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【本編13】リアルな風土改革に着手(火曜日)
メルマガの読者からの反応で元気も勇気も得た私は、自分の職場のリアルな風土改革に向けて行動を始めることにしました。
前述の通り、私の職場は慢性的な長時間労働に悩まされていました。お客様の要求が厳しいということもありましたが、圧倒的に要員が不足していました。
そんな状況にも関わらず、組織長の方針でアメリカのカーネギーメロン大学が作成したXXXX(固有名詞は伏せます)という組織のプロジェクトマネジメントに関する認証を取得しようとしており、それが長時間労働に拍車をかけていたのです。しかも、その資格の取得推進チームのリーダーが私だったのです。
その資格を取得するためには、直訳された難解なマニュアルを理解し、それの求めに応じて開発の実施要領や手順書類を作り直さねばなりませんでした。例えるなら、ISO9000の認証を得る何倍もの稼働がかかったと思います。ただでさえ忙しい職場なのに。
これ以上部下の残業時間を増やせない開発現場の課長たちからは渋い顔をされていました。
「この作業を実施するのであれば、要員を増やして欲しい」
至極当然の要求だと思ったので、私は組織長にその旨を告げていました。しかし組織長からは、
「甘いことを言うな。うまくやりくりすれば、そのくらいの稼働は捻出できるはずだ」
課長たちにその話をすると、
「もし、どうしてもやらなければならないのであれば、部下たちにはこれ以上の残業はさせられないから、管理職が週末に出勤してやるしかない」
板挟みになった私は、二進も三進もいかなくなり、苦悩の日々を送っていました。そして悩んだあげく、組織長よりも課長たちの意向を優先させることにしたのです。
火曜日の夜、一番仲の良いH課長にその話をしました。
「Fさん(組織長)に時間をもらったから、明日きっちりと話を付けますよ」
H課長は笑みを浮かべながらも、そんな私を心配そうな眼差しで見つめていました。