【夢日記】エレベーター②
こんな夢を見た。
マンションのエレベーターに乗っていた。
ある階で男が降りたその瞬間、急にカゴが落下した。床とカゴの天井に挟まれて、男の体は綺麗に割れた。「犯人は◯◯□□!」——そう告発してから男は死んだ。
緊急停止したカゴのなか。階数ボタンを肘で操作した男を、私は凝視していた。
犯人だ! ——叫ぼうとした瞬間、隣の男が言い出した。「お嬢ちゃん、他人の犯行を指摘するのにも作法があるよ」
「はぁ?」私は呆気にとられた。こんなときに謎マナー講師? だが、逆らい難い何かを感じ、しばらく男の説明を聞いていた。内容は微塵も覚えていない。
そして、いよいよ通報しようというときに、今度は別の男が止めてきた。止められた理由は覚えていないが、殺人事件の通報を邪魔するほどのものではなかったはずだ。狂気を感じた。
しばらくして、ようやく通報できると安堵すると、今度は女が止めてきた。「これを見て」と促され、壁に開いた10センチ四方の穴(小窓?)を覗く。何もない真っ白な空間で、男が1人座っていた。
「指定された人間は法律によってこの空間へ飛ばされて、永久に帰ってこられないよ」、と女が説明してくれた。
感謝の言葉も述べないまま、私は犯人の名前を唱えてみた。案の定、肘男が謎空間に転移した。法律ってすごい。私は3人と共に正義の完遂を祝福した。
そして叫んだ。
「俺以外のここにいる全員!」
3人とも、瞬く間に空間へ転移した。
危ない、危ない。見るからに男である私を「お嬢ちゃん」等と呼び、それに疑問を持たない男女3人。そのうち2人は倫理観も欠如した様子で、残る1人は〈法の穴〉にやたらと詳しい。
明らかに怪異側ではないか。
気がつくと〈法の穴〉は消えていた。このエレベーターから脱出するには、まだ時間がかかりそうだ。
それでも、達成感のおかげで不安はない。
私は心のなかでこう叫んだ。
法律最強!
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