見出し画像

【本編24】経営企画部と決裂する

 メルマガを始めて1年ほどした頃から、経営企画部のT課長とは月に一度は会って呑むようになっていました。

 本社勤務の経験がなく、開発現場でSEとしての日々を黙々と送っていた私にはT課長から聞く本社の話、経営幹部たちの話は新鮮で刺激的でした。

 会社を変革していきたい!といつも熱く語ってくれるT課長のことは陰ながら応援しようと思っていました。


 実際、メルマガで援護射撃を撃つことも少なからずありました。


 そんな関係が一年くらい続いていました。そして、その頃には「そろそろうちに来ないか?」とT課長は経営企画部への私の異動を口にするようになっていました。

 最初は社交辞令だろうと思っていました。現場経験しかない私に本社の経営企画部の仕事が務まるわけがないと思っていたからです。社交辞令とはいえ、そうやって誘ってもらえるのは光栄でしたし、うれしかったのですが、仮にそれが本気だとしても、私には務まらないだろうと思っていました。

 それとSEとして積み上げてきた実績やスキルを捨て、一から組織風土改革の仕事を始めることには怖さも感じていました。

 それで、「いいですね〜、いつかTさんと一緒に仕事をしたいですね」と言いつつも、本当に異動しようとは思ってもいませんでした。

 そんなある日、「仙台から組織力向上活動を推進している課長が悩み相談に来るから、昔、東北支社にいて多少なりとも縁があるMoMoちゃんも来ないか」とT課長から誘われ、その打合せに参加することになりました。場所は懇意にしているコンサル会社の神谷町にある会議室でした。

 東北から来たT課長(女性)、経営企画部のT課長(男性)、S社員(女性)、そして、私が卒業したリーダーシップ研修の講師であるMコンサルタント(男性)がその場にはいました。

 東北のTさんの相談会が終わり、Tさんはスッキリとした顔で仙台に引き上げていきました。その後、T課長(経営企画部の)がこう言ったのです。

「今度はMoMoちゃんの番だね」

「は?特に私は相談したいことはありませんけど…」

「MoMoちゃん、いつになったら経営企画部に来るの?」

「いやあ、今の私には務まらないと思いますよ」

「じゃあ、いつになったら務まるようになるの?」

 いつになく真剣に、T課長が詰問してきたのです。

 私は質問に答えながらも、だんだんとイライラしてきて、救いを求めるようにコンサルタントのMさんを見ました。すると、いつも温厚なMさんが、

「いつまで練習しているつもりですか?」


と、かなり厳しい口調で言ったのです。いつも優しく応援してくれていたMさんにそう言われたことが、私にはかなりのショックでした。傍で様子を見守っていたSさんは今にも泣き出しそうな顔になっていました。

 その後いくつかのやりとりがあり、その場はどんどん険悪になっていきました。用事があるからと言って18時前に私は退散しました。その時の私には「何があろうと経営企画部には異動しない」という頑なな気持ちが芽生えていました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?