見出し画像

【薬剤師が解説】低用量ピルでPMS対策!気になる副作用も詳しく紹介

月経前のイライラや不安、頭痛、ニキビといったPMS症状にお悩みではありませんか?その悩み、低用量ピルで解決できるかもしれません。
しかし「ピルが効く仕組みについてよくわからない」という不安や「避妊の薬?将来妊娠できなくなるかも」といった誤解をされている方もいるようです。
長期間使用しても、大部分の女性にとって安全で、死亡増加率とは関係がないことが明らかとなっています。[2]
この記事では低用量ピルが作用するしくみ、注意するべき副作用を解説しています。
正しい知識があれば、必要以上に怖がることはありません。ピルについて知り、PMS解決の参考にしてください。


🔶低用量ピルがPMSに効く仕組み

ピルには2種類の女性ホルモン(エストロゲン、黄体ホルモン)が低濃度で配合されたものです。エストロゲンと黄体ホルモンは、本来卵巣で分泌されます。それらのホルモンをピルで補うことで、脳が「ホルモン作らなくてもあるんだな」と認識すると、卵巣に指示を出しません。すると卵巣は休止状態となりホルモン分泌が抑制されます。[2]

月経前の黄体期(排卵後)は、黄体ホルモンの増加とエストロゲンの減少によるホルモン変動が大きい時期です。イライラや不安、ニキビなどのPMS症状はホルモン変動が原因とされています。​低用量ピルを服用することでホルモン変動を抑え、PMS症状を軽減します。[4][5]

🔶低用量ピルの、知っておきたい副作用

低用量ピルはPMSの改善に役立つ一方、副作用についても理解しておくことが大切です。服用初期には、吐き気や頭痛、不正出血などが起こることがあります。また、まれに血栓症などの重大なリスクも伴うため、自身の体調や病歴を医師に伝えた上で適切に使用することが重要です。正しい情報を得て、安心して活用しましょう。

吐き気、頭痛、不正出血

しばらく服用を継続して、ホルモンバランスが安定すると症状は落ち着くことが多いです。また、ホルモンバランスは個人差があるため、ホルモンの種類や配合量が異なるピルに切り替えることで、症状が軽くなる場合があります。
例えば、エストロゲン分泌量が多めの人が、エストロゲン配合量が少ないピルに変更すると吐き気や頭痛が軽減できることがあるようです。[2]

また、​不正出血は開始3か月までに見られます。[2]
初めて服用する場合は、医師と相談しながら継続して様子を見ましょう。

血栓症

日本人の血栓症発症率は欧米人と比較しても格段に低いことが言われていますが注意が必要です。[1]
飲み始めだけでなく、飲んでいる間はいつでも血栓症(血管内に血のかたまりが詰まる病気)になる可能性があります。こまめな運動、水分摂取を心がけ、血栓症を予防しましょう。

手足の痛み・腫れ・まひ、突然の息切れ、激しい頭痛、舌のもつれなど、血栓症の症状が見られた場合は、飲むのをやめてすぐに救急医療機関を受診してください。[3]

🔶体重が増えるの?将来妊娠できなくなるの?

低用量ピルの服用による体重増加については、科学的な根拠はないとされています。一部の人が体重の変化を感じるようですが、多くの場合は体に水分が溜まっているなど一時的な要因が影響している可能性が高いでしょう。
また、ピルを継続的に服用することで卵巣を一時的に「休ませる」効果はありますが、卵巣機能が低下することはありません。服用を中止した後は通常、1ヶ月以内に排卵が再開し、自然な月経周期が回復します。[1]

🔶低用量ピルの飲み方と、飲み忘れた時の対応

毎日決まった時間に1錠ずつ飲むことで効果を得られますが、飲み忘れると症状改善に影響が出ることもあります。飲み忘れた際の対応は、時間や日数によって異なるため、事前に正しい対処法を把握しておくことが大切です。PMS対策としての正しい服用方法と、飲み忘れた場合の対処法を詳しく解説します。基本的な飲み方と、飲み忘れた時の対応を知っておきましょう。[3]

基本的な飲み方

月経の第1日目から飲み始め、毎日1回1錠ずつ、できるだけ決まった時間に飲んでください。21錠シートの場合は、21日間服用した後7日間薬を飲まない休薬期間があります。28錠シートの場合は、最後の7錠はプラセボ錠*ですが、「毎日決まった時間に飲む」というリズムを崩さないために服用を継続しましょう。

7日間の休薬期間またはプラセボ錠服用期間では、ホルモン量が減少することによる出血が起こります(消退出血)。休薬期間が終われば出血が続いていても、新しいシートの服用を開始しましょう。

プラセボ錠*:有効成分が入っていない錠剤

飲み忘れたら?

【昨日飲み忘れたと気づいたら】
気づいた時点で飲み忘れた1錠を飲み、さらにその日の分は通常どおりに飲んでください。つまり、その日は2錠飲みます。
【2日以上連続して飲み忘れたら】
その時点で飲むのを止めて、次の月経を待って新しいシートから再び飲み始めましょう。服用を中止したシートに残っている薬は飲まないようにしてください。
プラセボ錠の飲み忘れは心配いりません。

逆に【間違えて多く飲んでしまったら】
異常を感じたら医師または薬剤師に相談してください。

🔶低用量ピルのことを知って、つらい症状から解放されよう

低用量ピルは、PMSのつらい症状を和らげるだけでなく、生活の質を向上させる大きな助けになるかもしれません。不安に感じている副作用についても、正しい知識を持つことで過度に心配せず、自分に合ったピルを見つけられるはずです。オンライン診療を利用すれば、忙しい毎日でも気軽に専門医に相談できます。
この記事が、低用量ピルの理解を深め、PMSから解放されるきっかけとなれば幸いです。毎月のつらい症状に悩む時間を減らし、心も体も快適な日々を手に入れてください!


【参考文献】
[1]鎌田泰彦、平松祐司|低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン|岡山医学会雑誌|2008年|119 巻 3 号 p. 315-317
[2]低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)|日本産婦人科学会編
[3]PMDA独立行政法人法人医薬品医療機器総合機構>安全対策業務>情報提供業務>医薬品>品目基本情報>患者向医薬品ガイド>ラベルフィーユ21錠、28錠患者向医薬品ガイド
[4]女性アスリートの育成支援プロジェクト|月経前に起こる症状(PMS)
[5]働く女性の心とからだの応援サイト>女性特有の健康課題>女性ホルモンとライフステージ

いいなと思ったら応援しよう!