見出し画像

サイコーですよ? 最高裁!

 本日、〈最高裁判所〉という事務所に所属する〈第三小法廷〉というアイドル・グループのライブ(判決公判)に参戦(傍聴)した。情熱冷めやらぬうちに感想を書く。

 なお、推敲はしていないため、文の乱れは御海容いただきたい。


傍聴に至った経緯

 最高裁での傍聴は、今回が初めてではない。筆者は、裁判所の公式サイトで最高裁判所開廷期日情報をこまめにチェックしており、〈事案の概要〉(PDFファイルの形式で事前に公表されている)も読み込んでいる。そのため、時折〈事案の概要〉が事前に公表されない事件があることも知っていた。

 そうした事件は、当日の夕方頃に公表される判決または決定で初めて内容を知れるため、いつも唐突感があった。筆者は、いつしか、「前情報なしに法廷で傍聴してみたい」「臨場感を味わいたい」という至極当然の願望をいだくに至った。コナン映画だって、たまには予告編を未履修のままハコで観たい。それと同じである。

 そして、都合のよい日程の事件(下記画像参照)があったため、傍聴を決めた。奇しくも担当は第三小法廷、筆者の推しである。

https://www.courts.go.jp/saikosai/kengaku/saikousai_kijitsu/index.html
(2024年5月21日16時36分頃閲覧)


開廷前

 これまでに傍聴した期日はいずれも抽選で、紙の整理券が渡されていた。今回は番号の記されたプラスチック製バッジ(クリップ&安全ピン式)を渡されたが、それが、抽選が行われないときはいつもそうなのか、それとも最高裁がようやくSDGsに目覚めたのか、真相は定かでない。

 また、法廷内に持ち込める物品等のアナウンスの際に、大きなプレートが掲げられた。プレートには、すべての漢字に読み仮名の振られた、若干バリア・フリーな文章が記載されていた。今月29日に予定されている旧優生保護法違憲訴訟の弁論期日において、障碍のある当事者・傍聴人向けに過去最大規模の配慮が行われるという(そして、同訴訟の〈事案の概要〉にも読み仮名等の配慮がある。)が、それとの関連は不明であった。

 入廷前。これまでは公式サイト掲載の〈事案の概要〉の印刷版がロビーで配布されていたのであるが、やはり今回は配布がない。期待は高まる一方である。

 初めてではないのに分からないことだらけ。それもライブの醍醐味か。


傍聴中

 司会のように事件番号等を読み上げる書記官(?)が、「買春」を「かいしゅん」と読んでいた。どちらが正解と決まっているわけではないが、本来の読みは「ばいしゅん」のはずである。口頭で伝わりやすいようにと配慮してくれたのであろうか。このとき、先ほどのプレートで「等」の読み仮名が「など」であったのを思い出した。たしかにその方が伝わりやすい。しかしどうした最高裁。こんなに他者を想いやれる組織なら、弁護人による録音や傍聴人によるレインボー・カラーの着用くらいは大目に見てもゲフンゲフン。

 本件のキー条文は児童ポルノ禁止法7条の4項・5項であり、いずれも「姿態」という文言を含む。ここで、「したい」がどの漢字なのか、やはり傍聴人に説明があった。「姿かたちの〈姿〉に、態度の〈態〉で〈姿態〉です。」。今崎いまさき裁判長、ありがとう。第三小法廷よ、ありがとう。

 また、本件は性犯罪(の弁護と法情報発信)で有名な奥村徹先生の担当であった。「どうせマイナーな争点なんだろうし、手続法関係で事例判断が出るんだろうな〜」と予想していたため、ここは普通に驚いた。「児ポ法じゃん? 奥村先生なら児ポ法で条文の適用関係か罪数を争ってる感じじゃん??」と瞬時に連想したところ、まさに、条文の適用関係に関する高裁判例を変更するとの内容であった。『令和6年度重要判例解説』(有斐閣)にワンチャン載るかもしれない判決である。来てよかった。ラッキーであった。これだから最高裁傍聴はやめられない。


まとめ

 時間にしてわずか10分足らずではあるが、今日のライブには満足した。御尊顔を拝しただけで笑顔になれるし、理由の要旨の朗読を聴くだけでテンションが上がるし、〈第三小法廷〉は本当に凄い。否が応でも憧れちゃう。いぇい☆

 ところで、法律(特に訴訟法)を学ぶ者は、「いちど傍聴するとよい」とアドバイスを受けたことがあろう。法科大学院の学生は当然として、法学部等の学生にとっても、傍聴は有意義なはずである。身体的・心理的な負担はあるため無理にとは言えないが、行かない理由がなければ、傍聴には行った方がよいと筆者は思う。また、とりわけ法科大学院の学生のなかには、「修習生になれば嫌でも通うから」と後ろ向きな者もいようが、新鮮な気持ちで気楽に通えるのは、修習生ではない今のうちだけであろう。


追記

 本記事の公開直前に、最判令和6年5月21日(令和5年(あ)第1032号〔強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制性交等未遂、強制性交等被告事件〕)が公開された


 本記事は、あくまでも、法律や裁判という仕組み・営み、そして法曹という専門家に不思議な魅力を感じる者が、より多くの人に同じ魅力を感じてほしいがために執筆したものである。決して、被害者、被告人、弁護人その他の事件関係者を茶化す意図はない。それはそれ、これはこれである。

以上

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?