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【余談3】デミング14ポイント

 吉田先生から教わったデミング博士の哲学の中で、なんと言っても圧巻だったのがデミング14ポイントでした。

 ちょうどその頃、日本にも成果主義が輸入され、当社でも導入が始まっていました。それは、管理職と社員との関係を悪化させ、ただでさえマネジメントがうまくできない管理職を苦しめていました。

 統計学の大家であるデミング博士でも、人の成果を統計的に測ることはできないと断言しています。それを吉田先生は研修の中で訴えており、私もメルマガでせっせと発信し、多くの経営層と管理職層の共感を呼んではいたのですが、それにもかかわらず成果主義の導入は粛々と進められたのでした。

 それが、その後の日本企業に何をもたらしたのか…

 では、今読んでも全く古びていないデミング14ポイントをご紹介します。 

1.競争力をつけ、生存し続け、そして従業員に職を与え続けるために、製品やサービスをつねに向上させる一貫した不動の目的を打ち立てること。

2.新しいものの考え方を採用すること。われわれは新しい経済時代に入った。西洋の経営者は挑戦に目覚め、自己の責任を理解し、変革のリーダーシップをとらなければならない。

3.品質を達成するために、検査に頼ることをやめること。最初の段階で、質を製品に織り込むことにより、大量の検査に頼る必要性を排除すること。

4.価格だけで仕入れを決定する習慣をやめ、その代わり、総コストを最低にすること。それぞれの仕入れ項目については、忠誠と信頼の長期関係にもとづき、仕入先を1社にする方向にもっていくこと。

5.質及び生産性をたえず向上させ。それによりコストをつねに低減させるために、生産及びサービスを行うシステムをたえず向上させること。

6.実地訓練制を設けること。

7.リーダーシップを発揮すること。リーダーシップとは人々や機械や装置がよりよい仕事をするのを助けることである。経営のリーダーシップは、製造の作業員の指導同様、解体修理が必要である。

8.全員が会社のために効果的に働けるように恐怖心を取り除くこと。

9.部門間の障壁を取り除くこと。リサーチ、デザイン、販売、製造などにいる人々は一丸となって働き、できあがった製品やサービスに関して起こり得る製造上の問題を予知しなければならない。

10.”無欠点”(zero defect)や ”より高い生産性を”、とかいうようなスローガン、激励、目標等は一切止めること。

11.目標による経営をやめること。数字や数値目標による管理をやめること。リーダーシップで置きかえること。

12.管理職や技術者たちから彼らの仕事に対する誇りを奪うような諸障害を取り除かねばならない。これは、年次評価やメリット評価や目標による管理などを廃止することを意味する。

13.積極的な教育及び自己啓発の計画を設定すること。

14.会社の全員をこの変革を成し遂げるために動員すること。変革はすべての人々の仕事である。


※引用:吉田耕作,『ジョイ・オブ・ワーク』,日経BP社,2005
(注)ポイント11,12には、これとは別に製造業向けのバージョンもある。

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