易く、以下の正論で、ハリスをたたきのめせたはず。以下は私のただの想像上のトランプ発言(捏造)です。

いやそうなんだよねえ。だけどね、実は私の獲得した7千数百万票は現職大統領としては過去最高の得票数だったんだよね。いや~バイデンは、ほんとすごいと思うよ。ろくに選挙活動もしないで、地下室で孫とTVベームやりながら、過去最高得票をとれたんだからね。立派だったよね。

あれ、今バイデンはどこにいるのかな?ああ、そりゃビーチでゆっくりしてるんだよね。だって彼は40%近い日数はヴァケーションを楽しんできたんだからねえ~。

あそれからね、たぶんあなたは知らないだろうけどね、チェイニー親子の、娘のリズは、2022年のワイオミング下院議員選挙で、現職でありながら、共和党新人のヘーグマン候補に11万票対5万票と、ダブルスコアで負けちゃったんだよねえ。えっ知ってたの?そう。それでも、リズが、我が共和党を代表していると、あなたは言うんですか? 共和党の大多数は、チェイニー親子やブッシュJr。はRINO(名前だけ共和党員)と言っているみたいだからね。私はね、チェイニー親子が私を支持しない、という事は大変名誉な事だと思ってますよ。ハイ 

この辺、昨日見た”ドクターX”の毒島院長(伊東四朗)の口ぶりになってしまった。すみません。


2020年共和党下院議員選挙 現職だったリズ・チェイニーは新人候補に完敗だった

ああそれからね、あなはまだ知らないかもしれないけどね、実はRFケネディーJr.は私を支持すると言ってくれたんですよ。これ知らなかったんでしょう?それからね、2020年の民主党の大統領候補の一人だった、、、、そう、ボブ(RFK.Jr)が”ワンダーウーマン”って呼んでいる、タルシ・ガバード前民主党下院議員もね、私を支持する、って言ってくれててね。
なんか、民主党の支持までもらっちゃって、ほんと悪いねと思ってますよ。すみませんね。

トランプ支持を表明したラルシ・ガバード前民主党大統領候補 RFKJr.は彼女をワンダー・ウーマンと呼んでいる。

CLOSING STATEMENT (締めくくりの主張)
次に、少し気を取り直して、視聴者が一番記憶に残すであろう、両者の最後の主張を紹介する。

ハリス:トランプは過去のことを色々とあげつらうだけで、将来の事は何一つ述べていない、しかし、私には計画がある。

ハリスは、私には将来の計画がある、と討論会を通して主張し続けたものの、具体的な施策は何一つ説明できなかった。これまで、経済政策として集会等で主張したのは、トランプ施策をそのままコピーしたのもだったから、新しい施策などないし、バイデンの焼き直しだ。しかも万一自分が大統領になったら、フラッキング再開などなんだかんだ理屈をつけてやらない事が目に見ている。本当にやりたいんだったら、トランプの主張するように、なぜ現職の副大統領として今やらないのか?国境保存する、なと国境担当者としていままでの3年半にもわたり、文字通りなんにもしなかった事をさしおいて、どの口がそんな戯言を言わせるのか、と私は怒りに震えた。

一方、トランプはこの最後の主張を最大限生かしきり、私が見る限り、この2時間の討論会で、最も力強く、かつ信頼を勝ち取れる演説ができた、と感じた。この最終弁論で、私は総合的に討論会をギリギリ引き分けまで持ち直したものと思う。(期待したい)

トランプの主張はこの最後の発言に集約されると考えるので、私の聞き取れた内容を全て紹介したい。トランプの主張の大筋は把握できている、と思うが、私のつたない英語力のため、聞き間違いや聞き逃しもあれば、ご指摘して頂けると本当にありがたい、と思います。

ハリスは、”これをやる、あれをやる、こんな素晴らしい事をする”、と言った。しかし彼女は3年半もの間、副大統領だったじゃないか?
Why she hasn't done anything? 
何故,今までそんな素晴らしい事をやらなかったのか?

彼女は今すぐこの討論会を出て、ホワイトハウスに戻り、その素晴らしい事をやればいいじゃないか?だけどあなたはしないだろう。なぜなら、あなたはアメリカ人が信じていない事を信じているからだ。

あなたが信じている事は、
”We're not gonna frack.  We're not gonna take fossil fuel." 
我々はフラッキング(シェールガス・オイルの採掘)をしない、我々は化石燃料を使わない、という事だ。

しかしそうしたことは、あんたが好きだろうが嫌いだろうが、アメリカを強くするんだ。ドイツをみてみろ。 彼らは1年で通常のエネルギー・プラントを作ったじゃないか。我が国は、間違ったヴィジョンのため、我が国自身を犠牲にしてはいけないのだ。

一つ簡単な質問をしたい。我が国は深刻な事態におちいっているのに、何故彼女はこれまで何もしてこなかったのか?

今では、世界中のリーダが今のアメリカのていたらくを笑っている。我が国は世界の指導者ではなくなった。中東では戦争になり、ロシアはウクライナに侵攻している。

"We're gonna end up in the 3rd world war. And it will be no other because the nuclear power that powers weaponry. I will rebuild our entire military. She gave a lot away to the Taliban. She gave it Afghanistan.  "
このままでは第3次世界大戦になってしまう。その戦争は、今までになかったようなものになるだろう、なぜなら核兵器が使われるからだ。(だから)私は我が国の軍事全体を再建するつもりだ。彼女は多くを(武器)をタリバンに渡した。彼女は武器をアフガニスタンに渡した。

What these people have done to our county? And maybe the toughest of all is allowing millions people to come into our country.  Many of them are criminals. They are destroying our county. The worst president and the worst vice president in the history of our country.
(ハリスのような)人々が我が国に何をしてきたのか? 中でも、おそらく最悪な事は、数百万人の移民が我が国に侵入していることだ。彼ら(不法移民)の多くは犯罪者だ。彼らは我が国を破壊している。彼らは、我が国の歴史上、最悪の大統領、最悪の副大統領だ。

この他、経済問題、環境問題、アフガニスタン撤退失敗(トランプはタリバンに渡ったおよそ1兆円に上る武器は指摘したが、ご遺族の立場を考えてアーリントン墓地でのご遺族との面会とハリスとバイデンが欠席したことには触れなかった)、ウクライナ戦争、イスラエル戦争(トランプはハリスもバイデンもネタニヤフ首相訪米時に会わなかった事は説明した。)国境問題等々が論点となったが、ハリス側は大得意のSPIN(全てをトランプのせいにする)で、まともな人ならすぐに大嘘と分かる事を、知ってか知らずか(ひょうっとして嘘だという認識がないのか?)、平気で発言していた。一々それらを説明するのも時間の無駄だし、そろそろ気力が萎えてきたので、ここらで締めくくりたい。

以上、私の全般的な感想をまとめると。
  ・ハリスは最初から最後まで大嘘のつきどうしだった。(私はハリスの
   発言を聞いて、本当に吐き気を催したし、顔はどうしても見たくなか
   った。)
  ・ABC司会の二人はこの大嘘にはほとんどFACT CHECK事実確認しなか
   った。
  ・そして、ハリスはABCH包囲網によって実力以上の討論力を発揮でき
   た。

とは言え、最後にトランプは同点満塁ホームランで、なんとか引き分けに
持ち込んだ、かなという感じです。


以下参考に、

ボンジーノ・ショーは、おそらく、世界中のネット保守番組で最大の視聴者数をもっている。フォロワー数は3.32百万人で、今回の討論会は、およそ2百万人が視聴している。これはネット放送では、とんでもなく大きな視聴者数と考える。

ボンジーノ・ショー 視聴者約2百万人(1.97M)

お断りしておくが、上記のボンジーノ・ショーでは、ボンジーノ氏とエヴィータ氏(新しいボンジーノ・ショー早版の司会)のコメントが討論会の音声にかぶさって放送されているので、討論会の発言が少し聞き取りにくいところもあった。私は、できるだけボンジーノ氏とエヴィータ氏のコメントは聞かずに、(保守派バイアスをもたずに)討論会の初遍そのものに注意して聞いたつもりだ。(ただし、元々、私自身がトランプとMAGA運動の支持者である事はお断りしておく。)

ボンジーノ早版の新しい司会者エヴィータ氏 番組立ち上げ後数ケ月で、早くも約1百万人のフォロワーがいる。

ボンジーノ夫妻はトランプ大統領候補からも信頼されている、熱烈なトランプ支持者だが、トランプ大統領候補の考えには7,8割は賛同するが、反対意見もある、と公言している。

ボンジーノ氏は元シークレットサービスの警護主任であり、また警護エージェントの教育にもあたってきたので、今でも米シークレット・サービスには多くの知人友人がいるし、その内部の問題にも精通している。

だからこそ、今でも、大統領暗殺未遂についての追及の手を止めようとはしていない。私は、ボンジーノ氏の人気は、同氏のエージェントとしての実績に裏打ちされた自信、経験、そしてネットワークのおかげで、どのニュースよりも早くかつ事実に即した内部情報に支えられているものと考える。詳細は拙記事#41を参照されたい。

左 トランプ大統領(当時)とボンジーノ夫妻 右 オバマ大統領を警護するボンジーノ氏(シークレットサービスで最も危険かつ重要な、大統領移動中の警護リーダだった)


最後まで読んで頂きありがとうございます。
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