
号外4 韓国の行方
韓国は尹(ユン)大統領の逮捕をめぐり、大統領警備隊と擁護派が大統領府を24時間体制で警護し、対して大統領府に突入しようとする警察と李(イ)野党党首支持派がにらみ合いを続け、一食触発の状態が続いている。
一昨日から、呉善花(オ・ソンファ)先生が韓国政情を解説する新しいユーチューブ番組を始められた。呉先生は原稿を読みながらだが、淡々と情勢分析をされ、ゆっくりと平易な言葉で分かり易く、ご自身の情勢分析を解説されている。
私は李相哲先生とは一味違うが、日本を愛し、母国である韓国の将来を憂慮し、現在の混沌とした政治情勢に明るい側面を探そうとされているように感じた。ぜひ、みなさんにも李相哲TVと合わせて視聴してみるよう強くお勧めしたい。
今日は、呉善花先生の1/12、13両日のユーチューブ放送と、合わせて李相哲TV(1/12放送)を紹介したい。(呉先生と李先生については巻末を参照。)
呉先生は、野党の政策は主に以下の3項目、と説明された。
1. 駐韓米軍の全面撤退
2. 韓国と北朝鮮の連邦制国家建設
3. 大企業の解体
仮に野党が政権をとると、前の文政権以上に共産主義化が進み、韓国はベネズエラのような完全な共産主義国家になり、かつ実質的には北朝鮮の隷属領土になるだろう、との予測。

しかし、韓国の民主主義を守ろうとする動きも出てきた、と呉先生は指摘した。尹大統領の弾劾が採決された後から、支持率は逆にが急上昇していることだ。先の、”ろうそく革命”と韓国が自画自賛した朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾時には見られなかった現象だ。
大統領支持率は、戒厳令12/3時点で13%までに落ち込んだが、以降右肩上がりに支持率は上がり、1/12時点では45%まで回復してきた。

これは、野党側の国会運営のやりたい放題の横暴で、尹大統領の政権運営が回らなくなり、”このままでは韓国の自主独立が保てなくなる”、との危機感からやむを得ず発した事が徐々に国民に理解されてきたからだろう。

60代70代は今の極端な左翼教育は受けていなかったので、保守的な考えを持っている。一方、徹底的な左翼教育を受けてきたはずの20代30代の世代が、急速に対統領支持に変わってきた。これは野党側の尹大統領に対するあまりにも強権的な姿勢と行動に拒絶反応が出始めたからではないか、と推測された。
さらに若い世代は、自分達の受けた左翼教育(親北反日教育)に疑問を持ち始めたようだ。ある若者を中心にした大統領支持者の集会では、一人一人が演台に上がり、自由に発言する場が設けられた。

そして、私自身も驚いた事に、親米親日的な発言も出てきたようだ。これは若い世代が日本に来てさまざまな体験をしてきた、さらに尹大統領が進めてきた日韓同盟推進の意図が理解されてきたから、だと呉先生は分析された。
例えば、あれだけ韓国政府は中国共産党と歩調を合わせて、福島原発の処理水批判を展開してきた事対して、「野党は反日をうたうくせに、実際には寿司を食べに日本に行っているではないか」と若者の間で野党批判が出てきた。

そもそも”処理水”(断じて汚染水そのものではない)の安全性は、IAEA(国際原子力機関)発行の”福島第一原発のアルプス処理水についての安全性検討報告書(約120ページ)”、で他の大洋水と有意差はない、つまり、食の安全上の問題はない、とお墨付きをもらっている。
さらにこの安全性検討委員会には、韓国と中国からも科学者が参画している。(この処理水施設には、IAEA監視団が常時監視することになっているにもかかわらず、中国は別個に監視団派遣を要請していた。それはALPSの技術を盗むため、だったと私は推測する。)
私は以下の記事で、このALPS処理水の報告書を紹介している。興味のある人にはぜひ参考にして頂きたい。合わせて脚注 1)も参照頂きたい。
そして、1/12時点で韓国全土の大統領支持率が45%代にまで回復したとのこと。呉先生はこの明るいニュースが韓国のこれまでと違い、若者まで巻き込んだ民主化運動(ろうそく革命とは真逆の保守派による民主化)の広がりを期待しているようだ。

また李相哲先生も1/12ユーチューブ放送で、この保守派の揺り戻しを紹介され、別の世論調査(ギャロップ韓国)で大統領支持率は50%を超えた、と紹介され、呉先生と同様に、この保守派の巻き返しに期待したい、との発言をされた。
ただし李先生は、「私は韓国も法治国家であり、法律でこう規定されているから尹大統領はまだ大丈夫のはずだ」、と考えてきた。しかし現実的には、”戒厳令発令から撤回、そして大統領弾劾、大統領逮捕令”まで私の推測は外れ、弾劾され、逮捕命令まで出るになってしまった。私の考えは間違えていた、と反省された。

現実には、韓国は法治国家ではなく、司法、警察、軍隊、そしてもちろんメディアまで完全に左翼親北思想により支配されている。だからこそ、野党はやりたい放題できている。今では”尹大統領は死刑にするべきだ”、との意見さえ聞かれるようになってきた。決して、保守派政治家は法律で保護されてはいない。

今後の韓国情勢は、内乱の危険もある。当面は大統領府を警護する大統領警護員、大統領擁護派デモ隊、それに対して武器使用まで見据えて大統領を拘束逮捕しようとする警察との間で、武力衝突の可能性は大いにある。そしてその武力衝突は、単発で終わらず、最悪のシナリオでは韓国全土を巻き込んだ内乱になるリスクすらある、と指摘された。(大統領警備隊のトップが辞任した、とのニュースもあるようだ)
ちなみに、私が主に視聴しているランブル他のアメリカ保守派の放送や記事では、韓国や日本についての報道はほどんと見ない。それほど極東についての関心は保守派にはない、という事だ。
私はここ数ケ月の李相哲TV(無料部分)を視聴し、確かに李先生の予測と違い、尹大統領に不利な方向にどんどん進んできたように思う。だが、ここにきて李先生ご自身が反省され、改めてさらに突っ込んで韓国情勢を分析し今後の動向を予測されているのを聞いた。
余計に李先生の韓国情勢の分析をしっかり聴こうと思うようになった。そして合わせて、呉先生のユーチューブ発信も私にとり貴重な情報源になった。韓国語は分からない私にとり、お二人の放送は何より貴重な情報源になる。
合わせて、呉先生の解説、特に若い世代が親米・親日をどうどうと集会で発言した事を知り、私自身が様々な嫌韓本に侵されていたのかな、と思えてきた。正直、読むと心地よく響いてしまうのでついついてタイトルから手をだしてしまいがち。それらの全てが嫌韓洗脳だとも思えないが、韓国を一括りにして反日韓国に対する反感を煽っていただけかもしれない。”アメリカは”、と保守派も左翼も一緒くたにして議論しては間違うのと同様に、”韓国は”と一括りにしては我が国の方向性を見誤るように思えてきた。
無論、我が国の現政権が無暗に親韓媚中に走る事は絶対に許してはいけないと思う。少なくとも韓国保守派(見極めるのは難しいだろうが)とは決して敵対してはいけないと思うのだが、我が国では、外交の前に内憂(現政権)を打倒解体するのが先決だと思う。



脚注 1)
私がNOTEを始めたきっかけは飯山先生のイスラム研究を陰ながら応援するためだった。そして自分でも投稿し始めたのは、英語講師仲間の多くが韓国と中国の処理水批判に賛同し、ネットで批判を繰り返し、批判を煽っているのを知ったからだった。ただし英語講師全員がそうだとは思わないが、彼らのネット上の論旨は、IAEA報告書を読みもせず、ただ感情的にがなりたてているだけ、と感じた。
もしかしたら、彼らの多くは英語が分かるから、CNNやMSNBC、そしてニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの左翼メディアの放送や記事を読み、左翼思想に洗脳されてきたのかもしれない。
ALPS処理(Advanced Liquid Processing System 先端液体処理システム)は、トリチュウムを除く放射性物質を除去できるシステムであり、まだ中国も韓国もこの技術を持っていない。だから彼らは原発からの放射性物質を海に垂れ流してきている。(通産省がデータを開示している)そのくせ、我が国にはALPS処理水を海水で薄めた処理水の海洋放出を激しく批判してきたのが、実態だ。彼らも現時点ではどこからか盗んでいるかもしれないが。
このALPSでも除去できない唯一の放射物質が水素同位体の一つであるトリチュウム(3重水素)であり、水に溶けてしまうため工業的には分離ができない。(実験室規模では電気分解等で除去できるとされているが、大量処理はまだできていない。)
また、何故福島第一原発は”メルト・ダウン”、という最悪事態になったのか、そして現場技術者達が命をかけてまで、”東日本壊滅という悪夢”から救ってくれた、は全くの別問題として考えるべき。
多くの保守派論客は、”福島第1原発はGE製の古い原発だから事故になった。最新式原発だったら事故にはないっていない”、と主張しているが、私には賛成できない。この論旨は、所詮は素人考え、と思う。現実的には今の原発(核分裂反応)は、いわゆるChain Reaction (連鎖反応)であり、一旦核分裂反応が始まると、その反応を鎮静化するのは技術的に難しい。だから、原発の大事故リスクは常にある、と考えるべき。
逆に核融合反応は、核融合を続けさせるのが難しく、何か問題があると反応は止まってしまう。トリチュウム等の放射性物質は生成されるので、その処理についての技術的課題はあるものの、何より万一の事態を想定して、"Fail Safe" (最近はあまり言われなくなったが、事故は起こるものとの大前提で、”万一事故が起こっても最悪の事態にはならない”ような設計なり原理を使うという考え方)を実現するため、核融合炉の開発と実用化が、我が国のエネルギー安全保障のため必須と考える。
しかし実用化には後どのくらいの期間がいるのかまだ分からない。やむをえずその間をしのぐため、原発再稼働は絶対に必要だ。ただし、再稼働に際しては、最悪の事態を想定して近隣住民の緊急避難と、放射性ガスの放出(ベント)を想定し都市部に流れないような風向きの調査が必要だろう。
今の原子力委員会の地質調査は単に自分達の責任逃れのため果たしてどこまで科学的根拠があるのか、疑問に思える。つまり地震は起こる、との大前提で対策を建てるべきではないだろうか。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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