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「無冠の帝王」という生き方(組織開発への道)

 『あしたのジョー』を知る人もかなり少なくなっていると思います。漫画の雑誌連載が終わったのが1973年、アニメが最後にテレビ放映されたのは1981年。仮に、そういったストーリーが理解できる年齢が3歳だとしたら、2023年時点で45歳以下の皆さんはリアルタイムでは触れていなかったことになります。

 題名くらいは聞いたことがある人は、若い世代でもそれなりに存在していると思います。しかし、あしたのジョーに登場するカーロス・リベラのこととなったら、どのくらいの方がご存じでしょうか。

 バンタム級世界ランク6位でしたが、上位ランカーがその能力を恐れ挑戦を受けたがらないという折り紙付きの実力者。それ故に「無冠の帝王」「ベネズエラの戦慄」「餓えた黒豹」等様々な異名を持っていました。

 矢吹ジョーとの対決後、ようやく世界チャンピオンのホセ・メンドーサとの試合が実現しましたが、テンプルへの強烈なコークスクリューが切っ掛けとなり、廃人同然になってしまいます。 メディアによれば既にジョーとの戦いで重度のパンチドランカーになり、ホセ相手に最後のトドメを刺されてしまったということでしたが、実はホセが圧倒的に強かったという事実を、私たちは後に知ることになります。


 私たちのサラリーマンの世界でも、「無冠の帝王」と呼ばれる存在があると思います。実力はあるのに、仕事運や上司に恵まれなかったため出世できずに、低い役職のまま燻っている。

 実は私も自分のことを「無冠の帝王」だなと思っていた時期がありました。同期の中でも自分の能力はかなり上位にあると自信を持っていましたから、同期のみならず、後輩からも出世競争で遅れをとり始めたころ、私の実力を認めない上司たちや人事の仕組みを恨んでいました。しかし、少し視座を上げて、また年月をかけて全社を見渡してみると、やはり上にいく人には圧倒的に敵わない力があることに気づきます。

 ただ、それでもある面においては誰にも引けを取らない力が自分にはあるとも思っています。それは組織のマネージャーとして、凄腕の技術者として、あるいは会社の経営者としての成果には結びつかないかもしれないけれど、ある分野においては確実に組織の価値向上や世のため人のために役立っている。だから、そこに特化して生きていくことに喜びを見出すことができたなら、それはそれで幸せなサラリーマン人生になるのではないかと、今では思っています。


 SEとして20年にわたって働いてきた私が、ふとしたきっかけで「組織開発」という仕事と出会い、5年近く悩んでその道に進むまでを【本編1】から順に掲載していきます。

 「無冠の帝王」としての生き方(大袈裟な言い回しではありますが)について、少しでも共感いただけたら… 大変嬉しいです。

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