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9. Trump's Restoration 3 USAID -Rabbit Hole- トランプ維新3 国際開発局 -アリスのうさぎの穴-

今世界中のネットで最も熱い話題の一つがUSAIDだろう。

まず注意したいのは、USAIDは”US-AID”(米国の支援)ではない事。正式名称は、USAID: United States Agency of International Development 
"合衆国国際開発局"で、"AID"(支援)という単語も意味もないのだ、

国際開発局のエンブレム AIDというスペルと真ん中の”握手”のイラストは、AID(支援)を匂わせているが、支援というない。

以降、この記事ではUSAIDの”AID"(支援)のニュアンスを消すため、”国際開発局”と呼ぶ。

なお同局のHPは表題写真のように、2/16(日本時間)では、閉鎖されておりアクセスできなくなっている。これは、後述のDOGEによる強制捜査の結果、トランプ大統領候令で同局が一時閉鎖されたため。

この"国際発局"問題を一言でいうと、"Deep State Slush Fund” ディープ・ステートの”秘密工作資金”だと思う。その用途を初めて知らされたアメリカ国民からすると、むしろ”不正工作資金”、と呼ぶべきかもしれない。

しかも工作資金は迷路のように複雑に入り組んでおり、かつその用途目的は本来の主旨・使命からは遠く離れた、外政干渉、究極は政権交代だと分かってきた。だからアメリカ保守派は、この”国際開発局”を"rabbit hole" (ウサギの穴)と呼んでいる。ただしこの”ウサギの穴”は、実際にウサギが住む穴ではない。”不思議の国のアリス”(注1)で、アリスが落ちて不思議な体験をした、あの”ウサギの穴”のことだ。

なるほど、”ウサギの穴”とはよく言ったものだと思う。その穴がどこに通じているのか、見えてこないように入り組んだ構造になっている。私自身まだまだ全体像は理解できていない、と感じているが、一区切りつけて記事をまとめることにした。

この記事では、まずこの問題の全体像を私なりにまとめてみる。次に、この全体像を提示してくれたMike Benz(マイク・ベンツ)氏と活動を紹介し、アメリカの情報工作(国際開発局を含めて)の発端と歴史を紹介する。そして国際開発局の概要とDOGEの捜査経過を紹介する。

私自身もこれまで知らなかった事が多くありすぎて、内容を理解するのにネット検索したり資料を読んだりして苦労した。私が調べた事は、みなさんの参考にもなると思い、巻末に注意としてまとめたので。

また、できるだけ情報元(英語)を紹介しながらになるので長い記事になるが、最後までお付き合いいただけると幸いです。またご批判を含めた感想やコメントを頂けると、今後の励みになります。ぜひご協力をお願いします。

1. アメリカの国内外の情報工作の全体像と問題、及び対策案(マイク・ベンツ氏による)

・今回の国際開発局の問題は、アメリカの情報工作の氷山の一角であ
 り、問題の表面を搔いているだけに過ぎない。その本質は70年以上にも及
 ぶ長い歴史があり、情報工作機関は危険なくらいに肥大化してきている。
・アメリカの情報工作の問題は、国としての命にかかわるほど深刻化してい
 る。人体に例えると、心臓回復手術のような命に係わる大手術が早急
 に必要だ。そしてその手術は必ず成功するとの保証はない。
・その手術は、正常組織と病変患部を精密に区別することが簡単ではない。
 疾患があるからといって心臓を取り出す事はできない。(国として心臓移
 植はできない、という意味)
・だから私の今の仕事は、イーロン・マスク氏に、閉鎖または凍結すべき機
 関とその工作と、残すべきものとを区別して指摘することだ。
・一般の民衆はそのほとんどを知らされていないが、実は情報公開されてい
 るものが多い。その気になれば、いくらでも秘密を暴くことができる。

2  Mike Benz(マイクベンツ)氏
まず今回の問題提議とDOGE捜査のきっかけを作ったMike Benz(マイクベンツ)氏を紹介しなければならない。それは、ベンツ氏の発言が、この問題の全体像を把握するために必須と考えるからだ。

以下、ベンツ氏のXアカウント。全て英語の投稿だが、みなさんにはフォローしてみることを強くお勧めしたい。

ベンツ氏のXアカウント @MikeBenzCyber

ベンツ氏は、2018年からネット上の投稿検閲について調査していたが、その実績を買われ、第1次トランプ政権の国務省で、サイバー安全保障とインターネット政策を担当するようになった。

ベンツ氏の略歴はネット上では詳細はまだ出ていないようだが、The Times of India (インドのネット報道)が興味深い記事を伝えている。注2)

イーロン・マスク氏が国際開発局に目をつけたのは、このベンツ氏の告発だった事は間違いないようだ。(NBCもこの事は認めている)ただしベンツ氏はDOGEには直接参加しておらず、独立コンサルタントとして、マスク氏に助言をする立場を保っているようだ。

ベンツ氏は国務省から退職した後、FFO (Foundation for Freedom Online ”自由オンラインの基盤構築”という独立系シンクタンクを創立した。注3)

ベンツ氏の見解は、以下の、"Hillsdale College”ヒルズデイル大学”での40分の講演が入門編として良いと思う。なおヒルズデイル大学は、南部ミシガン州のクリスチャン系大学(一般教養)で、アメリカでは珍しくなってしまった保守思想の教育機関のようだ。注4)

全て英語だが、字幕が読めるので、興味のある方は視聴して頂きたい。(以下のXアカウントから視聴できる)

私が一番ショックを受けたのが、第2次大戦後3年目のイタリアの選挙で、60対40で左翼(共産党系)候補が保守系候補を引き離していたのを、アメリカの情報工作でひっくり返し、保守系政権を誕生させた、との話だった。

私が聞き洩らしたのかもしれないが、政府文章等の証拠書類は示していなかった、と思う。しかしベンツ氏は、その間接証拠の一つとして、以下の政府資料 ”292  National Security Council Directive on office of special project
Washington, June 18, 1948. NSC 10/2" 292 (特別プロジェクト室についての国家安全保障委員会命令, ワシントン 1948年6月18日 NSC 10/2)をあげている。(以下のサイトから全文を閲覧できる)

これは、発行後60年間最高国家機密として機密保持されていた機密文書。

このサイトは、歴史文章 -歴史家の部屋- 開示された昔の国家機密情報を含めて、政府資料も閲覧できるサイト。(こういうサイトで機密文章を閲覧できるのは、アメリカの強みの一つだと私は考える)

この命令書の主旨は、ソ連とその衛星諸国、及び共産主義者によるアメリカへの秘密工作に対抗するため、アメリカでも海外での秘密情報工作が必要であり、そのための組織を設立する、というもの。

命令書の概要
CIA内部に特別プロジェクト室を設立し、統合参謀本部と共同して秘密工作を実行すること。
戦時は、特別プロジェクト室は当該方面軍の司令官の指揮下にはいり、統合参謀本郡にも報告する。
秘密工作には、プロパガンダ、経済戦、サボタージュ、反サボタージュ、破壊及び脱出を含む予防処置、自由世界の危険国の地下抵抗組織、ゲリラ、難民解放グループ、及び現地の反共産主義者への支援を含む敵対国に対する転覆工作を含む。しかし軍事力、スパイ行為、反スパイ行為、秘密軍事作戦による武力衝突は含まない事。

旧ソ連のコミンテルン等の情報工作と政権転覆活動については、”The Venona Secrets" ベノナ文章として”我が国でも翻訳本が刊行されている。
注5) さらに、江崎道郎氏他がコミンテルンの謀略についての詳細な調査報告をまとめておられる。注6)

しかし、こうした共産主義者の対外工作については、いわゆる自由主義陣営は指をくわえてみていただけだった、とは私は思っていなかった。しかし、上記の文章を読んで、”やはり共産主義対抗策はあったのだ”、と確信できた。

これまでも、”風のうわさ”程度に、例えば”アラブの春”、ウクライナの”メイダン革命”、にアメリカ民主党が画策していたらしい、と聞いてはいた。この記事では紹介しきれないが、ベンツ氏は証拠文章等をあげて、アメリカ国防省、国務省(日本の外務省)、CIA等の情報機関、さらに国際開発局が、情報操作、司法の買収、政治家の買収、教会の懐柔と圧力、等々を通じて、”政権交代”を図ってきたと明かしている。

参考まで、ベンツ氏のランブル放送は以下で視聴できる。(字幕も表示できる)


3.国際開発局の概要

同局の2024年度予算はUS$44B(およそ6.7兆円)で、我が国の防衛費(令和6年度 整備計画対象経費)7.7兆 億円に匹敵する額だ。

我が国の国家予算は約114兆円に対して、アメリカの政府予算全体は、US$6,752B (約1,026兆円)でGDPの23.4%だ。これは、日本の政府予算の約10倍になり、国際開発局の予算は、全体予算のわずか0.65%に過ぎない。 

以下、アメリカ政府予算の推移を示す。

アメリカ政府予算と赤字の推移

なお、アメリカの国防費はUS$874B(約133兆円)で日本の17倍もの予算だ。この国防費のうち何%が情報戦に使われているのか、さらに国務省予算のうちどれくらいが情報戦に使われているのかは、開示されていない。

しかし、物理的武力中心の国防費に対して、情報戦にかかる費用は、金額的には少ないはず。しかし、これまでの政権交代工作が成功していることを見ても情報戦の効果は大きいはずだ。

この記事を書くため、日本とアメリカの国家予算を調べてみて、文字通り桁違いになっていることに愕然としたが、これは日本が過去30年間、経済成長できなかった為なのだろう。

アメリカ政府予算の内訳 省庁別の予算を調べようとしたが、この目的別内訳しか見つからなかった。

なお国際開発局は今回の閉鎖で、12千人の職員のうち296名を除いた全員が解雇または一時帰休の処置を受けた。このことで、全予算US$44Bのうち、人件費のおよそUS$1Bは凍結または削減できた。今後、同局は国務省に統合されるようなので、残りのUS$43B(6兆5千億円)は当面は凍結されているが、いずれはその一部は国務省に移管される見込みだ。

次に、国際開発局の組織を紹介する。
国際開発局を統括するOIG(Office of Inspector General) 監察総監室のHPに、国際開発局の説明がある。(以下OIGのHPからの抜粋)

国際開発局についての使命。

Established through the Foreign Assistance Act of 1961, USAID leads U.S. development and humanitarian efforts around the world to enhance and save lives.
USAID programs combat the spread of disease, address food insecurity, promote democratic reform, and support economic growth to alleviate poverty.
The Agency also provides assistance to countries recovering from disaster and periods of conflict.
USAID’s development and foreign assistance activities help to expand stable, free societies; create markets and trade partners for the United States; and promote good will abroad.

拙訳
国際開発局は、1961年の海外支援法により設立され、人命尊重と保護のため世界の開発と人権保護を主導している。
国際開発局は、疫病拡散と闘い、食料安全保障に取り組み、民主主義の矯正を促進する事、及び貧困お緩和するため経済成長を支援する事に取り組んでいる。注8)
当局はまた災害や内乱期から回復しつつある国々に支援を提供する。開発局の開発と海外支援活動は、安定した自由社会を拡大し、市場を創出して合衆国の貿易国を増やし、そして海外親善を促進するものである。

この使命を素直によむと、人権保護を主眼としているようだが、注意すべきは、"promote democratic reform" 民主主義の矯正, という曖昧な表現だと思う。これを突き詰めると、この国際開発局は民主主義に名を借りて外政干渉してきた事を実は暗示しているのだ。

ちなみに、国際開発局を大統領令で作ったのは、JFケネディー大統領だった。(RFケネディーJr. 保健社会福祉省長官.のおじさんで、1963年暗殺された。ちなみに、RFケネディーJr.の父親も1968年に暗殺されている。)

ベンツ氏によると、JFケネディー大統領は、設立当初から同局の目的は国際開発ではなく、情報戦の3極(国防省、国務省、CIA等の情報局)に新しい1極としての役割をもたせた、と主張している。しかし、まだそれを証明する証拠はまだ見つかっていないと思う。

ネットでもベンツ氏が明らかにした資料の中に、以下の国際開発局の内部文章である、”Disinformation Primer”(偽情報入門)2021年2月発行がある。

以下の表紙の左下に、For Internal Use Only (内部情報で外部への開示は不可)との表記があるので、本来はネット上で公開される性質ではない。この文章は、国際開発局の内部からの告発者が密告して開示されたとの事だ。
以下のurlから全文を閲覧ダウンロードできます。

https://cnxus.org/wp-content/uploads/2021/11/usaid-disinformation-primer.pdf

国際開発局の内部文章

この表紙だけみると、偽情報への対抗策マニュアルのように見えるが、その内容はネットを含めたメディアの検閲方法を国内外のIT企業、政府内部、メディア関係各社、及び教育機関に教授するものだった。

ここで最大の問題は、特定情報を"disinformation" 偽情報とする判定を、誰が、何を基準に、どのような方法でするか、ということ。しかしこの文章では、偽情報とは何かの正確な定義はない。結局は、時の政権が、自分達とその政策にとって都合の悪い情報を偽情報と特定できるのだ。

そして政府の指定した偽情報検閲を具体的にどうやればできるのか、各組織別に列挙してある。これは。要するに言論の自由(アメリカ憲法の修正第一条)に違反する重大な憲法違反の行為になるものと私は考える。

同上文書のP47

IT企業は何ができるか
政府は何ができるか
メディアは何ができるか
市民社会は何ができるか
教育省は何ができるか

ベンツ氏は、海外での国際開発局主催の偽情報検閲セミナーについて、以下の2/14付けのX投稿で告発した。

これは米国のバングラディッシュ大使館が、国際開発局による偽情報対策のセミナーについて通知したものだ。

ベンツ氏のX投稿

この2021年9月21日付の米国大使館(ダッカ、バングラディッシュ)からの通知の冒頭には以下の記述があった。

2021年9月30日付の米国バングラディッシュ大使館からの通知

ダッカ 2021年9月30日
昨日、国際開発局(USAID)が、バングラディッシュ外交通信協会(DCAB)に対して、偽情報の報告と対策についての建設的な発展に焦点をあてたセミナーを開催した。
このトレーニングセッションは、前バングラディッシュ大使で外務大臣のトーヒド・ホサイン氏、世界cvホウ砂ジャーナリズム・ネットワーク社の編集記者のミラジ・アーメド・コードハリー氏、そして米国のファクト・チェック機関のポリティファクト社の執行役員、アーロン・シャーロックマン氏が講師に招かれた。

ネット上での検閲は、アメリカ国内外で大きな言論弾圧を生んできた事が最近判明している。

例えば、トランプ再選を受けて、メタ社CEOのマイク・ザッカーバーグが、2020年の大統領選以降、バイデン政権からの圧力で、フェースブック、インスタの言論検閲を行い、統制してきた事を告白した。(メタ社はフェースブックやインスタを参加に持ち、現在はAI開発を進めている)

また、イーロンマスク氏がNATO(北大西洋条約機構)やブラジル政府から、ネット上の虚偽情報拡散の罪で訴えられた。(ブラジルでは一時期、Xを使用禁止にした。今はサービス再開しているはずだが)

冷戦期間中は、旧ソ連を中心にした共産圏諸国からの情報戦に対する対抗策として始まった。そして冷戦終了後は、アメリカの国防強化と経済活性化のための輸入品の価格抑制と輸出ビジネスのテコ入れに目的が変わり、その活動を煽ってきたのが、いわゆるグローバリスト達だった。

そしてこの目的は世界企業となったグーグル、アップル、マイクロソフト、メタ、アマゾンのアメリカIT業界のビッグ・ファイブの利害と完全に一致した。これらのビッグ・ファイブはアメリカ政府(民主党)の海外での情報戦争がないと事業展開できなくなり、逆にアメリカ政府はビッグ・ファイブの協力なしに情報戦争を戦えなくなってきた・

結果、ネット等の検閲に留まらず偽情報の流布、メディアと連携した情報操作、教会や学校経由での情報操作、さらには司法の買収、そしてマフィアの買収と活用にまで活動範囲が広がってきた。またその目的も、アメリカ政府(主に民主党政権下)に敵対する海外の適正国の政府を転覆し、アメリカに親和的な政府を擁立する、という次第にエスカレートした情報工作に変わってきた、とベンツ氏は解説している。

その結果おこたのが、”アラブの春”だり、ウクライナの”メイダン革命だった”、とベンツ氏は指摘している。

また今回の国際開発局問題でも、その目的が分からない、海外でのDEIやLGBTQ推進に資金が流用された事が判明しうている。

これは、従来の共産主義者の階級闘争による革命理論を発展させ、社会のありとあらゆる少数派(人種、LGBTQ、不法移民等)に過大な援助でテコ入れをし、力を増してやることで、多数派対少数派の様々な戦いを起こし、社会混乱を起こさせて政府転覆を図るため、とベンツ氏は指摘している。

それがBLM(Black Lives Matter), DEI: Diversity, Equity, and Inclusive (多様性、公正性、包含的) やLGBTQプラス、つまり人種やトランス・ジェンダー等の少数派の雇用と登用を優先するように社会的圧力をかけるものだった。


この目的のため、国防省、国務省、そしてCIAを中心とする情報機関の3極機関が、自分達の省庁ではあからさまに予算計上できないような国内外の情報工作のため、資金の迂回プールとして国際開発局を利用し始めた、という見方をベンツ氏はしている。

国際開発局、防衛相、国務省、情報機関(CIA,国土安全省)


事実、同局は次第に肥大化し、機能を広げてきた。例えば、国防省が大統領にある情報工作作戦を提言したが拒否された場合、その作戦を諦めるのではなく、国際開発局に資金を迂回してプールさせる、という役割を与えた。(同局は基本的に国務省に業務報告をすることになっている)

ベンツ氏は、3極機関はこれまで、”世界中で560回の政権交代”を工作し、26の政府交代に成功した、と分析している。

こうしたベンツ氏の分析は、2月7日、Tucker Carlson(タッカー・カールソン)氏は自身のネット番組で、ベンツ氏との2時間以上におよぶ対談で解説している。この放送は以下のランブル、またはYoutubeでも視聴できる。


なお、私はこの放送を見る前は、ベンツ氏は長年の調査がやっと日の目をみて、一気にネットで”救世主”のように取り上げられたので、自分の業績に満足し晴れやかな気持ち、あるいは自慢げな態度を見せるのだろう、と想像していた。しかし、自慢げな態度も、晴れやかな気持ちも、そのそぶりすら見せなかった。

むしろ、ベンツ氏は、国際開発局の情報工作活動の負の面のみが強調されており、最近の一連の暴露報道を必ずしも歓迎はしていない、との印象を持った。仮にベンツ氏がNBCが報道したように、陰謀論者であったとしたら、もっと得々と自分の手柄を得意げに語ったのではないか、と私は考える。

ベンツ氏、カールソン氏は、当然だがアメリカ国民(英語がネイティブ)を想定して会話しているので、我々にはかなり早口で聴き取りにくいし、また多くの政治用語、スラングが出てくる。私は、分かりにくいところはAI作成の字幕を参考に聞き直した。

カールソン氏は、自分の質問に対するベンツ氏の回答や発言が、当初見込んでいた、”情報工作”への全面的非難ではなかったのに、少しイライラした表情を見せていた。ベンツ氏は、内容によっては、言葉を慎重すぎるほど慎重に選び、時によっては迷いながらのコメントだった。

このため、番組放送後の視聴者のコメントは、”ベンツ氏はなぜこれほど主張を変えたのか分からない”、”ベンツ氏は買収されたのではないか”、”ベンツ氏とカールソン氏の考えは明らかに違った”、等々が目立った。

しかし私は、ベンツ氏の話を総合すると、USAIDはじめ情報工作は”両刃の刃”、あるいは”必要悪”と捉えているのだと感じた。

4. DOGEの捜査経緯

DOGE(Department of Government Efficiency) 政府効率化省による国際開発局捜査の発端は、1/26 マルコ・ルビオ国務大臣が、国務省と国際開発局からの海外支援金を全面凍結を発表したことから始まった。以下FOXニュースの報道。

そしてこの凍結命令を無視して、国際開発局が海外送金をした事が発覚したため、DODGE主導の同局捜査が始まった。(実際には、ベンツ氏からの助言で、かなり前からイーロン・マスク氏は同局に狙いをつけていた、と私は考える)

そして1/28、同局に対する捜査妨害を阻止するため、同局への職員立ち入りを禁止し、DOGE主導の矯正捜査が始まった。以下、FOXニュースの報道。

この大量解雇と一時帰休命令に反対して、多くの職員が同局前で不当解雇とのデモを行った。その主張は、”アメリカからの海外援助金の凍結で多くの難民が飢え、治療ができなくなる”、との訴えで、レガシー・メディアも同調し、激しいトランプ批判を行ってきた。

一方、イーロン・マスク氏率いるDOGEは、同局の経理台帳を詳細に捜査し、数々の疑惑が明らかにされてきた。一方、2/7には、元同局職員による内部告発がFOXニュースで報道された。

I’m a physician who was suddenly laid off from USAID last month after Elon Musk fed "USAID into the wood chipper." I should be livid about what Musk is doing to my former employer. But I’m not; I’m a whistleblower who worked at USAID for eight years, and Musk is (mostly) right about USAID’s dysfunction.

FOXニュースへの国際開発局の元職員の内部告発

私は、先月イーロン・マスク氏が国際開発局を粉々に砕いた後、同局から突然一時解雇された医師です。私は私の前の雇用主(国際開発局)に対してマスクが行った事について、(本来なら)激怒しなければならない。しかし、私は怒ってはいない。私は、8年間国際開発局で勤務した内部告発者で、マスク氏は(おおむね)国際開発局の機能不全を正しく指摘しているのです。


さらに2025/2/11(アメリカ時間)同局トップの監察総監ポールマーティン氏が解雇された。これは、マーチン監察官が、トランプ政権の国際開発局の告発に反対する声明をだしたためだった。

そして2/13現在、DOGEは、国際開発局に留まらず、財務省を含めてアメリカ政府の関係省庁全体の捜査をトランプ大統領に提言し、承認を受けて全ての省庁に対して”DOGEの操作に全面的に協力するように”、大統領令を出した。

このトランプ政権の動きに対して、レガシー・メディアは、”選挙で選ばれていない官僚が政治を牛耳っている”、とのイーロンマスク氏の主張を引用して、”選挙で選ばれていないイーロン・マスク氏が政府官庁を捜査する権限を持つのは、選挙民の意図に反しており、独裁と言えるのではないか”、と詰問した。

対してマスク氏は、”国民はトランプ大統領とその選挙公約を支持し、大統領に選んだのだ。トランプ大統領は国民から負託を得ており、そのトランプ大統領が指名した私は、選挙公約実現のために、活動しているのだ。だから私とDOGEは国民からの負託を得て、活動している、と言えるのだ”、とこの批判をすっぱり切り捨てた。

以下アメリカ時間2/12のランブル ボンジーノショーで、マスク氏とトランプ大統領がホワイトハウスで、記者からの質問に答えたビデオを紹介している。


財務省へのDOGE捜査は、すでに始まっているようだが、今後どこまで捜査対象が広がるのか、私は今から非常に楽しみにしている。


これまで我が国のネットでも、国際開発局の不自然なあるいはピントはずれな資金支援、またはあからさまな汚職献金が取りざたされている。

これはあくまで私見だが、マスク氏はまず暴露してもアメリカ外交政策への実質的な影響(無論、トランプ大統領のアメリカ・ファースト政策に対しての)が少ない、ある意味、表面的なスキャンダラスな問題から手掛けたのかと考える。

上記のベンツ氏による告発は、外交上、また経済的、さらには国防の観点からも衝撃的な影響があり、国際開発局のみならず、国務省、国防省、CIA他の情報機関、さらには財務省等の全ての官公庁の予算利用について詳細に調査を進めるものと私は推測する。

そして、一気にこれまでの民主党政権による情報戦とその結果を開示するのではないか。その開示前までには、多少は道徳的で透明性のある、またより効率的な情報戦にシフトしていくものと考える。ただし、透明性とはいっても、相手国に知られては元も子もないので、どうしても機密でかつ道徳的にもきわどいものにはならざるを得ないはずだ。


ネット上で投稿されている国際開発局の問題

トランプ大統領の国際開発局問題のTRUTH投稿(2/6)

数十億ドル(数千億円)が国際開発局や他の部局に”盗まれ”、その多くは民主党に都合の良いニュースを捏造するためにフェイク(虚偽)・ニュース・メディアに報酬として支払われている。”ポリティコ”という左翼ぼろ新聞は、8百万ドル(12億円)を貰っていたようだ。ニューヨーク・タイムズも金をもらっていたのか?他には誰が金をもらったのか?これはメディア全体の歴史上最大なスキャンダルだ。民主党はこの腐敗は金額が大きすぎて、またあまりにも汚いことから、隠せないだろう。


2025/2/5 キャロライン・レビット報道官は、何故国際開発局が閉鎖されたのかについて質問され、同局の資金がどこに使われていたのかを説明し記者団に衝撃を与えた。

US$1.5M (2億3千万円) セルビアでのDEI推進
US$70K  (1億5百万)  アイルランドでのDEI音楽制作
US$47K    (7千万円)      コロンビアでのトランスジェンダー・オペラ制作
US$32K  (5千万円)  ペルーのトランスジェンダー・コミック
その他
我々の政府はいったい何をしてきたのだ?

ベンツ氏のX投稿 2/15

信じがたいとは思うが、以下の個々の項目は常識的な情報戦だ

US$2.3M (3億5千万円) カンボジアの独立報道強化
US$32M(48億円)   プラハ市民社会センター
US$40M  (60億円)           性平等と女性権利拡大ハブ    
US$14M   (21億円)      セルビアの公共用購買力改善
US$486M (730億円)    選挙と政策過程の強化(モルドバ、インド他)
US$29M (44億円)   バングラディッシュの政治大勢強化
US$20M(30億円)   ネパールの会計連邦制
US$19M(29億円)   ネパールの性転換種手術
US$1.5M(2億3千万円)リビエラの投票者の信頼
US$14M(21億円)   真理の社会的結集
US$2.5M (3億8千万円)南アフリカのインクルーシブ民主主義
US$47M(71億円)   アジアの学習成果の改善
US$2M (⓷億円)   コソボでの持続可能リサイクリングモデルの開発

国際開発局の国別海外支援金(圧倒的にウクライナが大きい。その実態は開発などではなく、軍事または軍需産業補助のはず)  


国際開発局と政治家との癒着
ヒラリークリントンの娘のチェルシー・クリントンにUS$84Mの支援金が支払われたとの報道(何かの財団向けのはずだったが、実際には豪邸購入他の私用にもかなり使われたとのこと)

国際開発局の資金は、まわりまわって、ウクライナのガス会社バリスマ社を経由してハンターバイデンに流れた。


モロッコの陶芸教室、レバノンの観光補助、イラクのセサミストリート番組制作に30億円を支援、等々。


今後解明が待たれる、国際開発局からコロナウイルスの生物兵器化にも使われたとの疑惑もある。

別の記事で紹介したがい、ランブルの保守論客の一人であるジョーローガン(コメディアン)が3時間以上にわたるボルツ氏との対談を放送した。
この内容は私の知るかぎり、最もショッキングなものだった。

国際開発局のスキャンダルに対しての、アメリカ国民の反応(X投稿)涙を流して自分達の税金がいかに馬鹿げたそして無駄に使われてきたのか、さらにテロリストにまで資金が流れた可能性を指摘し、同局の関係者には相応の償いをさせるべき、との怒りをあらわにした。

https://twitter.com/JennyBFoxxy


以上、まだ私自身消火不良の部分もあり、また書き足りないところもあるが、この記事はここまでで終わりにしたい。以降もがんばって、ベンツ氏のジョー・ローガンとの対談他についても記事にまとめていきたいと思う。

また、ただの私見だが、お隣韓国の尹(ヨン)大統領の弾劾裁判が、これまでみられなかったほどの全国的な保守派の盛り返しを見せており、無罪判決の可能性もでてきたようだ。この弾劾裁判に果たしてアメリカ民主党の画策と、トランプ政権の巻き返しが、あったのかどうかについても記事にまとめてみたいと思っている。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
ご批判も歓迎しますので、感想、コメント、なんでもお知らせ頂けると今後の励みになります。

本当にありがとうございました。



脚注

注1)  不思議の国のアリス 

Alice's Adventures in Wonderland (アリスの不思議の国での冒険 邦題は不思議の国のアリス)は、イギリス数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドドソン[注 1]ルイス・キャロル筆名で書いた児童小説1865年刊行。

ユーチューブで映画が視聴できるようだ。(1972年制作)


注2) The Times of India紙

マスク氏は、ベンツ氏の調査結果を引用し、”国際開発局は犯罪組織であり解体する”、と宣言した。

The Times of India

拙訳
・マスクは、ベンツの、特にインターネットの言論の自由と海外政治への影
 響について共感し、インターネット上での二人の交流が進んだ。
・ベンツは、国際開発局は人道支援を超えて、外国政府とオンライン開示管
 理(検閲?)へ干渉する役割を果たしている、と批判している。
・ベンツは、国際開発局は、国務省、国防省、情報機関とともに、”ワシント
 ンポスト紙”の指摘する外国政治の3極機関の拡大した機関一つだと、して
 いる。


公平を期すため、NBC放送の報道では、ベンツ氏は過去alt-right(新右翼活動)をしていた陰謀論者、と批判されている事も紹介しておく。


注3) FFO (Foundation for Freedom Online)のHP
この機関はインターネットでの言論の自由を守るため、種々の検閲を調査し報道する事を目的としている。

FFOの最新記事(日本時間 2/18時点)
筆頭記事は、”Whole of Society: How The Previous Administration Coordinated The Censorship Industry” 社会の全体:前政権がどのように検閲産業と協業してきた”。(私はまだ読んでいない)

注4) Hillsdale College ヒルズデイル大学


ヒルズデイル大学は、ランブルで人気の保守論客の一人であるMark Levin(マーク・ルバン)氏の番組スポンサーになっている。(番組冒頭でルバン氏は必ずヒルズデイル大学の名前を出して、スポンサーシップに感謝することを忘れない。)

ルバン氏のランブル放送は以下から視聴できる。


注5) ベノナ文書 
アマゾンでKindle版も購入できる。決して簡単な英語ではないが、英語の復習や学習のためにも一度読まれてみたらいかがだろうか。


注6) 江崎道郎氏
多数のご著書の一つ (アマゾン)私は我が国の近代史を知る上で必読書と思っている。まだ読まれていない方はぜひご一読いただきたい、と考える。

注7) DOGE (Department of Government Efficiency) 政府効率化省
DOGEはホワイトハウス広報によると、The U.S. DOGE Service Temporary Organization shall terminate on July 4, 2026. とある。

つまり2026年7月4日(アメリカ独立記念日)までの期間限定の大統領直轄機関とのこと。つまり、イーロン・マスク氏には、後16ケ月の期間しかない事になる。

うろ覚えだが、トランプ大統領から、”どれくらいの期間が必要か?”と聞かれ、マスク氏は、”1年ちょっとあれば十分”、と答えたらしい。事業家として”時間との勝負”は基本理念なのかもしれない


注8)英語文法
英語の非常勤講師として、疑問を一つ上げておきたい。
複数の辞書を当たってみたが、"program do something" ではなく、"program to do something"、と”to”を付けるのが文法的に正しいようだ。ただし, "Grammarly"では"program do something"は間違い指摘はされてなかった。一方、"Perplexity"は、ハッキリと文法間違いと指摘した。ちなみに、英語講師仲間の間では、”Grammarly"は信頼性が低いとの評判だが、私は便利に使っている。とはいえ、アメリカ政府の公式機関である国際開発局の公式ページに、こんな初歩的な文法間違いを見過ごすとは考えずらい。英語の達人に、ご教授頂けると幸いだ。


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