ラジエーションハウスでの一幕

第12巻、P29にとんでもないことが書かれている。
業界にとっては常識化しているが私は到底賛同することはできない。

まずは「試し読み」を読んでみてほしい。
現状を知ることから始めなければならない。

しきい線量は一様ではない。被ばく線量のみならず、大人と子ども、いやそれ以前に影響が出てくるまでには個人差がある。発現度に幅があるといってもいい。時間差もある。同じだけの高線量の被曝をしても症状が出る人と出ない人がいるのはそのためだ。

そして、被曝は累積である。「確率」の問題だけではない。有害事象が起きうるのは「量」の問題だ。被曝する「量」が増えれば、有害事象の確率が上がるのは当然のことだ。

「健康に影響はない」
辟易するがこれも常套句になっている。
確率的影響が問題となるなら、可能な限り放射線検査を避ける(特に子ども)か検査前にデメリットを伝えておくのは医療従事者としての責務だ。職務怠慢にもほどがある。医師と診療放射線技師のことだ。古くからの体質が抜けていない。

よく理解してほしい。
しきい線量の定義はこうだ。全ての個体に起こる線量でなくても、1%の個体に一定の変化が起こる最低線量であれば、それがしきい線量となる。母集団、環境因子、諸々の変数によってしきい線量は変化するということである。このように絶対的な概念ではないのだから、しきい線量自体を動かせばしきい値があるなしの議論は無意味に陥る。


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